北ドイツ湖沼地方の旅・その5

2010年08月11日 | ドイツ・ヨーロッパの「旅」

僕たちの今回の宿は「TENZO」と言う。長く住み続けたベルリンを
離れ、
カタリーナとマルクス、二人の夫婦がその中に彼らの人生の
意味を込めた。ドイツ語の枠をはみ出した名前である。





「TENZO」は改築前の旧い校舎の面影を残しつつ、石よりも土、
鉄よりも木を大事にしてつくられた旅籠屋、伝統的なガストホーフ。
しかし、伝統が本当に新しくなるときには、覚悟を決めた人の人生が
かかっている。できれば、この宿について、この二人についていつか
詳しく書いてみたいと思う。






ドイツの農家の古い伝統だった土壁の技術「レームプッツ/Lehmputz」
は戦後ほぼ途絶えてしまったが、20~25年程前、 当時の若い人達が
その復活を目指した。今振り返れば、これもドイツのオールタナティブ
とオーガニックの運動の一つだ。友人のイックスさんもそのパイオニア
の一人だったのだろう。

ガストホーフ「TENZO」の部屋のも全て土壁、厚いレームプッツで
覆われている。
レームプッツは室内の湿気を自然に調整し、清涼な空気を
保つ。まるで土が
呼吸をするかのようである。2年前に僕達もイックスさん
に頼んで、食堂と寝室を土壁に塗り替えた。本当に気持ちが良い。
実に良く眠れる。朝の目覚めも良い(お酒を飲み過ぎた時は別)。
わらを混ぜ込んで外壁に使えば断熱性も抜群。

技術素材に頼った最新の省エネ建築よりも、伝統的工法を現代に応用し
自然素材を大事にするBaubiologie・ビオ建築法に、僕は人間の心身
との融和性を感じる。これは実際に住んでみての実感である。
けれども、このBaubiologie はドイツでもまだ本当に小数派である。
是非、日本に紹介されて欲しい技術、建築思想だ。





上の写真は、カタリーナさんとマルクスさんが施主となって進めている、
内も外も土壁のレームプッツ・プロジェクト。友人のエキスパート、
粘土男のヴォルフガングさんが中心になって有志参加の実践セミナーも
平行して行っている。彼らのモットー。「自然素材の家。左官仕事は
自分でやるぞ!」



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