草若葉

シニアの俳句日記
 ~日々の俳句あり俳句談義あり、そして
折々の句会も

今日の俳句 / 年の暮れ (九分九厘)

2009-12-28 | Weblog

西湖夕照天膨るるの冬至かな
冬柳青に極まる西湖かな
銭塘の大河濁々年暮るる

豆腐揚ぐ行商女悴みて
ごたごたの麻婆豆腐や冬の支那
十億の人に紛れて年の暮れ
正月はひと月ずれて支那の夜

先週はかつての仕事の関係で中国に渡った。杭州で一泊、西湖観光。あとは奥地の四川省成都で二泊。この間、成都から50キロほど南の黄龍渓なる古い町を観光。千五百年昔から栄えている錦江沿いの交易地である。写真はその街の行商の女性を写したものである。

12月の句会の投句を下記に書きます。兼題は「枯木立」「短日」

見えしもの失せて明るき枯木立
枯木立過去のすべては土の中
数へんとして冬鳥に光る湖

退屈にならぬ短日早寝かな
短日や分で計りて永らへる
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10 コメント

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お礼 (九分九厘)
2009-12-31 09:53:44
たろう様
 過分なコメントを頂戴し感謝いたします。杭州は日本からの風や潮の流れで日本から渡来するに最も便利な場所で、空海その他多くの人がここを通過しております。とても落ち着いた日本人も郷愁を覚える素晴らしい土地です。西湖夕照を見るのが中国人の夢だそうです。スモッグか靄かどちら知れませんが夕日がまともに直視できて、空一面に茜色が広がる不思議な空間でした。句会の句にもすばらしいコメントを頂き有難うございます。
今年も今日で最後です。いろいろお世話になりました。来年も俳句でお付き合い願います。
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お礼 (九分九厘)
2009-12-31 09:44:16
四捨五入 様
杭州の傍を流れる銭塘江は一年に一回干満の最大となる日に海の水が河の上流に向かってさかのぼりするので有名な河です。河口辺りは50センチくらいの一条の高波が、上流に行くほどに数メートルになるということで、観光客が流域に沢山来るそうです。私の見た銭塘江はゆうゆうたるものでしたが、濁っていてまさに「濁々」たるという感じでした。
枯木立の句には龍峰さんがいいコメントをしてくれました。輪廻の世界を垣間見ようとしてみました。
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好きな句と、年末ご挨拶 (かつらたろう(桑本栄太郎))
2009-12-31 00:52:56
☆西湖夕照天膨るるの冬至かな
冬至の日の西湖の夕茜の光景ですね!。広大な中国の広大な杭州の西湖の夕日に照る光景とは、想像するだけでわくわくして来ます。もう、言葉にも言い表されないほど素晴らしい眺めを、少し漢文調、少し時代がかった言い回し「天膨るるの」との措辞が素敵です。地名も入り格調の高さが素晴らしいですね。

☆十億の人に紛れて年の暮れ
国家が人口の増加を抑制すると言う中国の、沢山の人間の生活模様が見えるようです。「人に紛れて」との表現は、簡単過ぎるように見えて中々思いつかない秀逸なる措辞かと思います。年の暮れに、現地人のように振舞い、現地人のように楽しまれた様子がよく窺え、秀句かと思います。

☆見えしもの失せて明るき冬木立
春の新芽、夏の新緑、秋の紅葉、黄葉とそして綺麗に葉を落とした冬の木立は、一年の中でも木々の休眠の季(とき)でもあります。そして寒い北風の中を新芽を慈しみ育て、やがて来るべき春に備える大切な時季ですね!。又、弱い冬の太陽を自己の根方に当てる事も大切なようです。人の社会の輪廻転生にも似て、木々の活動のなんと着実な事か!。と驚く思いです。

☆数へんとして冬鳥に光る湖
この御句は、過日も選らばせて頂きましたが、大きな湖・・(琵琶湖でしたね?)に数多の水鳥を数えようとして、水面の輝きが眩しいほどであり、水鳥にも光りがあたり豊かな冬の光景が思われて素敵な一句です。

九分九厘様
中国はリラックスされて良い旅でしたね!。どの御句からも楽しまれた様子が良く窺えて素敵な句ばかりでした。
今年も色々お世話になり、大変有難うございました。又、来年も宜しくお願い申し上げます。
良いお正月をお過ごし下さいませ。


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好きな句 (四捨五入)
2009-12-30 23:47:47
 銭塘の大河濁々年暮るる

中国の大河と言えば長江を思い出しますが、銭塘江も大きな河のようですね。片時も休まず濁流を流し続ける大河を詠まれたスケールの大きさに感服しました。「大河濁々」がいいです。

 枯木立過去のすべては土の中

哲学的な解釈はちょと苦手なので、物理的に解釈しますと、年々歳々降り積もった落葉が土に帰り元の木の歴史を積み重ねている、あるいは目には見えないが土中には地上の枝葉に匹敵する根が張り巡らされているとも考えられます。
どちらにしても、含蓄のある句と思います。


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お礼 (九分九厘)
2009-12-30 14:31:50
光芒子様
 コメントありがとうございます。中国の都会の様相は、建物自体が日本の3倍、自動車道路も3~4車線と、スケールが違うようです。人が多いと居住空間が大きくなるのも当然です。今回の旅行での晩餐会は千人を一同に会するものでした。ところが一歩郊外に出ると古い街に出会い、相変わらずの、懐かしい風景に出会います。屋台の食べ物は旨いですね! それから街がとてもきれなのに驚いたのですが、注意して見ると、雇用対策だろうと思うのですが、清掃作業員をあちらこちらで見かけました。
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お礼 (九分九厘)
2009-12-30 14:19:32
ゆらぎ様
 中国の人口は現在13億と言われているのですが、実際はそれより1憶人ほど多いらしいです。四川省だけで一億人を超え、首都の成都は東京より多い人口を抱えております。内陸の開発では農地をつぶして都市近郊に工場を建て、農業自体も集約して大農業に転嫁し、あぶれた農民は集合住宅に詰め込んで工場要員の雇用にまわし、都会にどんどん人が集約されていくというのが、現状のパターンのようです。
枯木立の句に有難いコメント頂きました。有難うございます。
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お礼 (九分九厘)
2009-12-30 14:06:21
龍峰 様
 西湖では再建された「雷峰塔」に登り、360度ぐるりを見渡しました。スモッグの関係もあって霞んでいて写真もいいものが取れませんでした。白楽天の堤などの説明を受けましたが、事前の勉強不足でした。柳がしっかりとした色をしていてとても印象的でした。ともかく車と人の洪水で、中国で街中を車を運転するのは全く自信がないです。
枯木立の句にとても適切なコメントをありがとうございます。
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気になる一句(年の暮れ) (光芒子)
2009-12-30 09:18:06
豆腐揚ぐ行商女悴みて
十億の人に紛れて年の暮れ

 何年か前私も年の暮れに中国で過ごした事があります。
彼の地では年中何処に行っても人の多さには圧倒されますか年の暮れにはやはりなんとなく気忙しく感じました。街中はいつもゴミゴミ汚く、汚好きの民族やとつくづく思ったものですがさすがに正月前にはみんなで大掃除をしているのみかけ驚いたものです。
 お写真の行商姿はよく見た景で大変懐かしく感じました。人々は外食の習慣が多く、(一般庶民の住宅は狭く炊事の出来る所がないからだと聞いた事もあります)朝、昼、晩の食事時には路端の露天の横に置かれた椅子に人は群がり集います。 豚マンなどの蒸かしたての飲茶は随分美味しそうでしたが、豆乳に揚げパンが定番でした。
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印象に残る句 (ゆらぎ)
2009-12-29 22:36:57
十億の人に紛れて年の暮れ
ーいい旅をされましたね。大きな国に行かれると句のスケールも大きくなって、佳句とおもいます。

見えしもの失せて明るき枯木立
枯木立過去のすべては土の中
ー句会の兼題を見事にこなされた両句に感嘆です。お見事な健吟でした!
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好きな句 (龍峰)
2009-12-29 21:09:51
冬柳青に極まる西湖かな

この時期でも柳は青々としていたのでしょうか。静かな湖面に周囲の山や古い塔なんぞが映る光景は千年前と変わらないのでしょう。数年前に西湖に行ったときの光景が浮かんできます。古来柳は西湖を彩るものですね。作者の感動が伝わってきます。

十億の人に紛れて年の暮れ

中国はどこに行っても人が多い。うごめいている感じで、地の中から湧いてくるように感じます。年の瀬に彼の地を訪ねられた慌ただしい作者の思いが詠われております。

枯木立過去のすべては土の中

主宰は枯木立は人を哲学的にすると言われたが、作者のこの句をもって言われたのかも知れません。過去の全ては地中にあり、木が芽吹く頃に地中から芽を出すものもあるかも知れないが、大部分はそのままか。そして何事もなかったかのようにこの世は回っていくのでしょうか。考えさせられる句です。
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