草若葉

シニアの俳句日記
 ~日々の俳句あり俳句談義あり、そして
折々の句会も

今日の俳句・旅吟(1)/プロヴァンスの秋(龍峰)

2009-10-28 | Weblog
先日南仏から最後はパリへ出て帰ってきた。コート・ダジュール、プロヴァンスは晩秋で日差しも柔らか、あちこち黄葉が見られた。パリのマロニエも黄葉し始めていた。(画像プログラムの調子悪しく、残念ながら写真は掲載できませんでした。)

 旅立ちの滑走路の灯露光る
 冬隣グルノーブルの岩の肌
 ナポレオン街道走る薄紅葉

今回はスイスとの国境に近いグルノーブルの街からスタートした。1968年冬季オリンピックがここで開かれた。いきなり気温は10度以下で、持って行った物を全て着た。ここからナポレオン街道を逆にグラース、カンヌを抜けてニースへ向かった。ナポレオン街道は1815年ナポレオンがエルバ島を脱出してパリへ向かう途中の街道である。

 砦背に名も無き町や秋日差
 シャガールの青に鎮むや秋の蝶
 うねり行くぶどう紅葉のプロヴァンス

コート・ダジュール、プロヴァンスのいわゆる南仏はやはり明るく、暖かい。
旅の途中の小さな町には一様に中世の城跡や砦が残っており、町自体が博物館のようである。ニースではシャガール美術館を訪ね、旧約・新約聖書の場面をモチーフの絵を鑑賞。シャガールは1949年から98歳で亡くなるまで近くの街に住んでいた。郊外を走るとどこまでも広がる葡萄畑は赤く紅葉し、晩秋のプロヴァンスの柔らかな日差しを受けて、丘まで続いていた。

 跳ね橋をアルルに訪ぬ今朝の秋
 秋惜しむゴッホの糸杉ゆらぎをり
 アヴィニヨンの橋のたもとや秋の風
 中世のカルカッソンヌ星月夜

ニースからアヴィニヨン、アルルからカルカッソンヌへ抜けた。14世紀、アヴィニヨンにはローマ教皇庁が移され、華やかに発展した。アヴィニヨンの橋の歌で知られる。アルルには立派なローマ時代の円形闘技場や古代劇場が残っている。そしてゴッホが1888年、35歳の時にこの街にやってきた。15ヶ月間の滞在で200点の絵を描いたとか。かの有名な跳ね橋の絵の現場を訪ねた。あまり人は来ない感じでひっそりとしていた。カルカッソンヌは欧州最大の城塞都市と言われている。旧市街は生きた中世さながらの街並みである。昔絵本で見た中世のお城の街と言う感じである。夕方、郊外から見る街全体のライトアップされたシルエットは印象的であった。

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14 コメント

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南仏の旅三昧 (フェニックス)
2009-10-29 11:12:48
龍峰さま
 
 またまた歴史と美術の充実の海外旅行をされましたね。俳句と旅のご報告、堪能させて頂きました。改めて地図を見るとフランスは南北に長く、また、東西にもかなり広くヨーロッパでは広大な国土を持つ国だと再認識しました。そして、パリを中心のフランスと中仏と南仏はそれぞれ、大変違うと色々な人から聞いたことを思い出しました。大学時代のフランス人講師がリヨン大学出身で、その関係から同級生や先輩で、その大学に留学をした人も何人かいて、その人たちの体験話なども思い出すきっかけにもなりました。ともかく、パリとは大変違った風土、文化の土地だということを大変強調されていました。

 次のお句が印象に残りました。

 ☆うねり行くぶどう紅葉のプロヴァンス
  フランスと言えばワイン。その葡萄を収穫した後の葡萄畑の景でしょうか?丘一面に紅葉した葡萄畑が広がる景が目に浮かびます。   
 ☆跳ね橋をアルルに訪ぬ今朝の秋
  著名な画家が描いた場所を訪ねるのはそれだけでもドキドキしますね.....。でも、実際にはそこにはあまり人はいない....。芸術家に映る景はまた違うのだと思います。ゴッホの跳ね橋は大変印象的な絵で、彼が南仏で光の洪水に出逢った喜びが感じられる絵だと思います。
 
 ☆秋惜しむゴッホの糸杉ゆらぎをり
  ゴッホの糸杉には何か命の叫びのようなものが感じられますが、秋の糸杉にもまだあの命のうねりのようなものが感じられましたか?
 
 ☆アヴィニヨンの橋のたもとや秋の風
  ”アビニョンの橋で”はフランス語の先生が歌ってくださったことがあり、単純なメロディーと繰り返しが多かったことは覚えていますが、歌詞は忘れてしまいました。確か
”Sur le pont d'Avignon”だったと記憶していますが....。お句の「橋のたもとや秋の風」が何かしみじみとした秋を感じさせていいなと思いました。  
 
☆中世のカルカッソンヌ星月夜
 「星月夜」と言えば、またゴッホの絵を思い出しますが、これはトゥールーズの南にある中世の城塞都市、カルカッソンヌの景なのですね。まるで、中世の騎士でも現われそうな世界ですね。

 (追伸)龍峰さまの書き込みに刺激されて、今後、海外に行く機会があれば、南仏を候補の一番にしたいと思うようになりました。その時は是非、セザンヌのエクサンプロバンスも訪れたいと思います。



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好きな句 (ゆらぎ)
2009-10-29 18:48:17
シャガールの青に鎮むや秋の蝶
うねり行くぶどう紅葉のプロヴァンス
跳ね橋をアルルに訪ぬ今朝の秋
秋惜しむゴッホの糸杉ゆらぎをり
ー素敵な南仏の旅を楽しまれましたね。羨ましさが募ります。絵画シリーズのような句に、ほれぼれしました。

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好きな一句(プロヴァンスの秋) (光芒子)
2009-10-29 20:45:33
シャガールの青に鎮むや秋の蝶

 ニースのシャガール美術館は私も何年か前訪ねた事があります。 聖書の場面のシリーズ絵が展示というよりも洒落れた建物の壁に埋め込まれている感じで素晴らしく、美しい色彩でした。又休憩所のシャガールのステンドグラスの青が随分印象的で、本句でこの青色を思い出しました。
 南仏・プロバンスは多くの画家に愛され、後世に残る名画数知れずで、私も何箇所かその場面に佇んでみました。
ところが凡人の悲しさ、一向に伝えたくなるような感動が湧きません。かの「跳ね橋」も「黄色い家」も「サントヴィクトワール山」も単なる橋であり山でした。
人に感動を与える芸術は「感受性と表現の妙」なんでしょうか。 恥ずかしながらまさに猫に小判でした。
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好きな句ほか、コメント (かつらたろう(桑本栄太郎))
2009-10-29 23:04:00
龍峰様
いつもながら、精力的な行動力と経済力には、ただ、ただ脱帽の感です!!。絵画、美術の趣味、俳句の趣味、お写真の趣味、そして海外旅行とエンジョイの相乗効果絶大ですね。いつも大変楽しませて頂いています。

☆冬隣グルノーブルの岩の肌
グルノーブルと言えば、かなり以前に冬季オリンピックが開催され有名になった場所ですね!。当時、ボブスレーなる競技に大変興味をそそられました。又、記憶に間違いなければ、かの名スキーヤーのトニー・ザイラーが活躍したように覚えています。スイス国境に近い、当地のかなり寒そうな気候が「岩の肌」との語句に想われて、素敵な一句ですね。

☆うねりゆくぶどう紅葉やプロヴァンス
南フランスのプロヴァンスはワインの著名なる産地ですね!。うねりながら何処までも続くぶどう畑のぶどう紅葉は、日本の様に棚仕立てではなく、一見では葡萄畑とは思えないでしょうね。どうも想像の領域を超えてしまいそうです。

☆跳ね橋をアルルに訪ぬ今朝の秋
☆秋惜しむゴッホの糸杉ゆらぎをり
☆アヴィ二ヨンの橋のたもとや秋の風
ご当地ソングを、その土地に行って聴けば更に情感が募りますように、名絵画の題の、その場面を眼の辺りにすれば、足が釘付けになってしまうでしょうね!。その現場に立つ事そのものが、もう大感動の詩になっているようです。フランスのカタカナの名前、地名と、日本の日本たる俳句の季語がこれほど絶妙に合うとは感嘆してしまうばかりです!!。

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お礼 (龍峰)
2009-10-29 23:20:06
フェニックス 様

5句も取りあげて頂き、はたまた懇切丁寧なご感想・コメントを頂き有り難う御座いました。
ご指摘の通りフランスは広いです。面積は日本の1.5倍。しかも大部分が平野ですから世界有数の農業国ですね。にわか勉強ですが、歴史的にもノルマンジーは海賊のバイキングの公国がご先祖様だし、プロバンス地方も完全にフランス共和国に統合されたのは18世紀の大革命以降のことのようですね。気候風土、歴史もそれぞれ異なるのでその土地、土地の気質は随分異なるでしょうね。今回の旅行では地方地方のワインを飲んで行きました。しかし、門外漢の自分には違いは分かりませんでした。葡萄畑の紅葉は晩秋を感じさせます。ゴッホの足跡を意識して見て回りましたが、絵と現実の景色からのイメージには違いがあることも分かりました。アヴィニオンの橋の歌の仏語の歌詞は仰せの通りです。小生も昔昔覚えたのを思わず口ずさみました。カルカッソンヌは一見の価値ありです。是非南仏へのご旅行が実現することをお祈りします。
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お礼 (龍峰)
2009-10-29 23:30:09
ゆらぎ 様

4句も取りあげて頂き有り難う御座いました。
南仏には出掛ける前ある種の明るくて田舎が広がる、印象派の諸画家の絵の世界を通してのイメージがありました。しかし、今の季節は晩秋故にか光りは和らいでおりました。本当の良さはそこにしばらく逗留せねば分からないでしょうね。ともあれ、ゆらぎ様もぜひマチスをこの地に追跡なさって下さい。
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お礼 (龍峰)
2009-10-29 23:40:34
光芒子 様

シャガールの句を取りあげて頂き有り難う御座いました。光芒子様も同じシャガールの美術館に行かれたのでお分かりの通りですが、ここの絵の青は自分には意外と明るい感じを受けました。大きな絵をゆったりと見ているとやはり心が静まってきましたね。また、ご指摘のように有名画家の描かれた地に行っても絵から受ける感じとはかなり差があるのはそのとおりです。画家はその地を消化して画布にぶっつけるのでしょうね。所詮猫に過ぎなかったようです。
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お礼 (龍峰)
2009-10-30 00:03:45
かつらたろう 様

5句も取りあげて頂き、面はゆいコメントを有り難う御座いました。若干、出癖が付いてしまったかとは思いますが、後は何もありません。
グルノーブルはやはりアルプスの麓で内陸でもあり、寒かったですね。トニー・ザイラはもう少し古く、1956年のコルチナ・ダンペッツオのオリンピックでした。この時有名になったのは「白い恋人たち」の記録映画でした。葡萄紅葉は彼の地ならではですね。残り3句はご当地ソングですね。面目ない限りです。
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好きな句 (さゆり)
2009-10-30 22:38:05
☆シャガールの青に鎮むや秋の蝶
 私もこの美術館にいたことがあります。ステンドガラスの美しかった記憶があり、そこで買ったブルーの
「スカーフが未だに色褪せずたいせつにしています。「青に鎮むや秋の蝶」とは上手く詠まれたと思います。

☆うねり行くぶどう紅葉のプロヴァンス
 ドイツの葡萄畑はドイツ人の性格からか、縦真っ直ぐに果てしなく続いていましたが、プロバンスの方はうねっているように植えられているのでしょうか。葡萄も紅葉しているのですね。お写真拝見したかったです。
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好きな句 (四捨五入)
2009-10-30 23:24:18
 うねり行くぶどう紅葉のプロヴァンス
 跳ね橋をアルルに訪ぬ今朝の秋
 秋惜しむゴッホの糸杉ゆらぎをり

どの句も南フランスの景色が彷彿としてきます。俳句と文章と写真が一体となって、思い出深い旅行記が出来上がりますね。
とくに俳句は一瞬の印象を五七五に閉じ込めて永久に保存できるわけですから、優れた記録媒体であるといえます。
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