草若葉

シニアの俳句日記
 ~日々の俳句あり俳句談義あり、そして
折々の句会も

今日の俳句・旅吟(完)/巴里の秋の色(龍峰)

2009-10-31 | Weblog
カルカッソンヌからロワール川周辺の古城及びモンサンミッシェルを経て最終パリに向けて北へ登る。
写真はシャンゼリゼ通り。

  
黄葉山千年眠りし村の塔
   
カルカッソンヌの北、リモージュとの間の中央高地の山間部の川から80mの崖の上に、フランスで一番美しいと言われるサン・シルク・ラポピーと言う小さな村がある。かって領主を中心に村が出来、ルネッサンス様式の木骨造りの家並みの小さな集落が数百年前の姿でそのまま残っている。

   巡礼の石段踏めり秋時雨

更に北へ登るとロカマドールと称する所に、これまた切り立った断崖の上から中断に掛けて教会が建っている。巡礼者が訪れる教会である。

   聖堂の雨のリモージュ紅葉かな
   秋雨やリモージュ焼きの皿の色

   尖塔の古城映えるや秋の川
   古城には古城の歴史露葎

リモージュはルノワールが生まれた街。焼き物で有名、高級磁器や七宝焼きが特産である。焼き物のメーカを見学。あいにく雨の中、街を見たがここも紅葉が進んでいた。
そしてここよりロワールの古城に巡りに出掛けた。最初にシュノンソー城を見学。ロワール川の支流のシェール川をまたぐ橋のように立っている。16世紀に出来て以来、6人の女性が城主。もう一方はロワール川に面して立つアンポワーズ城。城の起源は古くローマ時代に遡る。最初は城塞として、15世紀頃より現在の城館の形を整えた。立派な城である。

   天をつくモンサンミッシェル秋の潮
   蔦紅葉モンサンミッシェル人溢れ
   
トウールを経ていよいよモンサンミッシェルへ。フランスの名所で人気NO1の由。近づくにつれ見覚えのあるシルエットが海上に見えてきた。名物のオムライスを食べて、いよいよ岩山の島に入る。やはり人は多い。上に登るに従い、狭い所によくぞゴシックの高い建物を造った物と感心する。起源は708年、礼拝堂を建てた所からスタート、14世紀には要塞として、大革命時は監獄にもなった。建物は11世紀のロマネスクと13世紀のゴッシク様式からなる。

行く秋や栄華と悲劇のヴェルサイユ
鏡の間悲喜写しけり秋の暮れ
   
パリに入って、半日ヴェルサイユに出掛けた。宮殿はご承知の太陽王・ルイ14世の時代に建設され、最盛期を象徴する最大の宮殿である。鏡の間を始め沢山の間が有り、絢爛豪華そのもの、数々の外交、歴史の舞台ともなった。ルイ16世とマリー・アントワネットの婚礼も行われ、そして最後の王ともなった。 
  
   マロニエにコーヒ嗜む秋の夕
   堂々と凱旋門や秋夕日
   秋の色妻が先行くシャンゼリゼ

フランス最後の日、パリ市内を散策。この街は何度来ても華やかな気分にさせてくれる。
シャンゼリゼも秋の気配濃厚。冷たい冬の雨が来る前のパリをしばし歩いた。

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10 コメント

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好きな句とコメント (かつらたろう(桑本栄太郎))
2009-11-01 23:00:22
☆黄葉山千年眠りし村の塔
日本国内と同様、フランスの片田舎にもひっそりと中世の歴史を守り暮らしている村があるのですね!。フランスの古い木造建築の村と塔の秋の叙情ある光景に、絵画でも描きたくなりました。

☆尖塔の古城映えるや秋の川
☆古城に古城の歴史露葎
歴史大好きの小生にとって、古城巡りは夢に見るほどです。封建領主の攻めたり守ったりの攻防は、いつの時代の何処の国も繰り返した事であり、悲喜こもごもの生活が偲ばれるからです。御句に古城に佇み、思いを馳せておられる心情が手にとるように窺えて素敵な句です。日本の堀に該当する川縁の石造りの古城に露葎との季語もぴったりですね!。

☆天をつくモンサンミッシェル秋の潮
フランスを訪れる人はここを必ず目標にするほど有名な、世界遺産で名高いモンサンミッシェルは、寺院とも要塞とも監獄とも言う形状だそうですね!。小生の息子も「あそこだけは、フランスに行ったら何回でみ訪れたいと言っていました。

☆行く秋や栄華と悲劇のヴェルサイユ
世界史でも名高いヴェルサイユ宮殿は、ルイ14世、又悲劇のルイ16世の舞台でもありますね!。豪華絢爛の手本のような宮殿で、舞踏会などが繰り広げられた光景が想われます。滅び行く運命にあるものの、美しさが偲ばれます。

☆堂々と凱旋門や秋夕日
☆秋の色妻が先行くシャンゼリゼ
愈々フランスのの終わり、巴里・・「このカタカナではない漢字の名前が大変素晴らしいですね」、そして凱旋門とシャンゼリゼ。♪オー、シャンゼリゼ♪の曲に乗って、奥様が踊りだしてしまわれたように感じました。

龍峰様
フランスの素晴らしい紀行俳句と紀行文を堪能させて頂きました。一度も訪れた事がないフランスですが、つたない知識を頼りにコメントさせて頂き、間違いが沢山あったかも知れませんがご寛容下さいませ。しかし、もう一度申しあげますが、御句の素晴らしい紀行俳句と紀行文により、旅をご一緒させて頂いたように充分楽しませて頂き、有難うございました。
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好きな一句(巴里の秋) (光芒子)
2009-11-02 09:35:12
☆古城には古城の歴史露葎

 素晴しいフランスの旅を楽しまれたご様子が紀行文と俳句でうかがえます。
南仏から北上、西海岸を経て巴里まで、随分の各所を訪ねられたようですが、いつもの運転手とナビゲータ名コンビでのレンタカーでの旅でしょうか?
観光旅行では一度に多くの名所を訪ねみますが、訪れて初めて知る新発見、それぞれに姿形も歴史も異なり感動を呼び、風情を感じますね。
特に秋の古城はしみじみと歴史を感じさせる時節です。
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好きな句 (さゆり)
2009-11-02 12:22:39
☆蔦紅葉モンサンミッシェル人溢れ
 一度訪れてみたいモンサンミッシェル、テレビでも世界遺産として紹介されていますが、龍峰様は如何思われましたか。ヨーロッパのゴシック建築には、驚きですね。 

☆行く秋や栄華と悲劇のヴェルサイユ
☆鏡の間悲喜写しけり秋の暮れ
 ブェルサイユ宮殿は、昔行ったことがあります。鏡の間にも入りました。悲喜こもごもの歴史を写すという言葉はぴったりだと思います。そして「秋の暮」で終わるところが良いと思います。私事ですが、昔パリに行った日は、あの日航機墜落事故の一周忌の日で客は二夫婦で、四人であちこちまわりましたので、パリの事はよく覚えています。このたびの旅行吟も季語の使い方がとても上手だな、と思いました。素敵な旅でしたね。









鏡の間悲喜写しけり秋の暮れ
   
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お礼 (龍峰)
2009-11-02 12:49:42
かつらたろう 様

7句も取って頂き、更に丁寧なコメント、身に余るご感想を頂き有り難う御座います。
これまではフランスと言えば仕事でパリへ行くぐらいでしたが、今回初めて田舎を回りました。驚いたのは行く先々に古いローマの遺跡や中世の寺院、街並み、城塞が残っており、歴史に興味のある人にはたまらない魅力ある地ですね。歴史書を垣間見るとフランスも歴史的には複雑極まりなく、従って遺跡も多く、それぞれにストーリがありますね。確かに何遍も行きたくなる国です。
しかし、今回詠んだ句はどれも月並みで段々恥ずかしくなってきたのが、正直なところです。超駄作にお付き合い頂き大変申し訳なく思っております。歴史好きなかつら様には景色もよくワインのおいしいフランスの田舎はお勧めの地です。有り難う御座いました。
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お礼 (龍峰)
2009-11-02 12:59:06
光芒子 様

古城にはの句を取って頂き有り難う御座いました。今回は残念ながら個人旅行ではありません。気心知れたご夫妻を誘ってツアで参りました。旅は極端にどこへ行っても楽しいですね。周りがいつもと変わるだけでわくわく感が出てきます。フランスの田舎は光景も歴史も食も変化がありいいですね。
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お礼 (龍峰)
2009-11-02 13:22:54
さゆり 様

3句も取って頂き、過分なるコメントも頂き有り難う御座います。
パリを4人で回られたのはラッキーでしたですね。さぞかし堪能されたことでしょう。モンサンミッシェルはまず遠くから見るシルエットが良いです。上り始めると意外とすっと上まで行ってしまいました。狭いスペースの断崖によくぞゴシックの高いものを建てたものと感心します。拙句はどれも月並みでただただ恥じ入るばかりです。
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すきな句 (九分九厘)
2009-11-02 22:01:48
聖堂の雨のリモージュ紅葉かな
リモージュを知らない私にとっても、なんとも言えない静かで平和な旅の風情が伝わってきます

マロニエにコーヒ嗜む秋の夕
堂々と凱旋門や秋夕日

 パリの様子、それを読む読者にも
旅情を感じさせる好きな句です。

秋の色妻が先行くシャンゼリゼ
 この句が、貴兄の最後の締めっくりの句になっているのがなんとも言えなく微笑ましいですね!
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お礼 (龍峰)
2009-11-03 20:32:48
九分九厘 

4句も取りあげて頂き、コメントを有り難う御座います。一晩泊まっただけの街ですが、王制時代に陶磁器で発展した街だそうですが、全体に落ち着いた感じでした。パリは九分九厘様も熟知されている街ですが、やはり小生なんぞ何回行っても面白みを感じます。ちょっとしたカフェーや小さなレストラン、ショップ、小公園
、街並み、そこに立っているだけである種の満足感を憶えます。最後の句はお愛嬌です。
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好きな句ー旅吟に学ぶもの (フェニックス)
2009-11-06 16:21:56
龍峰さま
 
 旅吟の後半、また勉強させて頂きました。有難うございます。私も大昔にパリにちょっとだけ立ち寄ったことがありますが、記憶がかなり薄れていましたところ、この度改めてフランスの歴史の奥深さを感じる俳句とご報告に少し昔の旅の印象が蘇って参りました。それにしても、龍峰さまご夫妻は大変タフで自由に動き回ることがおできになり、羨ましい限りです。

☆古城に古城の歴史露葎
 「露葎」と言う季語が大変活きていると思います。フランスの古城巡りはたろう様も仰っているように、一度してみたいと思うところです。龍峰さまの意図とは別に、想像は飛躍しますが、日本の山城跡などを詠んだ句としても理解できると思います。

☆天をつくモンサンミッシェル秋の潮
 ほんとに近付けば近付くほど「天をつく」建物だと想像します。友人にモンサンミッシェルを5月に訪れた者がいますが、彼女は引き潮の時に島まで歩いて渡ったそうです。2、3年前くらいのことですが、渡る道があったそうです。また、その時は大潮で、干潟が大変広くなり、フランスの学童たちがその干潟を歩くという行事があっていたそうです。龍峰さまは船で行かれたのですか?

☆堂々と凱旋門や秋夕日
 お写真のようにシャンゼリゼ通りの西の端に凱旋門は堂々と立っていますね。昔訪れた時はこの門の周辺の広場をエトワール(フランス語で星の意味)広場と言っていたようですが、今ではシャルル・ドゴール広場と呼ばれているようですね。その堂々としたパリを象徴する凱旋門に秋夕日、旅情が一層掻きたてられたことと思います。
 

他にもまだ触れたいお句がありますが、今日は時間の都合上この辺にさせて頂きます。また、時間が出来次第、書き込ませて頂きたいと思います。


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お礼 (龍峰)
2009-11-08 20:35:22
フェニックス 様

しばらく留守にしていたためにお礼が遅れ大変失礼しました。

改めて3句も取って頂き、丁寧なコメントを頂き有り難う御座います。
フランスの古城の歴史を見ていくと内外の戦と権力闘争に明け暮れたことがよく分かります。図式は全く違いますが、日本の古城もそれぞれの歴史を持つ事は自明の事ですが、変遷の根本は洋の東西を問わないように思います。仰せの通り日本の城に置き換えても句は成り立つと思います。
モンサンミッシェルはご指摘の通り遠くから眺めると天を付く姿です。天使ミカエルを祀るに相応しい、少しでも天に近い形を取っているのでしょう。島には今は道が付いているため車で行けます。しかし、このため潮の流れが変わり、海が浅くなってきているため橋を島に架ける事になりました。もう工事が始まっているかも知れません。
凱旋門はやはり今回も堂々としていました。「堂々」の他に言葉は見つかりませんでした。 どうも有り難う御座いました。
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