トランプ次期米大統領が環太平洋連携協定(TPP)からの脱退方針を表明したことは、参院で続くTPP承認案の審議にも波紋を広げた。
安倍首相は11月21日、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスで記者会見し、トランプ次期米大統領が離脱を表明している環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に触れ「米国抜きでは意味がない。根本的な利益のバランスが崩れてしまう」と訴えた。
TPP推進を訴える安倍首相が会談したばかりだけに、野党民進党からは会談の成果を疑問視する声が上がった。
TPPの代わりに2国間交渉で対日要求が拡大する懸念もあり、政府内には審
議を続けることに無力感も漂う。
11月22日の参院TPP特別委員会で、質問に立った民進党の古賀氏は「首相はアジア太平洋経済協力会議(APEC)に向かう途中にわざわざニューヨークに立ち寄って、トランプ氏と会談した」と指摘した。
それにもかかわらずトランプ氏を翻意させられなかったことで「いったい会談の中身や意味は何だったのか」とただした。
これに対し、岸田外相は『世界の首脳に先駆けて会談を待ったことは大変重要で、信頼関係構築の上で貴重な第一歩だった」と反論。
引き続きTPP早期承認に向け「各国と連携しながら国内手続きを進め、機運を盛り上げる」とも語ったが、関係官庁では既に「発効はもう無理だ」と悲観論が広がっている。
首相との会談で「米国にとってのメリットや安全保障上の意味が分かるはず」と期待していたが、通商政策の練り直しを迫られるのは必至だ。
トランプ氏はTPPの代わりに各国と「2国間の貿易協定の締結交渉をする」としている。
その場合には国内産業保護を最優先し、市場開放に消極的な態度を取る公算が大きい。
日本は自動車やコメ、牛肉などが狙い撃ちにされる懸念もあり、経済界や農業関係者の警戒感が強まっている。
自国のことしか考えないトランプを見捨て、米国抜きのTPPを早く構築するべきであり、安倍首相の軟弱さには腹が立つ。
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