重い肝臓病の赤ちゃんに、体のさまざまな細胞になれる胚性幹細胞(ES細胞)から作った肝細胞を移植する国立成育医療研究センターの臨床試験(治験)で、安全性と効果が確認できたとして、企業を通じて本年度中に再生医療等製品として国に承認申請することが10月23日、関係者への取材で分かった。
国内初の承認申請で、承認されれば来年度中にも実用化の可能性がある。
ES細胞を用いた治療は、海外では目の病気や脊髄損傷などを対象に治騒が進んでいるが、実用化の報告はまだない。
生まれつき有毒なアンモニアが分解できずにたる「尿素サイクル異常症」の赤ちゃんが対象。
8千~4万4千人に1人の割合で発症する。
不妊治療で余った受精卵から作製したES細胞を肝細胞に成長させ、へその緒から患者の肝臓内の血管に注入し、アンモニアの分解を助ける。
治験では、2019年10月~2021年12月、計5人の赤ちゃんの肝臓にES細胞から作った肝細胞を注入した。
5人とも治療後、血液中のアンモニア濃度が減少。
合併症や有害事象は確認されなかった。
いずれも成長後に肝臓移植を受け、経過良好という。
尿素サイクル異常症は重症の場合、肝臓移植が根本治療となるが、子どもでは体重6キロ程度まで成長しないと移植を受けるのが難しい。
薬や透析などの治療が行われるが、発作で後遺症が出たり死亡したりするケースがある。
今回の手法は移植までの間をつなぐ。
橋渡し治療”として期待される。
細胞を注入した同センターの笠原病院長は「5人ともとても元気に過ごしている。 今後肝臓以外の病気の患者にも、再生医療を活用した治療が届けられるようにしたい」と話した。
同センターは今後、製造販売を担う企業と契約する。
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