厚生労働省は、厚生年金に加入する会社員らが死亡した際、配偶者が受け取る遺族厚生年金の男女差を是正する方針を示した。
子どものいない60歳未満の現役世代は男女一律で5年間の有期給付とする。
現行制度は男性が家計の主な担い手だった時代の考えを背景に女性側に手厚くなっている。
女性の就業率が高まって共働きが増える中、制度の見直しが必要と判断した。
見直し案を7月30日、社会保障審議会の部会に提示した。
来年の通常国会で制度改正の関連法を提出する。
現行制度で男女ともに60歳以降であれば生涯にわたって支給される点は変わらず、現在受け取っている人は見直しの対象外とする。
現行の遺族厚生年金は子どもがいる場合、男女差は事実上ない。
子どもがいない場合、妻は夫の死亡時に30歳未満なら5年間の有期給付で、30歳以上なら生涯支給される。
これに対し夫は妻の死亡時に55歳未満だと受給できず、受給権は55歳以降に発生し60歳から支給される。
見直し案では、60歳未満の夫は5年間の有期給付の対象とする。
60歳未満の妻も5年間の有期給付に統一し、対象年齢を現行の30歳未満から20年間かけて段階的に引き上げていく。
一方、妻側にとっては受給期間が大幅に短くなるため、(1)給付額を上乗せする、(2)配偶者が婚姻中に厚生年金保険料を納めた期間に応じて給付額を増やすといった配慮措置の導入を検討する。
現行制度で40~64歳の妻のみを対象に増額する「中高齢寡婦加算」も廃止する。
現在は男女ともに年収が原則850万円未満でなければ支給されないという要件もあり、60歳未満で5年間の有期給付とした場合、この要件を廃止する方向で検討する。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます