くす玉割りで高台竣工を祝う
美浜町は23日、吉原地内に建設した松原地区高台津波避難場所竣工式を開き、国や県、地元関係者が出席し、無事竣工を祝った。同地区は県の南海トラフ巨大地震津波避難困難地域(対象人口1928人)に指定されており、これを解消するため、総事業費2億4700万円を投じ、高さ15・5メートル、2000人を収容できる高台を整備。日本一の規模を誇り、備蓄倉庫やマンホールトイレなども設けており、森下誠史町長は「犠牲者ゼロをめざし、災害に強いまちづくりに努めたい」と決意を新たにした。
二階俊博自民党幹事長や仁坂吉伸知事、中村裕一、冨安民浩、坂本登各県議ら来賓をはじめ、町議、区長ら地元関係者が出席。森下町長は「2000人が避難可能な大規模の高台で、津波避難困難地域の解消が図られ、住民の皆さんの安全安心に大きく寄与するものです。今後も住民の皆さんの生命を守るため、災害に強いまちづくりに努めたい」、高野正町議会議長が「より逃げやすい高台にするため工夫に工夫を重ねたい」とあいさつ。
二階幹事長は「災害で一人の犠牲者も出さないことが大事。日本一と言われる立派な高台ができ、他県から視察が増えると思う。この高台を見習い、日本国中につくる努力を期待したい」、仁坂知事は「死者をゼロにしないといけない。高台の完成で避難困難地域を解消できた。今後は全員がちゃんと逃げられるようにすること、家が倒壊しないように必要な耐震補強を行うことをお願いしたい」と祝辞を述べた。くす玉割りで竣工を祝い、松洋中学校吹奏楽部が見事な演奏で花を添えた。
高台の整備面積は1万2950平方メートル。頂上部の避難場所面積は2400平方メートルあり、2000人が避難できる。頂上部は15・5メートルあり、最高津波高11・37メートルを上回っている。昨年7月に着工し、当初計画より1年早く完成。盛土材約4万立方メートルは日高港の泊地しゅんせつ工事、県道白浜温泉線改良工事の建設発生土を有効活用した。施工は(株)淺川組=和歌山市、栗生泰廣取締役社長=。
食料や毛布、飲料水などを保管する備蓄倉庫6基、マンホールトイレ20カ所、トイレ洗浄用耐震性貯水槽、かまどベンチ10基、手洗い場、時計塔、緊急車両駐車場5台分を設けた。避難誘導灯としてソーラー式LED照明20基を配備し、その蓄電池から携帯電話やスマートフォンを充電できるようUSB端子も備えたほか、高台の西側麓には体の不自由な車での避難者も想定し、44台収用できる駐車場も整備した。
「高台を見学コースに」
津波の日高校生サミット
仁坂知事は、11月5日の「世界津波の日」の関連行事として二階幹事長の提案で昨年高知県で初開催し、今年は沖縄県で開いた世界津波の日高校生サミットについて「来年は和歌山で開くよう申し入れている。その際は、ぜひともこの高台を見学コースに入れ、参加した世界の高校生に見てもらいたい」と話した。
「思いっきり早くやろう」
西川改修早期完成へ一丸
祝う会で記念碑を除幕した皆さん
高台竣工式に引き続き、町と西川河川改修事業推進協議会主催の西川河川整備工事着工を祝う会が開かれ、記念碑除幕などを行い、早期完成へ国、県、町が一丸となって取り組むことを誓った。記念碑は大川橋周辺の現場に設置する。
森下町長は「毎年、内水被害に悩まされている。住民の安全安心のため全区間の早期完成を臨みたい」とあいさつ。仁坂知事は「日高川は支川に問題が集中しており、皆さんの期待をひしひしと感じる。予定区間を一日も早くやれるようにがんばりたい」と約束。
二階幹事長はおおむね20年間の整備計画について「今の時代、20年かけるというのは話にならない。着工を祝う会ではなく、思いっきり急いでやる会にしよう」と早期完成へゲキを飛ばした。
計画全体の整備延長は4・8キロ。堤防整備、河道掘削、護岸工、東裏川合流部対策(千貫樋門改築)を行い、平成18年9月の豪雨レベルに耐えられるように流下能力を高める。今年度は大川橋から上流60メートルで左岸に鋼矢板を入れ、左岸側半分の川底掘削を行う。今年度工事費は約1億円。
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