多くの鉄道ファンらが見守るなかラストラン
国内で唯一のレールバスとして営業運行していた紀州鉄道の「キテツ2号」の引退セレモニーが4日、紀伊御坊駅で開かれた。駆けつけた鉄道ファンや家族連れら約400人が見守るなか、同駅発着でラストラン。ファンや家族連れらは乗車体験を楽しんだり、最後の姿をカメラに収めるなどして地域住民の足として親しまれた車両との別れを惜しんだ。
レールバスは鉄道用車両の台枠にバスの車体を乗せた車両。キテツ2号は1985年製造、88人乗り。2009年に紀州鉄道が兵庫県加西市の北条鉄道から譲り受けて運行を開始して以来、地域住民の足として活躍した。レールバスは製造コストが安く、かつては全国のローカル線などで多く利用されたが、定員が少ないなどのデメリットがあり、約2年前からキテツ2号が最後となった。キテツ2号も長年の利用で老朽化が進み、代替部品もなくなっていたことから、昨年1月末に滋賀県甲賀市の信楽高原鐵道(株)から無償譲渡された「KR301号」の運行が始まってからは、同車両の代替車両に。先月15日に同社から2車両目の無償譲渡となった「KR205号」が運行開始したのに伴い、引退が決まった。今後は未定で、紀伊御坊駅の車庫に保管する。
この日のセレモニーは「キテツ2号さよなら運転イベント」と題して開催。車両には日高高校わかやまクラフト部の生徒らが製作した「ありがとうキテツ2号」のヘッドマークを設置し、同駅から西御坊駅方面の約200メートルを往復する形で無料乗車体験が行われた。50人ずつ3回、約150人がラストランを楽しみ、線路沿いでは鉄道ファンらが最後の勇姿をカメラに収めた。駅ではキテツ2号引退とKR205号運行開始を記念した硬券キップやキテツ1号、2号の缶バッジなど販売。日高高校ブラスバンド部、フォークソング部の演奏、餅まき、綿菓子、お好み焼き販売などもあり、にぎわった。
大阪府茨木市の武田将浩さん(22)は「独特の乗り心地であらためて“いいな”と思いました。一時期は日本のローカル線を支えていたレールバスがなくなるのはとても寂しい」といい、ラストランの運転を務めた古川強さん(45)は「運転免許を取ったのはこの車両。これまでともに歩んできたので寂しい思いもありますが、キテツ2号の最後に多くの方に来ていただきうれしい」と話していた。
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