顕彰碑をバックに記念撮影の関係者
日本鰹節協会の役員ら10人が28日「かつお節発祥の地」である印南町を訪れ、かつお節の製造方法を枕崎(鹿児島)や房総(千葉)、伊豆(静岡)など全国に伝えた江戸時代の印南漁民3人の偉業をたたえて建立された顕彰碑を見学した。日裏勝己町長ら町関係者とも交流し、今回の訪問を機にかつお節の伝承・発展に協力して取り組むことを確認。日裏町長は「鰹節協会と連携し、発祥の地を生かした取り組みを進めたい」と期待を寄せた。
訪れたのは大石訓永会長(焼津鰹節水産加工業協同組合顧問)、副会長の後藤賢一(大阪鰹節類商工業協同組合理事長)、鈴木隆(焼津鰹節水産加工業協同組合長)、西村協(枕崎水産加工業協同組合長)各氏、東京海洋大学名誉教授で技術顧問の和田俊氏ら10人。来町を歓迎し町公民館で日裏町長や古谷正信副町長、岡本徹士教育長、堀口晴生町議会議長、山本薫紀州日高漁協副組合長、嶋田隆道町観光協会長、顕彰碑建立会代表で町文化協会長の坂下緋美さん、かつお節を考案した角屋甚太郎の子孫で13代目にあたる久保田英介さんらが参加して鰹節浪漫・親睦交流会を開いた。
日裏町長は「今は印南町でかつお節は作られていないが、皆さん方が作られ販売され、日本の味の元祖というか基本となるかつお節を作られ、守られてきたことを本当にうれしく思っている。印南町では『かつお節発祥の地』であることを通じて何かできないかと模索しているところでどうか皆さんの知恵をお借りしたい。今回のご縁を機に皆さんとのつながりを深くして町の発展につなげたい」。大石会長は、かつお節発祥の地「印南町」をお伺いさせていただいて本当に感無量だとし「3人がかつお節の製造を伝えたということは知識としては分かっていたが、現地を訪れ本当に3人に尊敬の念をもって顕彰碑を見学させてもらいたい。伝えていただいたかつお節を伝承していくことが我々の課題。印南町の皆さんといろいろな面で協力し合ってかつお節をさらに発展させていきたい」と述べた。
昼食を取りながら歓談し交流を深め、3人の足跡を紹介するスライドも観賞。枕崎の関係者は「(枕崎に製造方法を伝えた)森弥兵衛の教えの基、かつお節を作っています」。土佐清水の関係者は「印南町とは深い関わりがあり今回の訪問を楽しみにしていた」と感慨深げに話した。
10人は今回の訪問の一番の目的である昨年7月に印南漁港内ケ浜埋立地に建立された顕彰碑を訪れ、顕彰碑をバックに記念撮影したあと、坂下さんから説明を受けながら御坊ライオンズクラブが創立25周年記念事業で平成3年に建てた「かつお節発祥の地」のPR塔のそばに建立された顕彰碑を見学し、3人の功績をたたえるとともに改めて感謝していた。角屋甚太郎の菩提寺で位牌が祭られている印定寺も参拝した。
坂下さんは「今回の訪問を一番喜んでいるのは天上の甚太郎、弥兵衛、與市であり、平成60年に顕彰碑建立を志しつつも実現できなかった小谷緑草氏、要海正夫氏、平尾茂雄氏、塩路武男氏(いずれも故人)の研究者達だと思います」と喜んでいた。
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