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和高専 方杭沖(日高町)でアマモ増殖海中実験 海洋環境に影響与えない繁殖方法 〈2020年1月23日〉

2020年01月23日 08時30分00秒 | 記事

シーカヤックからまく生徒ら


 御坊市名田町野島、国立和歌山工業高等専門学校の楠部真崇准教授(42)らが、「海のゆりかご」と呼ばれる海草のアマモを増やそうと、日高町方杭沖で海中実験に取り組んでいる。種子を海底の砂とともに微生物の酵素を利用して固め、海にまく技術を開発。元々海にあるものだけを使うため、海洋環境に影響を与えない繁殖方法として注目されており、減少傾向が続く藻場の再生へも研究の成果に期待がかかる。

 海の汚染により、日本の藻場は30年ほど前に比べると40%減少したと言われ、瀬戸内海では約7割が減ったとされる。アマモは海中の酸素供給や水質浄化などの役割を果たすほか、魚類の産卵場所や住み処になるため、生物多様化の観点からも重要。
 藻場減少の背景から、アマモの人工増殖も進められており、これまで種子を生分解性プラスチックポッドやヤシ繊維のシートに植え付けて海底に設置していたが、ポッドやヤシ繊維は海域外から持ってくるもので、設置にはダイバーが潜らなければならないなど環境への影響や手間が課題だった。
 これを受け、元々海中にいる微生物が出す酵素を利用して海底の砂を使って固め、その海域のアマモ種子を入れる「マリンバイオセメント」を開発。アマモの成長に応じて元の砂に戻るため、海を汚さず、発芽させることができるという。
 水槽での実験が成功し、平成30年8月、方杭の海底に縦15センチ、直径10センチ程度の円柱型の同セメント20個を投げ入れたが、以降、台風の影響で流されるなどアマモの発芽は見られなかった。円柱型では量産が難しく、1~2センチ程度の球状の塊に改良し、昨年12月4日に同海域で楠部教授や生徒らがシーカヤックから数百個を海中にまいた。
 これまでにない海上から落とすだけという簡単な方法で散布できており、今後は毎月、楠部准教授や生徒が素潜りで成長を確認し、発芽できれば、ダイバーに依頼して水中撮影して経過を見る。
 楠部准教授は「順調にいけば2、3月頃に芽が出て、5、6月頃に次世代の種子が回収できると思う。藻場のあるところは魚がとれるとも言われる。種子がある海草類に応用でき、魚介類を増やし、豊かな海を戻すためにも、一刻も早い社会実装を目指したい」と話した。


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