床走行式介護リフトをフル活用し、職員の負担軽減へ
職員の腰への負担を軽減し、利用者の安心感の向上を図ろうと、社会福祉法人博愛会(小林隆弘理事長)は16日、御坊市名田町野島、ケアハウス博愛で「ノーリフトケアで持ち上げない・抱え上げない介護」をテーマにした腰痛予防研修を実施。福祉用具などを取り入れている施設はあるが、研修を開き職員に徹底させるのは県下初の取り組みで今後、定期的に研修会を開き、介護の質の向上を図っていきたい考え。
ノーリフトは、ビクトリア州にあるオーストラリア看護連盟が看護師の腰痛予防対策のために1998年ごろから提言した。危険や苦痛を伴う、人力のみの移乗を禁止し、患者の自立度を考慮した福祉用具使用による移乗介護を義務づけている。これにより「移乗時の利用者のけが」や「寝かせきり」がなくなるとのメリットがある。
研修には同会の各施設でリーダーを任せられている職員12人が参加。ノーリフトについて詳しい研修を受けた職員がノーリフトの概要や福祉施設での介護職員の労災発生状況を説明したあと、同会が導入している床走行式介護リフトや介護ロボットHALについても触れ、「介護はすべての手で行うという介護に根付いた文化を変えるために、周りを巻き込み全員で取り組みたい」とした。実技では、福祉用具や介護機器の使い方や重心のとらえ方を学んだ。
床走行式介護リフトは、専用にシートに利用者を乗せて、吊り上げ、腰に負担をかけずに車いすなどに移動させる機械。これまでは、職員2人がかり行っていた作業で1日10回以上に及ぶこともあり、腰への負担を訴える職員もいた。同リフトを同会のようにフル活用している福祉施設は県下でも珍しく、2014年に導入後、試験期間を経て、3分台での操作が可能になっている。利用者からも人の手を借りることへの気遣いがなくなることや、ゆっくりとした移動のため、コミュニケーションを取れることも好評を得ているという。
このほか、移動用シート「スライディングシート」についても、使い方を学び、ベッドの上を移動させたり、体位を変える時に発生するずれによる圧迫感をシートの上を滑らせて負担を軽減することを確認した。座っている状態からの立ち上がり、転落からの介助など介護現場のさまざまシーンで、利用者と職員の両者の負担が軽くなる方法を学んだ。
小林理事長は「今は若手の職員も今後、高齢化していく。その時でも利用者の方に安心感をもらえるようにしなければならない。県下初の研修で介護の質の向上を図ってほしい」と話している。同会では今月中に3回の研修会を開く。
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