ニュースなどでも報じられているとおり、ボーイングは今日、都内のホテルで
FAA(米連邦航空局)から承認されたB.787のバッテリー改善策の説明会見を開催しました。
会見にはボーイング民間航空機部門社長兼CEOのレイ・コナー氏と
787担当バイスプレジデント兼チーフプロジェクトエンジニアのマイク・シネット氏、
ボーイングジャパン社長のジョージ・マフェオ氏らが出席、
今回のバッテリー事故のトラブルを受けてボーイングがどのような対策を講じたのかを
説明し、質疑応答が行なわれています。
ちなみにこの会見は日本向けにセッティングされたものではなく、FAAの承認後初となる
全世界に向けた説明会で、インターネット上で生放送で世界にも配信されました。
なぜその会見が日本で行なわれたのかについては、現在飛んでいる787の半数以上が
日本で運航されていること、787の製造パートナーとして日本企業が重要な役割を
担っていることを、ウェブ上の視聴者からの質問に答えるかたちで紹介していました。
説明会見では、ボーイングが安全を最大の目標として航空機を開発、
今回発生したトラブルに関してさまざまな検証、試験を行なったことが説明され、
冒頭でバッテリーの異常発熱が航空機火災に結びつく可能性はないこと、
バッテリーの損傷があっても航空機の飛行・運航に致命的な問題はなかったことなどを
前置きしたうえで、さらなる安全対策と、起こりえないバッテリー発熱による火災に対し
バッテリーセルの設計変更や充電器の設計変更を行なったことなどを発表しました。
これまで787に搭載されてきたリチウムイオン・バッテリー(左)と、改修型のバッテリーおよび
その安全性をさらに改善する格納・排気システム(右)
また、改善計画へのFAAの承認が出たことで今後飛行試験などが始められ、
順調に進めば数週間でそれが完了、787の運航が再開される可能性があることにも触れ、
今回の一件がようやく大きな前進を見せたことをアピールしていました。
なお、設計変更されたバッテリーとそのシステムは、日本のANAやJALをはじめ、
すでに航空会社へのデリバリーが完了されている機体についても
現地での改修を行ない、各機1週間程度で作業を終えることができるとしていましたが、
実際にその作業にかかるためには、FAAや各国の安全承認が必要であることも
説明していました。
質疑応答に臨むコナー氏(左)とシネット氏(右)
なお、『航空ファン』としては発売中の4月号で緊急特集として
今回の787飛行停止関連記事第一弾を掲載していますが、21日に発売となる5月号でも
その後の動きを解説、さらにその2回のトピックの執筆を担当した青木謙知氏に、
6月号では今回の会見やボーイングの対策の詳細について、さらに解説してもらう予定です。