サウジアラビアの王室批判を米国内で行っていたサウジ国籍のカショギ記者が、トルコ・イスタンブールのサウジアラビア領事館内で殺害された事件は、サウジの関与を発表せざるを得なくなって、国際問題として大きな関心を呼んでいる。
もともとサウジアラビアは国王が統治する独裁国家であり、西欧の民主主義国家とは異なる。
中東の国々で石油の埋蔵量が多く発見されて、石油を輸出するようになって、莫大な資金を得るようになった。 サウジアラビアはその最右翼の国だ。
石油の採掘という権限を握っているサウジアラビア王室は、その豊富な資金力で多くの資本主義国、特に米国のトランプ大統領とも、公私ともに親密な関係を築いてきた。
高齢を迎えたサルマン国王の次の権力を継承するムハンマド皇太子が、多くの他の皇太子を排除して、ほぼその地位を固めつつあるが、今回のカショギ記者殺害はムハンマド皇太子の側近警護隊や秘密警察部隊で実行されたのは、ほぼ間違いなさそうだ。 それだけに苦しい言い訳を発表している。
しかし、サウジアラビアとの関係が必ずしも良くないトルコにある、サウジアラビア領事館内を舞台にして事件が実行されたことに、筆者はサウジの殺害実行計画グループに疑問を感じてしまう。 どうして領事館の施設を舞台にしたのだろう? まあ、こういう殺害事件を起こした経験がなかったとも言えるのかもしれない。 北朝鮮の金正男さんが殺害された空港ロビーなどの例もあるように、殺害関与の事実上の実行部隊の追跡がむつかしい例もあるのだから。
さすがにトランプ氏も、米国国民の反発を考えると、ムハンマド皇太子を完全に擁護できないように思える。
独裁国家が世界にまだまだ多いとはいえ、民主主義国が国際政治の舞台では主導権を握っているのが現実であるから、サウジアラビアの今後の対応の仕方では、一波乱があってもおかしくない。
日本も、サウジアラビアの石油の大口輸入国であり、国際的な制裁発動などが発せられる事態になると、大きな影響を受けることになる。
孫正義氏の投資ファンドの出資元もサウジアラビアであり、今後も目が離せない事態になりそうだ。