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ウクライナ情勢に的確な解説をしてくれる、ジャーナリスト仲野博文氏

2014年03月07日 15時07分32秒 | 日記
 ウクライナ情勢は日に日に変化している。

 日本から遠く離れた東欧のウクライナに関しては、適切な解説を書くジャーナリストが少ない。

 せいぜい欧米系のソースに頼るしかないかと思っていたが、ダイヤモンドオンラインの最新号にフリージャーナリストの仲野博文氏のコラムを見つけた。

 ウクライナが混迷に至った経緯や今後の問題点など、筆者には理解しやすく感じたので、全文を添付します。

 今後の大きな判断材料となるのは、やはりウクライナを取り巻く経済問題でしょう。

 筆者は次のように、経済問題を整理しました。

1.EUの主要国であるドイツやフランス、イタリヤは、ロシアからのパイプラインで、天然ガス、石油を、必要量の30%の供給を受けている。

2.イギリスは、ロシア系資本の投資で高級不動産市場や、英国の株式市場のロシア系上場企業の存在を無視できない。

3.米国のウクライナ支援は、必要額の十分の一にも満たない。(頼りにならない)

4.ウクライナ東部地区に、同国の新興財閥系企業が多く存在し、今回の政変を歓迎していない。

 結論的には、経済面でロシアの存在を無視できないと言う事である。

 首都キエフの市民はEUに近い事もあり、EUの傘下にありたいと願っているようであるが、クリミア半島は、もともとソ連邦の頃から、ソ連とのつながりも深く、ロシアの軍港もあり、ロシア軍の影響を受けていた地域だ。

 ロシア系住民と言われる人々も多く住んでいる。しかし中野氏によれば、ロシア系住民と言っても、ルーツがロシアであっても、ウクライナ人であり、ウクライナ語、ロシア語を使う人たちが多い。

 彼らが民族的な対立をしている訳ではなく、仲良く生活している。

 ウクライナ軍はソ連邦の時代には、多くの核弾頭装備もしていたようであるが、ソ連邦崩壊とともに、核装備は撤去された。 現在のウクライナ軍の力は弱い。

 NATOの援助があれば別だが、経済的なロシアとの関係からすると、NATOによる軍の援助は、余り期待できないのではないか?

 筆者は以上の条件からすると、ウクライナの向かう方向性は、自ずから明確であるように思えた。

(ダイヤモンドオンラインより貼り付け)

主舞台をクリミア半島へ移したウクライナ情勢  ロシアvs欧米の対立の背景と、市民が語る国家の内情 ――ジャーナリスト・仲野博文

 ウクライナ情勢が緊迫している。首都キエフの独立広場周辺で、3ヵ月にわたって繰り広げられた反政府デモによってヤヌコヴィッチ政権は崩壊。 多くのキエフ市民が歓喜したが、間もなくして政権交代に正当性がないと主張するロシアが、ウクライナ国内のロシア系住民の保護を名目に軍事行動の可能性を示唆。ウクライナ南部のクリミア半島ではすでにロシア軍部隊とみられる武装集団が要所を掌握しており、今後のロシアの動きに注目が集まっている。

 加えて、ウクライナ東部でも親ロシア派と反ロシア派の住民との間で衝突が発生しており、ウクライナの政情不安は全国に飛び火している。今後、ウクライナ情勢はどうなるのだろうか?

○ウクライナ騒乱、今日までの経緯を振り返る

 クリミア半島を巡るロシアと欧米の対立はエスカレート  2月25日のDOL特別レポートでは、キエフの独立広場を中心に展開された「ユーロマイダン」と呼ばれる反政府デモの様子を、デモに実際に参加したキエフ市民らの声を紹介する形で伝えた。

 また、歴史的にロシアとの繋がりが強く、黒海艦隊の拠点としてロシアにとって戦略上手放すことのできないクリミア半島の重要性についても紹介。 すでに2月20日の段階で、ロシア軍高官が英紙フィナンシャル・タイムズの取材に対し「クリミアを巡る状況次第では戦争も辞さない」とコメントし、2008年のロシア軍によるグルジア侵攻と同様の措置が取られる可能性を示唆していた。

クリミア半島を巡るウクライナとロシアの駆け引きはヤヌコヴィッチ政権崩壊直後から頻繁に見られるようになった。 先月24日には発足したばかりの暫定政権の内務大臣が、「ロシア軍部隊がクリミアに侵入し、何らかの活動を行った後、ロシアに戻った模様だ」とマスコミに語り、26日にはロシアのプーチン大統領がロシア軍部隊に対して軍事演習の実施を命令した。

同じ頃、クリミア半島にある主要都市の1つでもあるシンフェロポリでは各地から義勇兵志願者が集まるようになり、市内で「ウクライナによる侵攻には徹底抗戦する」とシュプレヒコールをあげた。

 前回のレポートでも紹介したが、1991年のソ連崩壊後にウクライナの領土であるクリミア半島ではロシア系住民による独立運動が広がりを見せたものの、最終的に主権をウクライナが握った形でクリミア自治共和国が誕生している。 やがてクリミア半島にあるセヴァストポリやシンフェロポリの主要な施設が地元の民兵やロシア軍部隊とみられる武装集団に占拠された。
 クリミアに駐屯するウクライナ軍部隊に対して武装解除を求める最後通告が出され、4日にもロシア軍部隊が本格的にウクライナに侵攻する可能性も取りざたされた。

 しかしプーチン大統領は同日記者会見を行い、「クリミア自治共和国内でロシア軍を使う必要はない」と語り、ロシア軍の軍事介入を否定した。大規模な軍事衝突は回避できたようにも思えるが、プーチン大統領は将来的な軍事行動の可能性はゼロではないと強調しており、武装集団は現在もクリミア半島を事実上掌握している。
 クリミア自治共和国の議会は6日、ロシア連邦への編入を決定。16日に住民投票を行い、結果次第でロシア側に編入の意思を伝える見通しだ。

○市民が語るウクライナの現在 日常生活は徐々に回復

 緊張が続くクリミア半島以外の地域は現在どうなっているのか? ヤヌコヴィッチ政権崩壊後の2月28日、キエフ在住のイローナ・ポステムスカさんは市民生活が徐々に回復し始めたと語ってくれた。 「キエフでの生活は徐々に通常モードに戻りつつあります。デモ隊と治安部隊が衝突を繰り返した独立広場周辺はまだまだ革命後のような雰囲気ですが、郊外に足を運ぶと、まるで政変があったことすら忘れてしまうくらい、以前と何も変わっていません」

ポステムスカさんは、ロシアとの結びつきが強く、第二のクリミアになる危険性すら囁かれるウクライナ東部に関しては、ウクライナで最初に安定を取り戻す場所になるだろうという考えを示す。
「東部に関しては、安定を維持するための自助努力が他地域よりも積極的に思えます。というのも、ウクライナのオルガリヒ(新興財閥)はみな東部に拠点を置いており、この地域が安定しなければ支配階級にとっても不利益になるからです。私は最初に安定を取り戻すのが東部だと確信しています」

前回のレポートでキエフの様子を細かく説明してくれたテトヤナ・オルレックさんがロシア系住民の定義の難しさについて語ってくれた。自身もウクライナ語とロシア語の両方を話すオルレックさんは、ウクライナが異なる文化を抱える国であることを認めながらも、政争に都合よく利用されてきたことが大きな問題であると指摘する。

「国外の報道でロシア系住民という言葉をよく耳にしますが、彼らはロシア人ではなく、ウクライナ人なのです。私も含めて、ウクライナにはウクライナ語とロシア語のバイリンガルは少なくありません。祖先がロシア出身で、ウクライナ人と結婚して、どちらのアイデンティティも持つ人だっています。ロシアにルーツがあっても、多くの場合、ウクライナに住む人の間で大きな問題が発生する事はあまりありませんでした。

 政治家が選挙活動をする際に、汚職やインフラの不整備などに対する有権者の怒りの矛先をそらす目的で民族問題を前面に押し出すことが頻繁にあり、そういったレトリックの積み重ねがヤヌコヴィッチ政権崩壊のタイミングで爆発したのだと思います。非常に危険な傾向です。

 レトリックと言えば、ロシア系住民の明確な線引きができないなかで、ロシアが彼らの保護を名目に軍事行動の可能性を示唆するのは、ナチスがかつてオーストリアやチェコに侵攻した際の大義名分と同じものです。つまり、ロシアがいつでも軍事侵攻を正当化できるということです」

 オバマ政権で過去に国務長官を務め、現在は2016年の大統領選挙への出馬が確実視されているヒラリー・クリントン氏は4日、カリフォルニア州で行われた資金集めパーティーの席で「プーチン大統領はまるでヒトラーのようだ」と発言。弱腰外交と揶揄されるオバマ大統領との違いを強調するための発言であったとも一部では伝えられているが、クリントン氏は翌日に「プーチン氏は決してヒトラーのような人物ではなく、ヒトラーと似たような行動をとっていると言いたかった。過去の教訓から学ぶ事はあるはずだ」と釈明し、発言内容をトーンダウンさせている。

○ロシアと真っ向から対立するのを 避けたい欧州のホンネ

ヨーロッパ諸国が一枚岩になれず、ロシアの行動に迅速に対応できない理由はいくつか存在する。ウクライナとEU諸国との距離が近く、100万人を超える兵力を誇るロシアと仮に軍事衝突が発生し、それが近隣諸国にまで拡大した場合、EUやNATOでどこまで問題に対処できるのかは未知数だ。
  NATOにしても、現実を直視すれば、アフガニスタンやコソボのように本国からかなり離れた場所で過去に展開した軍事作戦とは様相が大きく異なるのは一目瞭然だ。ポーランドとウクライナの国境にNATO軍部隊を集結させ、ロシアに圧力をかけるべきとの意見もあるが、それが限界ではないだろうか?

ヨーロッパ諸国にとって軍事力の脅威と共に頭の痛い問題となっているのが、ロシアから西ヨーロッパ各国に輸出される石油や天然ガスの存在だ。サウジアラビアに次いで世界第2位の石油輸出国であるロシアは、パイプラインを通じて石油や天然ガスをヨーロッパ各国に輸出している。

 EUで実質的な主導権を握るドイツは石油輸入全体の約28パーセントを、天然ガス輸入にいたっては全体の約38パーセントをそれぞれロシアから輸入しており、国内のエネルギー事情はロシア抜きには語れない。また、フランスやイタリアも輸入天然ガスの3割近くをロシアに依存しており、天然資源という大きな武器をロシアに握られている状態だ。

 天然資源や強大な軍事力に加えて、西ヨーロッパ各国とロシアの経済的な結びつきは年々増加する傾向にあり、ロシアと激しく対立した際に国内経済に大きな影響が出ることを懸念する国は少なくない。とりわけ、その傾向が顕著なのはイギリスで、ロシア人富豪や企業の投資先として人気の高いロンドンは、多くの高額物件がロシアンマネーによって買われ続けたため、ロシア風の名前「ロンドングラード」と揶揄されているほどだ。

 ロンドン証券取引所に名を連ねるロシア系企業は実に約70社。ガスプロムやルクオイルといったエネルギー関連企業の他にも、携帯電話会社のメガフォンといった企業の名前もある。また、個人の不動産売買でも、昨年ロンドン市内でロシア人によって購入された邸宅は264軒あり、総額は日本円にして900億円近くに達する。外国人による不動産購入ではロシア人が群を抜いてトップなのだ。そのような状態でイギリスが対ロシア経済制裁に加わった場合、経済的な「しっぺ返し」は大きいという見方が強い。

○アメリカはどう動くのか ウクライナ市民のEUに対する感情は

 ウクライナ情勢でアメリカはどう動くのだろうか?ケリー国務長官は4日にキエフを訪問し、10億ドルの融資保証を提供する経済支援策を発表している。しかし、ウクライナの対外債務は1400億ドルに達しており、焼け石に水との声もすでに上がっている。6日にはオバマ大統領とアメリカ国務省が、ウクライナの主権や領土統一の侵害に責任がある個人の資産凍結、ビザ発給制限などの制裁措置を発表。いずれもロシア政府高官がターゲットと見られる。

○ブダペスト覚書を反故にすることは 他の核保有国にも影響を与えるか?

これまでに話を聞いたウクライナ人の多くが、「核兵器を手放すべきではなかったのかもしれない」と語った。前述のポステムスカさんは、ヤヌコヴィッチ体制崩壊から間もなくしてロシアが本格的な軍事介入も辞さない姿勢を打ち出したことで、20年前に結ばれた「ブダペスト覚書」が、本質的に何の意味も持たないことを痛感したのだという。ポステムスカさんが憤りを隠さずに語る。
「1991年にソ連が崩壊した直後、ウクライナは世界第3位の核兵器保有国で、国内には約5000発の核弾頭がありました。ソ連崩壊後にアメリカを中心とした核保有国はウクライナに核拡散防止条約に加盟するよう迫り、最終的にウクライナは国内の核弾頭を廃棄、またはロシアに譲渡することで合意し、その見返りとして米英露の3ヵ国がウクライナの領土の尊重と防衛を確約したのです。

しかし、国際的な覚書も大国の思惑によって簡単に破られてしまうという現実を見せつけられました。ウクライナ国内には核兵器はもはや存在せず、抑止力として使えるものはもう何もないのです」

 ウクライナ人が憤慨する覚書の反故は、世界中に大きな問題を提起した。ウクライナから核弾頭を全てなくす「ブダペスト覚書」は米英露の主導で行われ、ウクライナは領土保全の確約と財政支援を条件に覚書にサインをした。しかし、その覚書がウクライナにおける一連の政変のなかで、大国の思惑によって事実上無効とされてしまった。

奇しくもイランの核開発停止を求めて交渉を続ける主要3ヵ国は米英露であり、領土保全の確約が大国によって簡単に反故されてしまう現実や、抑止力になりうるものを持たない国が大国に翻弄される姿をイラン政府はどのような思いで見ていたのだろうか?

 すでに核を保有している国や開発中とされる国に対して、欧米やロシアが核の不拡散を理由に廃棄や開発中止を求めても、今後その言葉にどれだけの信頼性を見いだせるのだろうか。ブダペスト覚書の事実上の反故は、やがて他の国々にも少なからず影響を与えそうだ。

(貼り付け終わり)

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