今までの国民会議派の無能力と汚職にうんざりした国民が、インドの総選挙でナレンドラ・モディ氏に投票し勝利した。
そしてこの政権もナショナリストとして、インドで大きな支持を得ている。
日本も、行き詰まっていた麻生自民党政権の後に、民主党政権を選択したが、東日本大震災と言う不運も重なった事により、政権運営能力の不足と言う馬脚を現してしまい、その後の総選挙で再び自民党、公明党に大きな票を与えてしまった。
その結果誕生した安倍政権が、経済再生を行うと言うアベノミクスで、大きな支持率を得て推移していたが、最近は彼が本来志向していた、いつでも同盟国と共同で軍備発動が出来る、「普通の国」を目指していると言っても、間違いではなかろう。
資本主義が行き詰りの結果、金融資本主義の傾向がますます強くなり、世界を動き回る巨大なマネーが、新興国の経済を不安定にし、その国の政治家の汚職を招き、国民生活の不満を招き、国民の不満が爆発するきっかけになる。
それが、ナショナリストの政治家たちの威勢の良いアジ演説に、国民が支持を与えてしまう。
これは最近のフランスなど欧州諸国でも、極右政党が第一党になったりして、欧州、アジア等がナショナリストの右傾化政権が力を得るという危険な兆候を示している。
英フィナンシャル・タイムズ紙が、アジアの主要国がナショナリストに支配されている事に警告しているが、第二次世界大戦が勃発した頃の歴史も、やはり当時の資本主義の政策の行き詰まりであった。
このコラムの著者は「ナショナリズムに関しては、その答えは、欧州の歴史の血まみれのページの中に見つかる。だが筆者には、アジアの4人の騎士が時間を割いてそうした歴史を読んだとは思えない。」と歴史を勉強すべきだと言っている。
筆者もその通りであると思うが、社会のひずみに不満をもった国民は、行き着くところまでいかないと、進路変更が出来ないのではないかと危惧する。
(JBPressより貼り付け)
ナショナリストたちの危険な駆け引き
アジア地域の4大大国、錯綜する指導者たちの思惑
2014.05.26(月) Financial Time
(2014年5月23日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
インドで新たな首相が誕生する。これにより、アジアの4大大国すべてが今、好戦的なナショナリストに率いられることになる。戦後秩序の多国間主義の前提が、大国間競争への回帰に取って代わられようとしている。ナショナリズムが勢力を増しており、台頭する東方ほどそれが顕著なところはない。
一見したところ、インドの総選挙でのナレンドラ・モディ氏の勝利は、地政学とはほとんど関連がないように見えた。モディ氏は、インド国民会議派の無能力と汚職にうんざりした国に向かって訴えかけた。同氏の公約は、経済成長の加速と生活水準の向上だった。
だが、モディ氏の野望は、国内を超えたところにまで及んでいる。インドは国際舞台で中国に対抗できる国になるべきだ、というのだ。
モディ氏のヒンドゥー民族主義は、地域のムードに合致している。中国の習近平国家主席は、中華帝国の過去の栄華を取り戻したいと思っている。 小平の慎重さは、中国の力に対するしかるべき敬意を求める姿勢に取って代わられている。
日本では、安倍晋三首相の経済プログラムは、中国に立ち向かうために日本の力を再構築するという決意に突き動かされている。アジアで4番目の国家主義の騎手、ウラジーミル・プーチン氏は、ウクライナへの軍事介入によって協調的な国際秩序を軽視するロシアの姿勢を示した。
安倍氏の日本とモディ氏のインドは「中国封じ込め」で手を組む?
安倍氏は、モディ氏が外遊する際に東京が最初の訪問先になることを期待している。当局者らによると、インドの次期首相は安倍氏の気質や目的を共有しているという。話題になっているのは、大規模な戦略的取引だ。
日本は、インドの経済発展を早める技術と投資を持っている。インドは、中国を封じ込めるうえで強力な味方になる。日本は東シナ海で、そしてインドは北部の国境地帯でそれぞれ中国と領有権問題を抱えており、両国ともインド洋での中国の海軍力を懸念している。
日中関係は、相変わらず悪い。中国は、問題になっている東シナ海の尖閣諸島(中国名・釣魚島)に対する領有権を強く主張している。安倍氏は、戦没者とともにA級戦犯が合祀されている東京の靖国神社を参拝することで修正主義者のポーズを取った。
バラク・オバマ大統領率いる米国政権は地域の軸となる安全保障同盟で日本に縛られ、中国政府を思いとどまらせようとしながら、日本政府を抑えようとする状況に陥っている。
対等ではない中ロのパートナーシップ
プーチン氏は、西側と対決した後、東方を向いている。プーチン氏は先日、大型のガス供給契約をまとめるために北京にいた。この契約の狙いは、クレムリンが西側の批判者たちに対し、自分たちは新興国世界にガスの代替市場と強力な友人を持っていることを示すことだった。
差し当たり、習氏はこの取り決めに満足している。中国はガスを必要としており、ロシアは国連で都合のいい味方になり得る。ロシア政府と同様、中国政府も、現在の国際体制は西側に有利なように歪められていると考えているからだ。
だが、このパートナーシップは対等ではない。中国は、ロシアの右肩下がりの経済や、この国を衰退へと引きずり込んでいる社会的、人口動態的な傾向を軽蔑している。というわけで、プーチン氏の役割は、役に立つ愚か者の役割だ。
安倍氏は、クレムリンが賭けを分散させる気になることもあり得ると思っている。ロシアは、人口が急減するシベリアで中国の存在感が高まっていることに神経をとがらせている。
やがては中国系市民がロシア極東で支配的な民族になる可能性もある。プーチン氏がウクライナで展開した治外法権の教義を、中国政府がロシア領土に住む中国系市民に適用するまであとどれくらいかかるだろうか?
ロシアによるクリミア併合を小声で批判してきた安倍氏は、日露関係を「正常化」すべき時だと判断している。
ベトナム、フィリピンなども巻き込んで複雑化
ライバル関係と再編がくるくる入れ替わるこの万華鏡は、比較的小さな参加者を巻き込む衝突の渦によってさらに複雑になっている。
中国は、双方が領有権を主張する南シナ海海域を巡ってベトナム、フィリピンと激しい論争を繰り広げている。韓国は日本の自然な同盟国であるはずだが、日本の帝国主義の過去の罪を認めたがらない安倍氏の姿勢が韓国政府を中国に接近させている。
中国は、隣国が中国に反感を抱くように仕向けていると米国政府を非難している。だがむしろ、隣国を米国の腕の中へと追いやっている中国の高圧的姿勢だ。
こうした状況がもたらす1つの結果は、地域全体での急激な軍事力の増強だ。中国とロシアは防衛予算を2ケタ増額する。インド軍も同様の増額を確保しており、モディ氏が公約した経済再生の果実に対する最初の権利を主張するつもりだ。
安倍氏としては、部隊を配備する自国の能力に対する制約を減らすため、日本の戦後憲法の解釈を見直したいと思っている。安倍氏が提案する変更は一見すると十分穏当なように見えるが、時代の文脈の中で見れば、中国に対抗する安全保障同盟のネットワークを築く戦略が浮き彫りになる。
地域の安全保障を担ってきた米国の力
ここへ、食い違う歴史認識という有毒な遺産と国境紛争を解決する国際的な仕組みがないことを加えると、アジア地域はこれまで以上に燃えやすいように見える。今のところは、米国が事態を掌握している。米国の力は衰えているかもしれないが、まだ誰よりも多くの武器を持っている。すべてのアジアの指導者たちの心にある最大の疑問は、それがどれくらい続くか、だ。
米国が中東から撤退したのを見て、同盟国の多くは米国による安全保障がどれほど長続きするか疑問視している。日本と韓国の当局者たちは、短中期的には米国が必要だが、長期的には独自の計画を立てなければならないと言う。
中国の戦略は極めて明確なように見える――米国を西太平洋から追い出し、隣国からの賛辞や貢物を求めることだ。中国は米国政府の決意を試すために、圧力をかけたり刺激したりするだろう。
筆者は先日、東京の友人から「ナショナリズムのどこが悪いのか」と聞かれた。そう、愛国主義には良いところがたくさんがある。ナショナリズムに関しては、その答えは、欧州の歴史の血まみれのページの中に見つかる。だが筆者には、アジアの4人の騎士が時間を割いてそうした歴史を読んだとは思えない。
By Philip Stephens
(貼り付け終わり)
そしてこの政権もナショナリストとして、インドで大きな支持を得ている。
日本も、行き詰まっていた麻生自民党政権の後に、民主党政権を選択したが、東日本大震災と言う不運も重なった事により、政権運営能力の不足と言う馬脚を現してしまい、その後の総選挙で再び自民党、公明党に大きな票を与えてしまった。
その結果誕生した安倍政権が、経済再生を行うと言うアベノミクスで、大きな支持率を得て推移していたが、最近は彼が本来志向していた、いつでも同盟国と共同で軍備発動が出来る、「普通の国」を目指していると言っても、間違いではなかろう。
資本主義が行き詰りの結果、金融資本主義の傾向がますます強くなり、世界を動き回る巨大なマネーが、新興国の経済を不安定にし、その国の政治家の汚職を招き、国民生活の不満を招き、国民の不満が爆発するきっかけになる。
それが、ナショナリストの政治家たちの威勢の良いアジ演説に、国民が支持を与えてしまう。
これは最近のフランスなど欧州諸国でも、極右政党が第一党になったりして、欧州、アジア等がナショナリストの右傾化政権が力を得るという危険な兆候を示している。
英フィナンシャル・タイムズ紙が、アジアの主要国がナショナリストに支配されている事に警告しているが、第二次世界大戦が勃発した頃の歴史も、やはり当時の資本主義の政策の行き詰まりであった。
このコラムの著者は「ナショナリズムに関しては、その答えは、欧州の歴史の血まみれのページの中に見つかる。だが筆者には、アジアの4人の騎士が時間を割いてそうした歴史を読んだとは思えない。」と歴史を勉強すべきだと言っている。
筆者もその通りであると思うが、社会のひずみに不満をもった国民は、行き着くところまでいかないと、進路変更が出来ないのではないかと危惧する。
(JBPressより貼り付け)
ナショナリストたちの危険な駆け引き
アジア地域の4大大国、錯綜する指導者たちの思惑
2014.05.26(月) Financial Time
(2014年5月23日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
インドで新たな首相が誕生する。これにより、アジアの4大大国すべてが今、好戦的なナショナリストに率いられることになる。戦後秩序の多国間主義の前提が、大国間競争への回帰に取って代わられようとしている。ナショナリズムが勢力を増しており、台頭する東方ほどそれが顕著なところはない。
一見したところ、インドの総選挙でのナレンドラ・モディ氏の勝利は、地政学とはほとんど関連がないように見えた。モディ氏は、インド国民会議派の無能力と汚職にうんざりした国に向かって訴えかけた。同氏の公約は、経済成長の加速と生活水準の向上だった。
だが、モディ氏の野望は、国内を超えたところにまで及んでいる。インドは国際舞台で中国に対抗できる国になるべきだ、というのだ。
モディ氏のヒンドゥー民族主義は、地域のムードに合致している。中国の習近平国家主席は、中華帝国の過去の栄華を取り戻したいと思っている。 小平の慎重さは、中国の力に対するしかるべき敬意を求める姿勢に取って代わられている。
日本では、安倍晋三首相の経済プログラムは、中国に立ち向かうために日本の力を再構築するという決意に突き動かされている。アジアで4番目の国家主義の騎手、ウラジーミル・プーチン氏は、ウクライナへの軍事介入によって協調的な国際秩序を軽視するロシアの姿勢を示した。
安倍氏の日本とモディ氏のインドは「中国封じ込め」で手を組む?
安倍氏は、モディ氏が外遊する際に東京が最初の訪問先になることを期待している。当局者らによると、インドの次期首相は安倍氏の気質や目的を共有しているという。話題になっているのは、大規模な戦略的取引だ。
日本は、インドの経済発展を早める技術と投資を持っている。インドは、中国を封じ込めるうえで強力な味方になる。日本は東シナ海で、そしてインドは北部の国境地帯でそれぞれ中国と領有権問題を抱えており、両国ともインド洋での中国の海軍力を懸念している。
日中関係は、相変わらず悪い。中国は、問題になっている東シナ海の尖閣諸島(中国名・釣魚島)に対する領有権を強く主張している。安倍氏は、戦没者とともにA級戦犯が合祀されている東京の靖国神社を参拝することで修正主義者のポーズを取った。
バラク・オバマ大統領率いる米国政権は地域の軸となる安全保障同盟で日本に縛られ、中国政府を思いとどまらせようとしながら、日本政府を抑えようとする状況に陥っている。
対等ではない中ロのパートナーシップ
プーチン氏は、西側と対決した後、東方を向いている。プーチン氏は先日、大型のガス供給契約をまとめるために北京にいた。この契約の狙いは、クレムリンが西側の批判者たちに対し、自分たちは新興国世界にガスの代替市場と強力な友人を持っていることを示すことだった。
差し当たり、習氏はこの取り決めに満足している。中国はガスを必要としており、ロシアは国連で都合のいい味方になり得る。ロシア政府と同様、中国政府も、現在の国際体制は西側に有利なように歪められていると考えているからだ。
だが、このパートナーシップは対等ではない。中国は、ロシアの右肩下がりの経済や、この国を衰退へと引きずり込んでいる社会的、人口動態的な傾向を軽蔑している。というわけで、プーチン氏の役割は、役に立つ愚か者の役割だ。
安倍氏は、クレムリンが賭けを分散させる気になることもあり得ると思っている。ロシアは、人口が急減するシベリアで中国の存在感が高まっていることに神経をとがらせている。
やがては中国系市民がロシア極東で支配的な民族になる可能性もある。プーチン氏がウクライナで展開した治外法権の教義を、中国政府がロシア領土に住む中国系市民に適用するまであとどれくらいかかるだろうか?
ロシアによるクリミア併合を小声で批判してきた安倍氏は、日露関係を「正常化」すべき時だと判断している。
ベトナム、フィリピンなども巻き込んで複雑化
ライバル関係と再編がくるくる入れ替わるこの万華鏡は、比較的小さな参加者を巻き込む衝突の渦によってさらに複雑になっている。
中国は、双方が領有権を主張する南シナ海海域を巡ってベトナム、フィリピンと激しい論争を繰り広げている。韓国は日本の自然な同盟国であるはずだが、日本の帝国主義の過去の罪を認めたがらない安倍氏の姿勢が韓国政府を中国に接近させている。
中国は、隣国が中国に反感を抱くように仕向けていると米国政府を非難している。だがむしろ、隣国を米国の腕の中へと追いやっている中国の高圧的姿勢だ。
こうした状況がもたらす1つの結果は、地域全体での急激な軍事力の増強だ。中国とロシアは防衛予算を2ケタ増額する。インド軍も同様の増額を確保しており、モディ氏が公約した経済再生の果実に対する最初の権利を主張するつもりだ。
安倍氏としては、部隊を配備する自国の能力に対する制約を減らすため、日本の戦後憲法の解釈を見直したいと思っている。安倍氏が提案する変更は一見すると十分穏当なように見えるが、時代の文脈の中で見れば、中国に対抗する安全保障同盟のネットワークを築く戦略が浮き彫りになる。
地域の安全保障を担ってきた米国の力
ここへ、食い違う歴史認識という有毒な遺産と国境紛争を解決する国際的な仕組みがないことを加えると、アジア地域はこれまで以上に燃えやすいように見える。今のところは、米国が事態を掌握している。米国の力は衰えているかもしれないが、まだ誰よりも多くの武器を持っている。すべてのアジアの指導者たちの心にある最大の疑問は、それがどれくらい続くか、だ。
米国が中東から撤退したのを見て、同盟国の多くは米国による安全保障がどれほど長続きするか疑問視している。日本と韓国の当局者たちは、短中期的には米国が必要だが、長期的には独自の計画を立てなければならないと言う。
中国の戦略は極めて明確なように見える――米国を西太平洋から追い出し、隣国からの賛辞や貢物を求めることだ。中国は米国政府の決意を試すために、圧力をかけたり刺激したりするだろう。
筆者は先日、東京の友人から「ナショナリズムのどこが悪いのか」と聞かれた。そう、愛国主義には良いところがたくさんがある。ナショナリズムに関しては、その答えは、欧州の歴史の血まみれのページの中に見つかる。だが筆者には、アジアの4人の騎士が時間を割いてそうした歴史を読んだとは思えない。
By Philip Stephens
(貼り付け終わり)
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