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シャープの苦戦で思う事。

2015年04月20日 10時12分04秒 | 日記
 週刊現代5月2日号のトップ記事で、『安倍官邸、大銀行に瀕死のシャープを助けてやれ!そんなにヤバいのか』と打ち出している。

シャープが台湾の鴻海精密工業EMS企業に支援を求めたりと、もう3~4年前から生き残りの対策をいろいろ行ってきていたことはよく知られている。

一時は亀山モデルと銘打ち、優秀な液晶テレビの代名詞としてPRし、シャープの液晶テレビを購入した消費者も多かったに違いない。

 しかし、液晶テレビが経営の足を引っ張る原因になったのは、筆者には政府のエコポイントの優遇策に、液晶テレビを導入した事にも大きな遠因があったとみている。

 思い出して欲しいが、デジタルテレビへの本格的な切り替え時期にも合わせて、多額のエコポイント補助金を政府が導入したために、各テレビメーカーは大増産体制をとった。

 当時の販売数量を見ていると、素人が見てもエコポイントの期限切れ頃から、恐らくテレビ販売数は激減すると予想できた。

 案の定の結果になり、その後のテレビは販売不振に陥り、販売価格は値下がりの一途に陥り、エコポイントなど関係ないくらいの大幅値下がりが生じ、テレビメーカーの採算は一挙に悪化していった。

 しかも、エコポイントでうるおっていた間に、海外のマーケットは韓国のサムスンやLG、米国のVIZIOなどにシェアを取られる結果にもなった。

 国内の極端な販売不振から、海外にシフトしようとしたときには、韓国や中国勢の液晶ディスプレイとのコスト競争力を失い、国内で大型の液晶ディスプレイ工場の投資をしたシャープにとっては、大きな経営上の負担に陥った。

 そしてテレビの液晶より、技術や価格面で優位に立てたスマホ向けの液晶ディスプレイにおいても、ソニー、東芝、日立の液晶部門が合併したジャパンディスプレイとの、価格、技術競争に陥る。

 しかもサムスンなどの海外勢も技術進歩が著しく、シャープの優位性が失われていった。

 筆者は幼少のころ、シャープが早川電機であったころから、あの本社の周辺の長池公園などで遊んでいた経験があった。正直のところ関西の家電の大手、松下、三洋、早川は、関西の若者の就職先としても、あこがれの大企業でもあった。

 松下などに比較すると、当時はシャープは関西でも一ランク下の家電メーカーとみられていたが、ブラウン管テレビ時代に、安価で品質もまあまあという評価も受け、シェアはサンヨーよりも上回っていた。

 そのうちに、電卓や液晶電卓などの技術が評価され、のちの液晶ディスプレイへとシャープは発展する。

 また一方では太陽電池などにもサンヨーと同じく進出したが、海外マーケットへのシェア競争では、中国企業に太刀打ちできず苦戦していた。

 しかし、パナソニックに吸収され消え去ったサンヨーブランドもしかりだが、シャープも経営上の見透しの失敗があったのかもしれないが、筆者にはデジタル家電製品に伴う宿命であると感じる。

 今、シャープと共にソニーも、本来の製品分野では大いに苦戦を強いられている。

 日経ビジネスではシャープやソニーの顛末を、特集しているので、興味のある方は一読されることをお勧めする。

 デジタル化製品は、すべての商品に特徴を出しにくく、してしまっている。世界のスマホ市場を席巻しているように見えるアップルにしても、iPhoneの優位性は、OSソフトとデザインの優位性だけなのではないかと思えるのだ。

 しかし最近発売されたサムスンの曲面液晶のスマホなどが市場に出てくると、ただ薄さだけをデザインしてきたアップルの優位性も、心もとなくなるように思える。

 デジタル製品は、アップルのように製造工場を持たず、徹底的にデザインや技術開発に経営資源を投入するメーカーが存在し、大型設備投資を行ったメーカーに不利に見えるかもしれない。

 確かに、個別の部品の優秀な製品を集めれば、品質上は問題ない製品が作れる時代ではある。

 しかし、ものつくりは必ず工場を必要とするだけに、筆者は最後は、優秀な技術を生み出す工場を持つ企業が生き残るのではないかとみているのだが。