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貧困化が進行する日本の現実。このまま対策なしで良いのであろうか?

2015年04月06日 18時09分43秒 | 日記
 戦後の高度成長期は当然としても、日本人の生活実感は、自分の立ち位置は中流に属しているというのが、10数年前頃までは普通の実感であった。

 しかしその後に続く長い不況対策と国際競争力対策として、企業に対して、雇用形態に非正規社員を採用できる幅が大幅に拡大された。

 特に25~35歳の男子の非正規社員の比率は30%にもなると言われており、深刻な低所得者層を形成してしまっている。

 正社員に比べて、所得額比較では半分以下、社会保障などの恩恵も少ない場合が多い。そこには深刻な格差を生み出している。

 したがって結婚にも踏み切れず、親の資産に頼っている人達も少なくない。

 確か「日経ビジネス」などでも貧困問題の特集を組んでいたが、「東洋経済」も最近号で、『貧困の罠』という特集号を出している。

 下に電子版にある記事を載せますが、計算上は日本人の6人に1人が貧困状態であるという、深刻な実態を記しています。

 しかも貧困は、裕福であった正規社員でも陥る可能性があるというのです。

 その原因は、復帰が困難になる病気に襲われるのがきっかけであったり、親の介護負担で満足に仕事ができなくなったりと、貧困にはまる可能性は一般の人にもあるのです。

 そして当然のことですが、所得が得られない高齢者や障害者、傷病者が貧困に陥いっているのは、当然の結果です。

 改めて、日本は先進国の中では予想以上に、セーフティーネットが貧弱であり、本来ならば国が責任を持って、改善に注力するべきですが、逆に予算削減の動きが加速しているのが現実です。

 この記事は次のように結んでいます。

「 多くの人は、貧困は他人事だと思っているだろうが、実はそうではないのだ。女性、高齢者、子どもなどにもその闇は広がり、日本を覆いつつある。 まずはその事実にきちんと向き合うこと、そしてどのような対策を打つのか考える必要がある。」

(東洋経済オンラインより貼り付け)

多くの日本人が貧困に沈むのは、なぜなのか
「6人に1人が貧困状態」という不都合な真実
中島 順一郎 :週刊東洋経済編集部 記者
2015年04月05日

 2012年の日本の相対的貧困率は16.1%と過去最悪を更新した。相対的貧困率とは、国民の所得分布の中央値の半分(2012年は122万円)未満である状態を示す。相対的貧困率には所有する資産は考慮されていないが、誤解を恐れずに単純化すると日本人の6人に1人が貧困状態にあるということだ。今年1月時点の生活保護受給者も217万人と過去最多に上る。

「貧困は自己責任」「本人の努力が足りない」――。

 貧困世帯には時として厳しい批判が飛ぶ。だが本当にそうなのか。病気、ケガ、介護、転職、失業……誰にでも起こりうる事態をきっかけに、人々は「安定」からいとも簡単に滑り落ちていくのだ。

●年収1200万円の生活が一転

 「まさかこんなことになるなんて……」

 50代の男性はそう嘆く。彼はかつて誰もがうらやむエリートビジネスマンだった。外資系IT企業を渡り歩いてキャリアアップ。ピーク時の年収は1200万円に上り、充実した生活を送っていた。ところが、現在の年収は約300万円と4分の1に。一時は生活保護の申請に足を運ぶなど、生活に困窮していた。彼の身に一体何が起こったのか。

 最初のきっかけは病気だった。2005年頃に大手通信会社系企業に転職。その後、スマートフォンの新商品発売に向けた連日の激務がたたり、脳の病気で倒れた。3カ月で復帰すると、今度は職場でパワーハラスメントを受けた。「いつ倒れるかもわからない人に年収1000万円ものコストをかけたくないから、早くやめさせたかったんじゃないか」と男性は振り返る。

 さらに不幸は重なる。しばらくして今後は母親が心臓の病気で倒れた。都内のマンションから東京郊外にある実家に戻り、看護をしながら通勤する生活に。通勤時間は片道2時間半。終電に間に合わず、週の半分はサウナに寝泊まりしていたという。それでも親の看護と仕事の両立は簡単ではない。自分が倒れたときに有給休暇を使い切っており、欠勤扱いになる日が増加。2011年末に会社を解雇されてしまった。

 解雇と同じくして母親は他界。さらに父親にも肺がんが見つかり、母の死から数カ月後になくなった。精神的にはどん底だったが、それでも働かなければ生活できない。実家暮らしで家賃負担はなかったが、希望の仕事を見つけるのは難しい。コンビニのバイトを始めた。生活保護の申請にも行ったが、持ち家と数十万円ほどの貯金があるから認められないと担当者はにべにもなかった。

 その後、家を300万円で売却。友人たちの誘いなどもあり、貯金を元手に都心に戻ってきた。現在はITの知識を生かしてフリーのコンサルタントとして生計を立てている。だが病気などで働けなくなったらどうなるのか、老後はどうするのかを考えると不安は募る。

●手薄なセーフティネット

 経済学に「貧困の罠」という言葉がある。本来は税制や社会保障制度などの欠陥によって貧困から抜け出せない状況を意味する。ただこの男性のように普通に生活をしていても、貧困に陥る「罠」は少なくない。

 転落者を受け止めるセーフティネットも手薄だ。雇用保険や医療保険、年金などのように保険料を支払い、いざというときに給付を受ける社会保障制度はそれなりにある。が、それら防貧ネットからこぼれ落ちた人たちの受け皿となるセーフティネットは生活保護しかないのが実情だ。

 その生活保護への風当たりは強い。もともと受給者の負担のない救貧施策のため、批判を浴びやすいが、保護費負担金は3.8兆円(事業費ベース)に膨らんでいることもあって、予算削減の動きが加速している。

 生活費にあたる生活扶助は今年4月からカットされた。これで2013年から3度目の切り下げだ。7月以降は家賃に当たる住宅扶助や暖房費などの冬期加算も削減される見込みとなっている。

 生活保護世帯は過去最多を更新し続けているが、構成比を見ると高齢者と障害者・傷病者が多く、全世帯の7割超を占める。

 これらは事実上働くことができない世帯だ。保護費の内訳を見ると医療費にかかるものが半分を占める。生活保護というと不正受給に注目が集まりがちだが、生活保護費の総額に占める割合は 0.5%前後で推移しており、多いとはいいがたい。

 高齢者が増えるに伴って、今後も生活保護受給世帯が増え続けるのは間違いない。生活保護費だけに着目して予算を削減するのではなく、年金、医療、介護など約30兆円に上る社会保障関係費全体の中で議論すべきだろう。

 国もセーフティネットの拡充に向けた問題意識は持っている。今年4月から生活保護に陥る手前で支援するために「生活困窮者自立支援法」を施行した。

 フランスの経済学者トマ・ピケティ氏が記した『21世紀の資本』。ピケティ氏は米国などにおいて上位1%の富裕層に富が集中する格差の構造をあぶりだした。一方、現在の日本で問題視される格差とは、大衆層の貧困化なのである。

 多くの人は、貧困は他人事だと思っているだろうが、実はそうではないのだ。女性、高齢者、子どもなどにもその闇は広がり、日本を覆いつつある。まずはその事実にきちんと向き合うこと、そしてどのような対策を打つのか考える必要がある。

(貼り付け終わり)