晴れた。
しばらく晴れが続く。
里の秋もいよいよ大詰め、
すっかり葉を落とした梢(こずえ)の間から
高~~~い秋の青空が透けて見える。
風は,枯れ葉の匂いを僅かに残して野山を吹きわり、
すっかり刈取られた小豆畑に、てんてんと小盛りの山が続く。
高い所から見ると,畑のあちこちから白い煙りが上がり、
夕暮れのオレンジ色の西空に、豆殻を焼く煙りがたなびく。
どんなデジカメを持って来ても、この風の匂いや、頬をかすめる
秋のニセコの・・・・この肌触りを写しとることは出来ない。
むしろ、それほど饒舌ではない素朴な言葉が、人々のイメージを
膨らませるのかも知れない。
昨夜は、日本のお客様3名、台湾のお客様9名がこのYHに宿泊した。
『これは、おれのワイフ、コレハワタシノイモウト、
KOREHA,WATASINO,OJISANN?』何か,一族郎党のほっかいどうツアー
なのかもしれない、実に明るくて元気な、ちょっとお年を召した皆様だった。
21:00時,皆がホールに『Tea Timeだ!』とくちぐちに
喋りながら,集まった。
『それじゃ、おれがアコーディオンを弾く』
いつもの『人生のメリーゴーランド』からはじまった。
最初は,珍しい楽器の登場に、それぞれデジカメの動画を写すのに忙しい、
『いーりゃん、サンスウー、U~RYU~CHI~PA~~~!!』くちぐちに話し合いながら
あ~だ、こ~だと説明し合っていた??。
しばらくすると,落ち着き『この、はげ親父、何処まで弾くのか??』
興味津々、聞きはじめてくれた。ミュゼットの白いアコに持ち替えると
歓声が上がる、『OH~~!MATA,UTUSANEBA?』
30分くらい弾き進むと、いよいよ皆さん集中してきた。
1曲ごとに、『BRAVO!!!~~~~』と声がかかった。
こちらも、トータルな演奏は道新ホール以来だったので、新鮮だった。
ホームグランドで、のびのび、アコの音色が響き渡った。
最後の、『ピアソラと情熱大陸』が終わった時点で、皆さん総立ちになって
アンコールが叫ばれた、自分家(ち)でアンコールがかかるのは
久しぶりだ、皆さん笑顔で興奮していた。
『おまえのパフォーマンスは、U~RYU~CHI~PA~~~!』
アンコールが終わっても,その場をなかなか立ち去れなかった。
元職員室のホールが,(熱気と興奮)に包まれた。
木賃宿(料金の安い,下級の宿屋)でも奇跡は生まれる。
台湾のお客様には、良い思い出になっただろう、
翌朝、旅立ちの前に、一人一人と、写真を写す、
『姉ちゃん、妹、妻、おじさん・・・・・~~~~』
皆、笑顔で、私のC.D.『Fantasy』を窓から降って、去って行った。