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共産教育論(連載第45回)

2019-04-08 | 〆共産教育論

Ⅷ 課外教育体系 

(3)未成年者向け私的学習組織  
 共産主義的な課外教育体系における未成年者向けの私的学習組織としては、いわゆる習い事の各種学習組織がある。広い意味では、前回見たスポーツクラブもそこに含まれるが、ここではスポーツ以外の学習組織を扱う。  
 このような私的学習組織は、習い事の数だけあり得るというほかないが、それらはいずれも民間人によって自由な形式で運営される。資本主義社会ではしばしばこうした私的学習組織も株式会社のような営利企業として法人格を有しているが、貨幣経済が存在しない共産主義社会では私的学習組織が営利企業化することはなく、法人格を持つこともない。  
 すなわち、こうした私的学習組織はすべてその運営者がボランティアで任意に指導する私塾のような性格のものであり(ただし、助手や職員を雇用する場合は、労働法の適用を受ける。)、学習者もまた自身の関心と適性に応じて任意に通学するだけである。   
 その点、発達した資本主義社会では労働者階級にも経済的な余裕が生じ、親の指示で子どもが多数の有償の習い事をさせられるような風潮が見られるが、共産主義社会ではそのような風潮には歯止めがかかるだろう。なぜなら、無償の私的学習組織は自ずとその数も限られるからである。反面、営利主義と無縁な限られた私的学習組織はその指導の質や熱意においては高いレベルが保証されるはずである。  
 一方、教科学習の補習を目的としたいわゆる学習塾のようなものは、そもそも社会的なニーズがほぼ存在しない。すでに見たように、共産主義的な13か年一貫制の基礎教育課程は通信制をベースとする個別教育を旨としており、集団的な学校教育に伴いがちな「落ちこぼれ」を生まないよう配慮されているからである。  
 なお、入学試験によって分断されず、かつ大学のような選抜的高等教育制度も持たない13か年一貫制の公教育制度において、受験指導に特化した受験予備校のような学習組織のニーズも存在しないことは明らかである。


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