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共産教育論(連載第18回)

2018-11-26 | 〆共産教育論

Ⅳ 基本七科各論

(1)基本七科前説
 13か年一貫制の基礎教育課程における教科教育は、基本七科としてまとめられる。すなわち、①言語表現②数的思考③科学基礎④歴史社会⑤生活技能⑥健康体育⑦社会道徳の七科である。各科目の具体的内容に関しては次節以下で個別に見るとして、ここでは基本科目に含まれていないいくつかの想定科目について見ておく。
 まず一見してわかることは、音楽や美術(図工)に関わる科目が存在しないことである。現行の学校教育ではこれら芸術系科目も必修的(または選択必修的)に提供されるのが一般である。しかし、芸術系科目はあげて生徒の個人的な関心と資質―私見によれば、その両者の収斂的総合がいわゆる「才能」―に依存するのであり、たとえ選択制でも、全生徒必修とすべきではない。
 そこで、これら芸術系科目―演劇や舞踊も含め―は基本七科には含めない。芸術系科目のうち、音楽分野の吹奏楽のようなものは基礎教育課程の付随的な課外活動として提供することはあってよいが、芸術分野は原則的に生徒の自発的な習い事として外部の専門的な指導者に委ねられる。
 また、後に該当節でも再言するが、体育系科目が「健康体育」と規定されるのは、特定の競技スポーツを学習する「競技体育」が基本七科から除外されることを意味している。無数に存在し、現在進行的に増加している競技スポーツも、生徒の個人的な関心と資質に依存する点では芸術分野とパラレルな関係にあることから、これらも課外教育ないし個人的な習い事に委ねられる。
 さらに、高度情報社会を前提とする基礎教育課程であれば、「情報処理」のような情報特化科目も想定されるところであるが、基本七科にはそれが見えない。これは、情報教育を除外する趣旨ではない。実際、基礎教育課程は原則としてインターネットを介した通信教育で実施されるのであるから、その過程そのものが高度情報化されていると言ってよい。
 従って、6歳から開始される基礎教育課程の初年から情報機器の扱いができなくてはならない。その点では、基礎教育課程の全体が一個の情報教育だとも言えるので、「情報処理」と銘打った特殊科目を用意することはないのである。
 その代わり、「言語表現」科目の中に情報読解力(いわゆるリテラシー)の養成が含まれるほか、「生活技能」の中に情報機器の機械的な仕組みや安全な取扱全般に関する技術教育が包含され、さらに「社会道徳」にはインターネット利用に係る情報倫理教育が包含される、というように情報教育は各科で必要に応じて包含的に行なわれる。


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