ザ・コミュニスト

連載論文&時評ブログ 

共産教育論(連載第40回)

2019-03-11 | 〆共産教育論

Ⅶ 専門教育制度

(6)理工学院
 技術系の高度専門職学院として、各種の技師を養成する理工学院も想定される。共産主義社会における技師は大きく分けて各種工学技師と、特に環境工学を専門とする環境技師、さらに情報技術を専門とする情報技師に分けられる。環境技師が独立した職種となるのは、共産主義社会の特色である。
 このような三種の分類に合わせて、高度専門職学院としての理工学院の内部編成も、一般工学科と環境工学科、情報学科に分けることが可能である。このうち、一般工学科は、機械や土木など伝統的な工学関係の技師の養成を担う。その細分類は多岐にわたるので、各理工学院ごとに特色ある重点化がなされることになるだろう。
 環境工学科は、環境技師の養成を担う。種々の環境保全技術を専門とする環境技師は、環境的持続可能性を高度に追求する共産主義社会では社会設計全般の土台を作る重要な技術職であり、その養成も理工学院の役割である。
 情報学科は、情報技師の養成を担う。賃労働によらない自発的無償労働が基本となる21世紀以降の新たな共産主義社会では、多くの労働が資本主義社会以上に高度にロボット化/AI化されることになるため、情報技師の役割は飛躍的に重要性を増すだろう。
 そこで、共産主義社会の情報技師にはプログラマーやシステム・アドミニストレーター、セキュリティー・エンジニアのような既存の専門職に加えて、ロボット/AIの運用を専門とするロボット/AIエンジニアのような新たな専門職も加わる。
 広義の情報技師には、情報処理を専門とする情報技師の他に、情報機器の機械的な構造を専門とする情報技師もあり、いずれも工学院における専門的な教育を経て公的な資格を認定される高度専門職と位置づけられる。
  ちなみに、資本主義社会では技師職の資格認定は主権国家ごとに異なっているが、世界共同体の下に統合される共産主義社会では技師職の認定は統一的な基準の下、全世界共通の認定試験によって行なわれるようになる。なお、同様のことは医師についても妥当するが、詳論は割愛する。


コメント    この記事についてブログを書く
« 共産論(連載第16回) | トップ | 共産教育論(連載第41回) »

コメントを投稿