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近未来日本2050年(連載第2回)

2015-05-16 | 〆近未来日本2050年

一 政治社会構造

「議会制ファシズム」の概要
 2050年の近未来日本が到達しているであろう「議会制ファシズム」とは、形式上は議会制を維持しつつ、議会制の枠組みでファシスト政党が政権党として統治する体制をいうと仮定義したが、これをもう少し敷衍してみよう。
 ファシズムは通常、議会制を否定するので、「議会制ファシズム」は教科書的には概念矛盾である。しかし新型ファシズムにおいては、議会制の枠組みは否定されないだろう。特に戦後日本では議会制の形式自体は広く定着したため、議会制を否定する企てには支持が集まらない。
 一方で、議会制の枠組みのもとで政権交替を伴わない事実上の一党支配が安定的に続くことに日本有権者は慣れ切っている。小選挙区制とさらなる議員定数削減はこうした「議会制一党支配」の構造を確立するだろう。その延長に来たるのが、「議会制ファシズム」である。
 単に「議会制一党支配」という場合、支配政党のイデオロギー的立ち位置はさしあたり不問に付されているが、「議会制ファシズム」の支配政党は、その名称はともかく、イデオロギー的には国家絶対・国粋的なファシズムを信奉する政党である。
 2050年の日本では、そのような政党が議会制の枠組みで衆参両院の絶対多数を制して事実上の一党支配を行なっているであろう。問題は現時点でまだ存在しない新党が与党化しているか、それとも既存の右派大政党がファシスト政党として再編されているかであるが、筆者としては後者を予測する。
 小選挙区制のもとで今後結党される新党が一世代程度で安定的な大政党に成長する可能性は乏しく、やはり既存の右派大政党がファッショ化する可能性のほうが現実味がある。そして、2015年現在、その兆候はすでにはっきりと現われているのである。
 ちなみに、もう一つの想定として、右派大政党がファシズムの綱領を明確にしないまま、明確にファシズムを掲げる新党と連立与党を組んでいることも考えられるが、これも「議会制ファシズム」の亜種とみてよい。
 他方、「議会制ファシズム」は野党の存在を否定するものではないので、野党勢力も議会に議席を保持するであろう。ファシスト与党への対抗上、共産党が野党第一党に就いている可能性もあるが、少数野党にとどまり、絶対多数を握る与党に対抗する力は持ち得ない。


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