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南アフリカ憲法照覧[補訂版](連載第30回)

2022-01-02 | 南アフリカ憲法照覧

閣僚及び副大臣の行為

第96条

1 閣僚及び副大臣は、国の法律に規定された倫理規則に従って行為しなければならない。

2 閣僚及び副大臣は、以下のことをしてはならない。

(a)他の有償の仕事を引き受けること。

(b)その職務と矛盾する仕方で行為すること、もしくはその公的責任と私的利益との間で衝突が生じる危険を含む状況に自身をさらすこと、または

(c)自身を富ませるため、またはその他の者に不当な便益を供与するために、その地位もしくは託された情報を利用すること。

 本条は、閣僚及び副大臣の行為規制について定めている。第2項では、有償の副業や利益相反、地位利用行為の禁止が具体的に定められているのが特徴である。通常は、不文か政令等の下位法規で定めるにすぎない閣僚の倫理規定を憲法化している点で、先進的かつ厳格と言える。

職務の委譲

第97条

大統領は、布告によって、特定の閣僚に以下の事項を委譲することができる。

(a)他の閣僚に託されたあらゆる立法の監督

(b)法律によって他の閣僚に託されたあらゆる権限または職務

職務の一時的な委任

【第98条

大統領は、職務を離れ、またはその権限を行使できず、もしくはその職務を遂行できない他の閣僚の権限もしくは職務を特定の閣僚に委任することができる。

職務の委任

第99条

閣僚は、国会の法律の定めるところに従って行使され、または遂行されるべき権限もしくは職務を州政府閣僚もしくは市評議会議員に委任することができる。その委任は‐

(a)関係する閣僚と州政府閣僚または市評議会議員の間の合意の定めによらなければならない。

(b)その定めるところにより関係する権限もしくは職務が行使され、または遂行される国会の法律と合致していなければならない。

(c)大統領の布告によって発効する。

 第97条から第99条までは、大統領及び閣僚による行政権限または職務の委譲や委任についての細則である。第99条は、国の地方への介入を定めた続く第100条とは逆に、国から地方への権限または職務の委任に関する規定である。


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