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世界共同体通覧―未来世界地図―[補訂版](連載第13回)

2024-02-13 | 〆世界共同体通覧―未来世界地図―[補訂版]

二 汎東方アジア‐オセアニア域圏

(7)インドネシア

(ア)成立経緯
主権国家インドネシアを継承する複合領域圏。ただし、ニューギニア島西半部は西パプア領域圏として分立する。また、後述のように、西ティモールのうち、東ティモールとその飛び地を結ぶ回廊地帯は東ティモールに編入される。一方、ジャワ島に近く、オーストラリアの一種の飛び地(島)であるクリスマス島がインドネシアに編入される。

(イ)社会経済状況
農林業を基軸とするが、特に林業分野では森林破壊を歯止める持続可能的林業のモデル的成功例となる。また、インドネシアでは、資本主義の時代から主要産業は戦略的に国有化する混合経済体制を採っていたことから、国有企業を共産主義的な生産事業機構に移行し、これを土台として持続可能的計画経済に比較的スムーズに移行する。

(ウ)政治制度
民族的・宗教的な独自性の強いアチェ州とバリ州は準領域圏として高度な自治が認められる複合領域圏である。東南アジア最大級にして、強い政治経済力を備えていた国軍は、世界共同体憲章の常備軍禁止条項に基づき廃止される。

(エ)特記
長く分離独立運動が継続され、インドネシア最後の紛争地域となっていたニューギニア島西半部(旧イリアンジャヤ)の平和的な独立は、世界共同体革命の主要な成果の一つとなる。それを可能とする要因は、天然資源の管理が世界共同体の直轄に移行し、この地域に豊富な石油や天然ガス資源の潜在的な権益をインドネシアが喪失することにある。

☆別の可能性
インドネシアは長く東南アジアにおける反共の砦となってきただけに、共産主義革命が不発に終わる可能性もある。より望ましくない可能性は、革命が強大な国軍勢力によって流血弾圧される可能性である。

 

(8)東ティモール

(ア)成立経緯
インドネシアから独立した東ティモール共和国を継承する統合領域圏。ただし、世界共同体の飛び地禁止原則により、インドネシアの西ティモール地方のうち、東ティモールとその飛び地オエクシ‐アンベノを結ぶ回廊地帯は東ティモールに編入される。

(イ)社会経済状況
持続可能的農業を主産業とする。独立以来、依存してきた石油採掘は世界共同体の直轄管理に移される。インドネシアとの経済協力協定により、インドネシアとの共通経済計画が適用される。

(ウ)政治制度
インドネシアと合同領域圏は組まないものの、上述の共通経済計画を共有するインドネシアの民衆会議にオブザーバを送る。

(エ)特記
旧版では、東ティモールと次項の両ニューギニアを合わせて「アジア‐太平洋諸島合同領域圏」に含めていたが、補訂版では広汎に過ぎた「アジア‐太平洋諸島合同領域圏」を「太平洋諸島合同領域圏」に縮減したことに伴い、単立の領域圏とした。

☆別の可能性
可能性としては高くないが、飛び地のオエクシ‐アンベノがインドネシアに再編入される可能性もなくはない。


(9)ニューギニア合同

(ア)成立経緯
ニューギニア島東半部及び周辺小島から成るパプアニューギニア領域圏と、インドネシアから分立して成立する西パプア領域圏が合同して成立する合同領域圏

(イ)構成領域圏

合同を構成する領域圏は、次の2圏である。

パプアニューギニア
主権国家パプアニューギニアを継承する統合領域圏。ただし、紛争地域ブーゲンビル島は分立し、メラネシア連合領域圏に編入される。

西パプア
インドネシアのニューギニア島西半部及びその周辺小島の領土が分立し、単立の領域圏として分立して成立する統合領域圏

(ウ)社会経済状況
持続可能的な農業及び食品工業が主産業となる。パプアニューギニア、西パプア両領域圏ともに、山間部では自給自足の原初的共産主義経済が維持される。また、零細の協同労働グループによる手工業が発達する。

(エ)政治制度
合同領域圏は、各領域圏民衆会議から選出された同数の協議員から成る政策協議会を常設し、圏内重要課題を討議し、共通政策を協調して遂行する。政策協議会は、パプアニューギニアの政治代表都市ポートモレスビーと西パプアの政治代表都市ジャヤプラで交互に開催される。ニューギニアでは部族抗争も激しいことから、合同には常設の部族紛争調停機関が置かれる。

(オ)特記
旧版では、東ティモールとともに、両ニューギニアを「アジア‐太平洋諸島合同領域圏」に含めていたが、補訂版では「アジア‐太平洋諸島合同領域圏」を「太平洋諸島合同領域圏」に縮減したことに伴い、独立の合同領域圏とした。

☆別の可能性
西パプアが分立する場合、パプアニューギニアとは長く別国だった経緯からも可能性は高くないが、合併して連合領域圏となる可能性もなくはない。他方、望ましくない可能性として、インドネシアが西パプアの分立を容認せず、紛争が継続・激化する可能性もある。

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