ザ・コミュニスト

連載論文&時評ブログ 

世界共同体通覧―未来世界地図―[補訂版](連載第14回)

2024-02-19 | 〆世界共同体通覧―未来世界地図―[補訂版]

二 汎東方アジア‐オセアニア域圏

(10)オーストラリア

(ア)成立経緯
主権国家オーストラリア連邦を継承する連合領域圏。ただし、インドネシアに近い飛び地(島)のクリスマス島はインドネシアに編入される。

(イ)社会経済状況
オセアニアでは最も発達した資本主義経済国であるが、天然資源の潜在価値による資本流入で補填する資源モノカルチャーの脆弱な経済構造を持っているところ、世界共同体による天然資源管理の体制が整備されると、そうした経済構造にも終止符が打たれる。持続可能的計画経済への移行により、一度は消滅していた自動車生産など、市場規模の限界ゆえに従来低調だった独自の製造業の育成も行われる。また、持続可能的な農牧業計画により、過剰取水や塩害などの生態学的諸問題も解消する。

(ウ)政治制度
主権国家時代の州に、北部準州、離島部の有人島であるココス諸島、ノーフォーク島も州に加えて、それぞれ同等の自治権を持つ準領域圏とする。また先住民も、複数の民族自治体を構成して連合民衆会議に代議員を送る。

(エ)特記
旧版では、クリスマス島を現行どおりオーストラリアに含めていたが、アジア系住民が多いことや、世界共同体の飛び地禁止原則を島嶼部にも適用して、インドネシアに編入する構成とした。

☆別の可能性
ニュージーランドとの中間点に所在し、ニュージーランドとの関係が強いノーフォーク島については、ニュージーランドに編入される可能性もある。また、飛び地に準じるココス諸島についても、より近いインドネシアに編入される可能性がなくはない。

 

(11)ニュージーランド

(ア)成立経緯
主権国家ニュージーランドを継承する統合領域圏。ただし、自治領トケラウと自由連合のクック諸島、ニウエは分立し、新設の遠ポリネシア領域圏(後述)に編入される。

(イ)社会経済状況
畜産を軸とした持続可能的計画経済が実施される。旧酪農生産者協同組合にして、最大企業体でもあるフォンテラを主要な母体とする農業畜産計画機関が主導し、温暖化に悪影響を及ぼす家畜のメタンガスを規制するための計画畜産の先進的取り組みが行なわれる。オーストラリアとは資本主義時代からの緊密な経済関係を継承し、経済協力協定を結ぶ。また、旧自治領や自由連合を含む遠ポリネシア領域圏とも経済協力協定を結ぶ。

(ウ)政治制度
主権国家時代の構成を継承する10を超える地方圏から成る統合領域圏。特別領だった離島チャタム諸島も正式に地方圏となる。先住民マオリは民族自治体を構成し、全土民衆会議に代議員を送る。

(エ)特記
法的には英領ながら、事実上ニュージーランドの保護下にあった辺境離島ピトケアン諸島も遠ポリネシア領域圏に編入される。

☆別の可能性
可能性としては高いと言えないが、オーストラリアとは経済協力協定を超えて共通経済計画を備えた合同領域圏となる可能性もなくはない。

コメント