対局日誌

ネット囲碁対局サイトでの、私の棋譜を記録していきます。
全くの初級者がどう成長していくか、見守ってください。

武宮正樹の並べるだけで2・3子強くなる本(棋書評)

2006-02-03 22:26:12 | 棋書
武宮正樹の並べるだけで二・三子強くなる本」(誠文堂新光社:武宮正樹)

一昨日紹介した「四隅八辺転」は、トレーニングのための一方法としては面白い。
が、それが紹介されている本書の、内容そのものは正直イマイチ。
というより武宮プロには申し訳ないが、ハッキリ駄本だと思われる。

そもそも本書の読みどころである「四隅八辺転」は、HPMさんのブログを読んでいただければ、「こういう方法がある」と紹介すれば、事足りてしまうのはお分かりになると思う。
つまりこの方法の紹介だけでは本一冊はおろか、一頁も埋まらないのだ。
必然的に残りの頁で何か伝えたいことがなければ、ただの穴埋めとなる。

残りのページのうち、武宮プロの打碁2局などは、細かく譜分けされているし、まだ並べる価値もあろう。
が、第3章から第5章にかけての基本定石・死活・手筋20型や、第6章の囲碁用語、第7章の囲碁格言などは、本当に「適当なものをただ詰め込んだ」という形になってしまっている。
それぞれの変化、解説からして詳しくもなく、平凡。
「こういう定石、手筋」がありますよというカタログ程度(それもたった20型!)。
かえって「定石を覚えて二子弱くなり」の傾向を、強めそうな感じすらする。
もちろん、章ごとの関連性もない。

ときどき思い出したように「四隅八辺転」を持ち出し、「回転させたらどうなるか」という図をわざわざ掲載してくるところが、「ページ稼ぎ」の印象に拍車をかけている。
そんなのは個々が自分でやればすむこと。
ただの「ゴッタ煮」といっても良い。

古今有名局(序盤のみ。10局ほど)や、置碁・武宮布石のサンプルなどもあるので、我慢して「四隅八辺転を用いて」並べれば、あるいは看板通りに「二子強くなる」かもしれないが、相当に効率が悪いと思う。

というわけでよっぽど武宮プロのファンでない限り、古書店で見つけても見送るのが無難。
絶版なのも当然か。

働きある形ない形(棋書評)

2006-02-03 02:43:46 | 棋書
働きのある形ない形」(日本棋院:林海峰)

昭和50年代に刊行されていた「新中級シリーズ」という中の一冊。
分量こそ少なめだが、解説は非常に要領良く、かつ丁寧。
初中級者が「知らなければ打てない」ポイントを、しっかり抑えているように思う。
例えば図の右上を黒番、左下を白番で考えていただきたいのだが、それぞれ次の手を正しく打てますか?

「定石の中の『筋』」に関しては、一番最後にそこまでの手順が載っているのも嬉しく、この部分が類書の「基本の手筋を学ぶ」より優れている。

「新中級シリーズ」は他の本も、コンパクトでオーソドックスな作りながら、内容がしっかりしているように思う。
古い本で絶版なためか、話題になっているのを見たことがないが、初段前後の人は古書店で見つけたら、手にとってみる価値はあるだろう。