対局日誌

ネット囲碁対局サイトでの、私の棋譜を記録していきます。
全くの初級者がどう成長していくか、見守ってください。

新刊棋書情報「飛翔の譜」

2012-11-01 23:55:55 | 棋書
小林光一プロの60歳到達を記念して、
これまでのタイトル戦獲得譜をまとめた打碁集
飛翔の譜」がMYCOMから出版された。
構成は内藤由紀子。

59局という収録数に「をっ!」と目を見張ったが、
本を開いてみてガッカリ。

1局が3譜から7譜程度という譜分けは収録数上仕方がないとして、
まず参考図が無い。
文中で変化を示したいところでは「黒A、白B、黒46…」というように
譜上に記入された符号で解説している。

ではその分、文章量が多いかというとそうでもなく、
盤面図がほとんどまるまる1ページを覆うほどの大きさである上に、
文字も年配の方を考慮してか大きめなので、
むしろほとんど解説がないといってもいい。

光一プロの並べながらもらした感想を、
そのままライターまとめただけという感じ。
突っ込んだ研究は乏しく、対局の流れを追っているのみ。

まぁ、確かに坂田栄男の「炎の譜」、藤沢秀行の「飛天の譜」、
加藤正夫の「怒涛の譜」、あるいは「秀行百名局」などといった
先人の選集と似たレイアウトではあるし、
59局も収録してソフトカバーながら税なし3000円というお値段に
満足すべきといえばその通りだけれど、何か物足りない。

小林光一プロの打ち碁は「IGOJIN」のインタビューで
自分自身述べているように理屈の裏づけがあるので、
特に大人になってから囲碁を始めた人にはとっつきやすい。
という訳で私も一度じっくり並べてみたいのだけれど、この本を購入するかは微妙。
この程度の情報量だと手元にそろった35年分の「囲碁年鑑」で
個人的に大体はカバーできてしまうんだよなぁ。

また人にすすめるにも高段者には解説量が少なく、
低段者級位者には1譜あたりの手数が多いということ、ちょっと中途半端。
まぁ解説を必要としない小林光一ファンの高段者が、
並べながらその歩みをたどるという使い方はあるかもしれない。

いかにも記念出版的内容の本といえる。

新刊棋書情報「文庫版 至高の詰碁」

2012-10-05 23:55:55 | 棋書
MYCOMから2006年に発売された「至高の詰碁」の文庫版が登場。

「詰碁の満漢全席」と表現した当時としては驚異的な厚さの一冊で
「A5版でもかなり分厚かったのにどうまとめるのだろう」
と、気になっていたが、いざ現品を確認すると意外や
それほど厚くもなくコンパクトで驚いた。

さすがに問題数は228題から213題に減ってはいるが、
旧版では1ページ2題だったレイアウトを1ページ1題に再編集しながら、
このページ数にまとめたの立派。
図面もそれほど小さくはなっておらず読みにくさは感じない。
まぁ、旧版のレイアウトの使い方が問題あったと言えるが…。

旧版はとても持ち歩く気にはならなかったが、
この大きさなら持ち運びも容易で、
携帯して空き時間に解くという使い方も可能。
これこそ詰碁集の本来あるべき姿で好印象だ。

旧版が刊行された当時はまだ詰碁が好きでなかったので、
問題のレベルの広さに賛成できなかったが、
詰碁に慣れた今なら、長い期間をかけて少しずつマスターしていく、
こういう構成もありと感じる。
高度な問題をよりやさしい関連問題とリンクさせるなど、
当時の工夫も健在。

Cランクから良い問題が揃っており、問題数も豊富。
大抵の再版本はただの焼き増しの印象があるが、
本書は文庫化することによって内容にあった構成を手に入れ、
より良書化した稀なケースだと思う。

尚、文庫化にあたり削られた問題の一部が、
無料電子雑誌「IGOJIN」に収録されている。

新刊棋書情報「石の形集中講義 完全版」

2012-09-05 22:55:55 | 棋書
MYCOMからの8月の新刊は、
名著の誉れ高い「石の形集中講義」の完全版
三村智保プロ著、伊瀬英介構成。

完全版じゃない方は何度か手に取ったことがあるが、
世間の評判通り丁寧で良い本という印象。

といってもじっくり読んだことはないので、
今回の完全版でどういう加筆・修正があったのかはわからない。
三村先生に聞いてください。
一応、「好形と眼形」という章がひとつ追加されているらしいが。
追加の章、シノギとかサバキの勉強になりそうで興味深い。

ただ元のある本の加筆・修正というのは、
どんなに良い本でも既に持っている人は購入が悩ましいだろう。
そういう意味でできれば続編の形で出してもらった方が、
ユーザーフレンドリーな気もするが…。

持っていないネット碁3段までや筋悪の高段者なら恐らく買い。
特にこういう「石の形」については、
問題集は豊富でも、解説本は意外となく、
それでいて即効性が高いので、
手元に一冊は持っておきたいジャンルだと思っている。

i碁BOOKS「囲碁年鑑2012」を買ってみた

2012-08-01 23:55:55 | 棋書


i碁BOOKSで「囲碁年鑑2012」を買ってみたよ。

巻頭のグラビアページもカラーで再現されていてまずまず。
碁盤再現機能がついているのが番碁だけというのはやはり不満だけれど、
新人王戦や女流タイトル戦など思ったより局数があるし、
収録棋譜でプロ棋戦は網羅できるので、局数には勿論不満はない。

でもやはり元がB4サイズということで文字が見にくい。

ということで拡大表示して読もうと思ったが、
アレレ

拡大は出来るけれどシャープにはならずボケボケじゃないか。
あまり読みやすくならない。

極みの一手」を買った時はそのままでも問題なく読めたので気づかなかったが、
つまり盤面再現機能がついている以外は、
ホントにただスキャンしただけというシロモノなのだ。

しかもそのスキャンの解像度が著しく低い
週刊碁より低い。
盤面図も拡大するとボケボケなのはもっと深刻で、
デフォルトの大きさでは並べることが出来ないので拡大は必須なのに、
よく見えないので並べる気にならない。
これで大半が棋譜再生機能も使えないのだから尚更だ。

尤もこのサイズの本は、私のスキャン機ではスキャンが難しいので、
スキャンされているだけでも価値はあるけれど、
そう自分で自分に言い聞かせないと納得がいかないのが本音。

当面は我慢するけれど、実使用についてあまり考えられていない。
「商品としてはどうよ」という気持ちが拭えない。
日本棋院はちゃんと販売前にしっかりテストチェックしているのかなぁ?!
今後のみならず現在発売分に関しても解像度の改善を強く望む

勿論、アプリのアップデート(しおり・メモ機能追加)もね。
一応、言えるだけ言っておきます。

新刊棋書情報「黄龍士」

2012-07-30 19:15:15 | 棋書
書店で「黄龍士」という本を見つけた。

元々、中国で刊行された本の翻訳らしく、著者は薛至誠。
訳者がマイケル・レドモンドプロの奥さん、牛仙仙プロ。
マイケル・レドモンドプロが監修ということで、
巻頭でかなりのページを使って黄龍士の強さと魅力を語っている。

黄龍士とは中国清代の棋士とのこと。
本書はその打碁集だ。

丈和が「棋力十三段」と評した黄龍士の強さを通じて、
現在中国の強さをの源泉を探るというのが主な狙いのよう。



ただし当時の中国のルールはあらかじめ4隅の星に、
石を置いてスタートするというもので、さらに白から打つ(素人の語源)。
加えて「切り賃ルール」で打たれるのが特色。
切り賃ルールについてはメーエン先生の「純碁」のサイト
囲碁ミステリーツアー」を参照のこと。

収録棋譜数は20数局。
半ページに全局図1図。
1局を10譜程度にわけて記載しており、解説も豊富で、
構成やレイアウトのバランスは悪くない。

また碁の内容も乱打戦で、そういう碁が好きな人にとっては面白いだろう。

しかしいくらレドモンド先生が絶賛しているとはいえ、
ハードカバーのために、ちょっとお高くもなっており、
古碁マニアの中でも、さらにマニアの人でないと手が出ないというのが実情。

でもコンセプトとしては少しは売れて欲しいな。
ついでこの流れから、現代中韓棋士の選集が翻訳されればベスト。
本書を並べ「キングオブ古碁マニア」を目指してはどうだろうか(笑)?

新刊棋書情報「石のヒラキ方 集中講義」

2012-07-28 23:55:55 | 棋書
小林覚プロ著「石のハサミ方 集中講義」の姉妹書、
石のヒラキ方集中講義」がMYCOMから刊行。
構成は榎本弘幸。

内容はタイトルの通り。



主に上の2間ビラキ



3間ビラキ



そして大々ゲイマビラキを中心にその特性と運用を解説。

特に運用に関しては3間以上にヒラいた時の、
Aなどの打ち込みへの対策を詳細に解説。

ヒラキのヴァリエーションはそれほど多くはないので、
一冊の本で刊行されることは珍しい。
まぁ、結構適当に打っている人が多いということだろう。



個人的には上の2間ビラキに対する考え方が参考になった。
まぁ、使われたことは記憶にないし、私も使わないけれど。
本書ではかなり豊富な事例を解説しているので、
この本一冊でヒラキに関しては十分な知識が得られるはず。
一方でどちらかというとヒラキは「守り」「バランス」に関する知識で、
華々しさがあまりないため、あまり売れないのだろうなという気がする。

むしろ「どうも手堅く2間ビラキばかりになってしまう」というような、
慎重派の人の方が、もう1、2歩進んだヒラキをマスターするのに丁度いいかもしれない。

新刊棋書情報「世界一役に立つ実戦定石」

2012-07-26 21:55:55 | 棋書
好評を博している石倉昇プロの「世界一役に立つ」シリーズの第3弾、
世界一役に立つ実戦定石」が刊行された。
構成は高見亮子。

「実戦定石」ということで難解でない、
基本定石に絞って解説しているのは予想通り。




ただその一方で上の2種のような、
最近のプロのトレンドもその基本知識から
比較的最新型までカバーしているのが特色。
アマはこういう使いやすい流行は真似したがるので、
自分は使わなくても知っておくことは有益。

また掲載されている基本定石にしても、
定石の基本部分よりも定石から外れた枝葉や、
定石後の狙いなど、他の定石書では省かれそうな点について、
こと細かく解説しているのが目を引く。



例えば上の定石に対して黒△という「定石はずれ」に対しては、
白△とトビオリれば良いということは比較的どの定石書にも書いてあるが、
それに対して黒1と両ノゾキされた時にどう対応すれば良いのかというは、
紙面の都合で省略されていることがほとんど。

本書ではこういった対応策についても、
結構手数を進めて解説してくれる。
その分、難しく感じるところもあるかもしれないが。



この定石で白1と動き出された時にどうするかというテーマを、
このブログの初期に検討したことが懐かしい。
勿論、本書では対応策を明記している。

事典として使うには紹介されている定石が少ないし、
「汎用・普遍的な定石の考え方」を学ぶ「碁学」書にもあまり向かないが、
「こうなったらこう打て」と割り切って読む、
「マニュアル本」としては極めて実戦的で即効性が高そう。

採用されている定石・布石もネットや大会で頻出の形であり、
プロの選んだ30の定石 アマの好きな30の定石」より私的にはグッドチョイス。
初段前後低段ぐらいまでは「世界一役に立つ実戦」という
シリーズ名に偽りなしという気がした。

i碁BOOKSに「囲碁年鑑」がっ!

2012-07-12 23:55:55 | 棋書
「出たら神アプリになる」
書いていた囲碁年鑑がついに、
i碁BOOKSに登場

き、きききキター!

えらいよ、棋院さん。
きりんみたいでかわいいね。

碁界の一年間を記録した『囲碁年鑑』がついに
i碁BOOKS(電子書籍)で発売されます。


待ってたよぉ(感涙)。
神だよ!神!

電子書籍版は上下巻の2冊構成で、上巻が「国内プロ棋戦」と「国際棋戦」の2部構
下巻が「アマ棋戦」、「碁界記録集」、「棋士名鑑」、
「日本棋院支部一覧・他」などの資料がメインとなっています。


えっと…この分け方だと…下巻…いらないです(滝汗)。
ユーザーのニーズを考えた棋院の良心と言えようか…。
10年、20年先に読み返す時は、
「あの頃はあの棋士はこんなだったんだなぁ」
なんてわかって、下巻もなかなかに楽しいですがね。

上巻は棋譜再生機能も利用できます

すばらしいよ、ムスカくん。
君は英雄だ!大変な功績だよ!

(番碁のみ)

番碁のみ、ばんごのみ

♪さるてぃんばんご さるてぃんばんご♪
♪ぼーくを運んで チッタカタッタカター♪

ムスカ「君のアホづらには、心底うんざりさせられる」

うぎゃぁぁぁ
敢えて完全を期さないって、何かのプレーですか(号泣)?
何故、そこで斜め45度に後退する!?

でも、買う。

新刊棋書情報「ひと目の2択」

2012-06-30 23:55:55 | 棋書
趙治勲プロの「ひと目」シリーズ最新刊、
ひと目の2択」はタイトルの通り
今回はアテる方向やツグ方向、攻めや守りの形などを、
全問2択で応えるという問題集。

全177問、黒先統一。
1ページ2問で上下の問題が類似型になっていて、
ダメや敗石のちょっとした違いによって、
選択肢が変わるということがわかるようになっている。
2問で1問といってもいいかも。

初期の「ひと目の詰碁」「ひと目の手筋」に比べ、
やや難しくなってきた近刊の印象を払拭するためか、
ページをめくる速さで即断することも難しくはない
本当に「ひと目」という易しい問題が続く。
シリーズとしては「原点回帰」といったところか。

勿論、正解か否かについてはきちんとしたヨミの裏づけがあるのだが、
「このような形ならば直感的にどちらが正しいか判断」し、
「石の形編」のサブタイトルの通り、
石の形に対する「直感」「感覚」を養成するのが
執筆者、構成者の意図と思われる。
この「直感」というのは「早碁」において特に効果的。

ということで、内容的には悪くはないと思うのだが、
やはり私の基本セオリーからすると選択式というのが大減点材料。
第1章のアテの方向はともかく、第2章の「ツギ」や
第3・4章の「攻め・守り」は2択に収まらないケースが多いし…。

まぁ、そういったことを気にしないならば、
さすがに有段者には物足りないと思うが、
級位者向けには、そこそこオススメ出来る内容と思われる。

新刊棋書情報「シノギの急所」

2012-06-30 10:55:55 | 棋書
王立誠著「サバキの急所」の姉妹書、
シノギの急所」が発売された。

シノギの方法そのもののみならず、
シノギ・サバキに至るまでのプロセス・考え方を整理しているのが特徴。
つまり本当にシノギやサバキが必要な局面にしていいのかどうか、
更にシノぐならば脱出・連絡すべきか、それとも早活きを目指すべきか、
そういった全局的な判断をし、その上でどうシノぐのかを
テーマ図を掲げて解説(主に1ページ全局図2図)している。

シノギに至るまでの考え方というのは今までありそうで、
あまり整理されたことのない部分で、実戦において即効性が高い。

ただシノギの早活きに関しては、
「周辺の利きを活用する」という手法が示されているものの、
結局は「読めるかどうかです」と身も蓋もない(笑)結論に落ち着いているので、
アッと驚くような考え方を期待するのは間違い。
サバキはサバくに当たっての「形や急所」があるが、
シノギにはそういったものはないのだそうだ。

一応は第3章「利きの上手な利用法」第4章「逃げるための手筋」で、
いくつか事例が示されているものの、おおよそそれだけでは足りず、
実際には別に詰碁などでヨミの精度を高める必要がありそう。



第6章「覚えておきたい実戦頻出形」は星に対する上記の打ち込みなど、
ほぼ定型化された打ち込みの手法がいくつか紹介されていて即効性が高い。
(周辺の図は正確には少し違う)



特に三連星に対する上記の「打ちガカリ」が
このブログ解説間もない頃に自力で詳細に検討した記憶があり非常に懐かしく感じた。
級位者の頃はこの形は教則本の知識から「ありえない」と端から否定していたが、
柳プロの実戦に生じてビックリした記憶がある。
最序盤にいきなりは確かに「ありえない」が、
局面が進めばこのように内側にカカって(というかほとんど打ち込み)、
早治まりを目指した方が効果的な場合もあるのだ。
…という余談。