「
こう打てば碁が下手になる」(TBSブリタニカ:遠藤周作著)
昭和を代表する作家、
遠藤周作の打碁集。
各界の10人の名士との10番碁に加えて、
中部総本部ブログでもお馴染み、本書では師匠役を務める国際派棋士、
重野由紀プロとの一局を掲載。
手合いは向三子から七子まで様々。
当初そのタイトルは、大作家故の謙遜と思った。
が、ページを繰るとまず、重野プロの毒舌に度肝を抜かれる。
続いて説との遠藤先生の小イメージの違いに困惑し、最後は掲載された棋譜に愕然。
「下手になるか」どうかは別として、技術的に学ぶところがあまりないレベルなのは本当だった。
というより最初の棋譜以降、棋譜を追うのを止めました(汗)。
こういう棋譜を人に見せようと思っても、普通ブログにするくらいが精々ではないかしらん(笑)。
連載、単行本にしたところが大作家たる所以か。
もっとも初出が雑誌「プレジデント」だったことからもわかるように、本書の価値はそういう技術面にないのだと思う。
むしろ囲碁というツールを介して、対局者の人柄などを紹介するのが目的。
また更に大事なのは、
「囲碁なんて上手くならなくても、楽しい」
ということを朗々と謳い、それを実践していること。
とにかく囲碁を楽しむということに掛けては、遠藤先生は超一流だったといえよう。
自らを道化役とすることで、囲碁の楽しさを伝えようというのが本当の狙いだったのではないだろうか?
どうも上達せずに囲碁をあまり楽しめない人や、自己嫌悪に陥っている人は、本書を手にとって笑ってみてはいかが?
囲碁に再び取り組む、元気が湧いてくるかもしれない。
最後に気になることを一つ。
文中で遠藤先生が重野プロに
「ボクの碁を笑った人は、○○できないんだぜ」
と脅し(?)を掛けているが、その呪い(?)は今も効力を発揮しているのでしょうか?
気になって仕方ない。