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「若きヴェルテルの悩み」「ファースト」などで有名な、大詩人ゲーテが
「イタリア紀行」を書いている。
1786年9月にヴェネツィア、ローマ、ナポリ、シチリア等を訪れた時の
読み易い紀行文である。
かなり昔に一度読んだが、このほど再読してみた。
ヴェネツィアは時間が止まった街。
ゲーテが1786年に見たヴェネツィアと、私が10年前に見たヴェネツィアは
全く変わっていない。
ゲーテがヴェネツィアを見て感じた事と、私がヴェネツィアを見て
感じた事と果たして違いがあるのか?
に留意しつつ読んだ。
ゲーテは、迷宮のような狭い小路に、驚きボヤキながらも結構楽しんでいる。
こんなところは、私の感じ方と一緒で嬉しくなる。
またゲーテは
「ヴェネツィアを訪れたのは始めてなのに、始めての気がしない。
再会の思いがした」と書いている。
私も、事前にヴェネツィアの情報をたっぷり詰め込んで訪れたためか、
始めてでない気がした事を思い出す。
ゲーテは、サンマルコ広場の鐘楼に真昼時に上り眺望のすばらしさを
絶賛している。
私と家内が上ったのは夕刻だったが、暮れなずむヴェネツィアの街を眺め
大いに感動したのを思い出す。
結局大詩人ゲーテも、大凡人の私も同じような所で驚き、感動している。
ヴェネツィアのお陰で、200年前の大詩人が身近な人に思えてきた。
ヴェネツィアを去る日のゲーテの日記には、
「豊かで奇妙な、他に類を見ない画像を、心にとめてこの地を去る」
と書いている。
ヴェネツィアはゲーテにとって、余程印象に残る街だったのだろう。