MOVIE KINGDOM Ⅱ

映画に関する話題やライブ&イベント、ローカルなグルメ情報など色々話題を広げて行きます
ポイントは★~★★★★★★

No.024 「ファーストフード・ネイション」(2006年 米 108分 ビスタ)

2008-03-10 01:43:52 | 2008年劇場鑑賞
監督 リチャード・リンクレイター
出演 グレッグ・キニア
    イーサン・ホーク
    パトリシア・アークエット



引き続いて10分の休憩の後、第七藝術劇場での連続鑑賞。
次の作品の客層は少し先ほどの映画よりかは若い人が多いかな・・・
この作品も色々と考えさせられる問題作 「ファーストフード・ネイション」て言う作品。
グレッグ・キニア、イーサン・ホーク、パトリシア・アークエット、ブルース・ウィリスと言った豪華な面々のハリウッド映画だけど、地味に縮小されての公開です。

偽装牛肉に賞味期限の改ざん、そして只今世間をお騒がせ中の中国毒入りギョーザ・・・昨年から食に対する安全性の議論がされてる日本ではまさにタイムリーな作品の登場です。

(あらすじ)

大手ハンバーガーチェーン、ミッキーズのマーケティング部長ドン(グレッグ・キニア)は、パテからの糞便性大腸菌検出の報告を受け、調査のためコロラドの工場へ。
一方そのころ、密入国したメキシコ人シルビア(カタリーナ・サンディノ・モレノ)の夫ラウル(ウィルマー・バルデラマ)は、ミッキーズと契約する精肉工場で働き始める



糞便性大腸菌(つまりハンバーガーのパテの中に牛の糞が混入していた)を検出の報告を受けてマーケティング部長のドンが現地に飛び、精肉工場や牧場、そして店舗などに行くが少しづつ明らかになるずさんな管理体制・・・現地の副社長ブルース・ウィリスはハンバーガーをかじりながら「100%の食の安全?そんなのある訳ない!」と堂々と言ってる始末・・・おまけに「大腸菌なんて焼いてしまえば問題ない!」という言葉まで飛び出す。
しかしこれが実際の現実でしょうね~ 工場で働くのは安い賃金で働くメキシコからの密入国者・・・利益を出すためには人件費を押さえると言う意味では、出来るだけ賃金の安い外国人を雇うのは日本での安売りスーパーでも同じ。
特に精肉工場なんて衛生管理が大事なところで素人が肉や内臓をさばくんだから、事故や失敗は日常茶飯事ってのが恐ろしいですね。

この映画のオープニングで美味しそうなハンバーガーのクローズアップから始まり、中のパテにカメラが寄ると、町中を走る犬とオーバーラップする・・・一瞬この肉は犬の肉?と思わせるような出だしだが、その犬の後ろを行く密入国者たち・・・やがて彼らがこの物語の本筋に関わってくる。
畜産農家、精肉工場、ハンバーガーショップ、動物愛護団体のグループ、そしてハンバーガーチェーン店の本社などこの映画は色んな方面からこの“食”の問題について語られそしてリンクしていく。
一方がキッチリしていてもどこか一箇所でもズサンなら、もうそこで食の安全は崩壊してるんですね。



値段が安く手軽に食べれるファーストフードですが、しかし安いのにはやはり、それなりの事があるのを理解して利用しないと行けない。
この映画を見るとそんな事さえ考えてしまいます。

終盤で出てくる牛のシーンのリアルな現場は、気の弱い人は目をそむけるかも知れないけど、でも実際にそれを我々は口にしてる訳だし、また誰かがその仕事をしているんですね。
この映画ではそういう仕事は密入国者たちがしているけど、御幣があるかも知れないけど彼らに回ってくる仕事ってそういう手の汚れる仕事ってのがまた現実なようですね。
この映画は単にハンバーガーショップだけで終らず、問題に関わる色々な部分を見せてくれます。
その結果知らない方が良かった・・・なんて事柄が次々に出てくるけど、今一度しっかりと現実の問題を見て、人それぞれなりに受け止めて見るのもいいかも?
と言うより現実に色んな問題が起きてる昨今だからこそ、見ておくべき映画かもしれませんね~

一見コメディ映画風に思えてしまいそうな作品だけど、しっかりしたテーマと問題提議をしてくれてる佳作だと思います。
マーケティング部長に扮するグレッグ・ギニアの困った顔がよく似合っていて中間管理職の哀愁が漂っています。
現場で見たり聞いたりした現実にショックを受けても結局は組織の人間・・・なんだかんだ言っても本心を押さえて企業の利益の為に働かなければ行けない。
そんな断腸の思いが伝わるエピローグがなんとも虚しく現実的なこと・・・



☆☆☆☆ 2008.3.6(木) 第七藝術劇場 18:45 3列目 右端