MOVIE KINGDOM Ⅱ

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ポイントは★~★★★★★★

「深 紅」

2005-09-23 01:28:34 | 2005年劇場鑑賞
これはなかなか深いテーマを扱った心理サスペンスですね
一家惨殺事件でたった一人生き残った娘がやがて女子大生となり、すでに逮捕され死刑判決を受けた加害者の一人娘に素性を隠し接近していく・・・
被害者の娘の泰子(内山理名)の視点(立場)からこの作品は描かれるが、そこに見えてくるのは被害者の娘=泰子と加害者の娘=美歩(水川あさみ)、立場は違えど大きく背負ったそれぞれの「重荷」と「深い傷」は彼女たちの人生を大きく変えていく

修学旅行中に事件を知らされ旅行先から死体安置所までタクシーを飛ばし駆けつけ、それがトラウマとなり時折起こる発作に苦しめられる被害者の娘。
父親の罪を自らも引き継ぐ運命にあると思い、自分も何らかの罰を受けることを心の中で模索する加害者の娘・・・出会ってはいけない二人だが、泰子の行動により二人は親密にかかわり友情さえ芽生えていく・・・この辺の微妙な心理描写を内山理名と水川あさみが実にうまく演じております。

夫の暴力に苦しめられ、やがてその暴力が原因で流産までしてしまった美歩に夫殺しを唆す泰子。
ここから皮肉にも泰子のように家族(お腹の子)を亡くしそれを奪った者(夫)に対して殺意を抱く美歩・・・この辺が人間の運命のやるせなさを感じます
自分も殺人者になることで父親の犯した罪共々重責を背負うこと決心する美歩と彼女も父親同様に殺人者になることで復讐を果たそうとする泰子。
だが泰子は美歩の嘘のアリバイを作り、犯行の片棒を担ぐ事になるこれまた皮肉なこと!
悲しいまでにそれぞれの「重荷」が二人を翻弄し苦しめていく。

罪と罰、愛と憎しみを二人の女のそれぞれの心の葛藤通して描く、どこか悲しいサスペンス映画(でもラストでチョイ救われた気分・・・)

途中で一家惨殺の場面が出てくるが、犯人役の緒方直人のハンマーを振り回して母や子を殺し、チェーンソーで家を切り刻むブチ切れ具合は、マサカー度満点でなかなかよろしい!


★★★★ 2005.9.22 動物園前シネフェスタ4