「バリアフリー公演」を終えて、秋の旅も、無事半ばを過ぎました。
今週は、3日間連日朝・昼2回公演という、今回のツアー中、最もハードなスケジュールになっています。
トップの写真は坂出工業高校の明かり合わせのお手伝いに来てくれた新体操部の生徒さんです。
10月27日(火) 岡山県 玉野高校 同校体育館
10月28日(水) 香川県 坂出工業高校 同校体育館
10月29日(木) 兵庫県 明石北高校[明石市立市民会館 アワーズホール主催] 明石市立市民会館
玉野高校
この学校は、2002年に「星の王子さま」、そして3年前の2017年に「ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち」を上演。
今回が東京演劇集団風の3度目の公演となります。
実はこの春「Touch~孤独から愛へ」の上演を予定していましたが、コロナ禍の為、止む無く延期。しかし、この状況下でもなんとか生徒たちに観劇させたいという先生方の熱い思いが実って今回上演の運びとなりました。
公演前夜、体育館に向かうと、担当の先生とかつて演劇部の顧問をなさっていた教頭先生が笑顔で迎えて下さいました。
舞台の搬入が始まると、作業服に着替えた教頭先生が、劇団員といっしょに重い荷物運びを手伝って下さり、おまけに照明の複雑な配線作業にも手を貸して下さいました。
劇団の照明チーフの坂野は、「こんなことまでやって下さる先生を初めて見ましたよ。びっくりです。」とのこと。
先生は「好きでやってます。」とニコニコ顔でこの日の作業終了まで、おつきあい下さいました。
13年間も演劇部の顧問をなさっていたこと、それにご自身もかつて演劇の仕事にたずさわっておられたことなど、直接お話を伺うこともできました。
翌日、朝と昼の2回公演。
この日を心待ちにしてくれた生徒さんたちや先生方の、舞台への集中力は、凄かった!
舞台で起こることの一瞬一瞬を見逃すまい、聞き逃すまいという、熱いおもいが、充満する体育館でした。
終演後、演劇部、卓球部、バスケ部の生徒さん達が搬出のお手伝いに駆け付けて、テキパキと体を動かしながら、荷物をトラックへと運んでくれています。(教頭先生は昨夜に引き続き作業着姿でお手伝い)
そして、時折、体育館のあちらこちらで、出演者やスタッフに質問ぜめ。
担当の先生はホクホク顔です。
「来年も是非、KAZEの演劇が見たい!」と担当の先生に熱願する生徒さんに、「3年サイクルで来年は、音楽のとしだからねぇ...」と残念そう―。
お手伝いのおかげで、短時間の作業を終え、「また会いましょう!ありがとうございました。」と手を振り合って、バスに乗り込むとすぐに朗報が入りました。
「3年後の演劇も是非、風に!」と、校長先生も教頭先生も口をそろえておっしゃったとの事。
これ以上の喜びはありません!!この感慨を胸に、バスは次の公演地香川へと向かいます。
坂出工業高校
この学校は、風初めての公演でした。
昨夜のうちに玉野から移動。
「朗報」のおかげでハイテンションのまま、搬入も仕込みもいいテンポで進められました。
当日の朝、照明の最終チェックをしているところへ6人の男子新体操部の生徒さんが顔を見せてくれました。
「何か手伝えることありますか?」とのことだったので、ありがたくお願いすることに。
照明チーフの指示通り、舞台のあちこちに立ってライトを浴びています。
みんな初めての経験で緊張した面持ちでしたが、楽しそうでもありました。
そして、いよいよ本番。普段見慣れない演劇空間に驚き、同時にワクワク感が舞台裏の私たちにも伝わって来ます。
マスク着用の為、はっきりと表情は見えませんが生徒さんたちの熱い眼差しは、しっかりと舞台に向けられていました。
食い入るように、のめり込んで舞台を見つめる彼らの姿は、とても印象的でした。
終演後、「希望者は、舞台の撤去作業のお手伝いを」という呼びかけに応じて、あの新体操部の生徒さんたちが13人(朝より増えています。)来てくれました。
そして、バレー部、バスケ部などの屈強な若者たちが次々と体育館に足を運んでくれました。撤去作業が追いつかないほどに。
その中には紅一点、舞台の裏方に興味があると、女生徒さんが作業着に着替え駆け付けてくれ、男子生徒さん顔負けにお手伝いをしてくれました。
また、作業の合間に新体操部の2人と目が合って声をかけると、「スゴイものを見せていただきました!」とニコニコ顔。
今年はコロナのせいで、大会も中止になり、元気の出ない生活だったけれど、これから元気出して頑張ります、と言ってくれました。
こちらこそ、たくさんの元気をありがとう!
明石北高校[明石市立市民会館 アワーズホール主催]
明石北高校は、来週11月4日観劇予定の「明石商業高校」とともに、明石市立市民会館アワーズホールが主宰の公演です。
両校とも、1996年の「星の王子さま」をご観劇いただきました。
今回が2度目となります。
このコロナ禍において、公演を実現するために、ご尽力下さいました会館の皆様及び、関係者各位に心からお礼申し上げたいと思います。
感染防止対策が徹底されている会館に生徒さんたちが入場して来ます。
着席すると、静かに開演の時を待ってくれています。
開演前の校長先生の言葉、「皆さんの感性と創造力を働かせて舞台に向き合って下さい。」サブタイトルの「ひびき合う者たち」これが重要なキーになると思います、と観劇の手引きとなるような、お話をして下さいました。
それに応えて、大きな拍手で開演。
カーテンコールの拍手は、さらに大きく劇場中にひびきました。
3密を避けるため、会館からの要望もあって、バックステージツアーもお見送りも叶わず、生徒さんたちとじかに会話を交わせなかったのは、残念ではありましたが、これも致し方ないことです。
2ステージ目も、感動のなかで幕を閉じ、「来週もよろしくお願いします」と会館の方々へお礼を述べて会館を後にしました。
3日間6ステージを無事に終えて、次の目的地へと向かいます。
文:アーサー・ケラー役 酒井宗親