風のBLOG

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『ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち』2020年秋 東・西日本ツアー 第4週目

2020-11-02 00:00:00 | 全国巡回公演

 

秋もだいぶ深まり、地域によっては冬の足音が聞こえて来ているところもあるようですが、皆さまいかがお過ごしでしょうか?

さて、私たち『ヘレン。ケラー〜ひびき合うものたち』公演班は早いもので4週目を迎えました。

今週は兵庫県と和歌山県。

10月19日[月] 兵庫県 相生産業高校 同校体育館

10月22日[木] 和歌山県 初芝橋本中学校・高校 河内長野ラブリーホール

10月25日[日] 滋賀県 (公益)びわ湖芸術文化財団地域創造部主催 碧水ホール バリアフリー演劇一般公演

両校とも前日に公演準備を行いました。

相生産業高校(2ステージ)
体育館で部活動を終えた生徒さんたちがこんにちはー!と元気に迎えてくれました。
清々しい空気感に包まれ2階体育館への搬入にエネルギーをもらいました。

こちらは3年に1回鑑賞行事を実施、風は2002年『星の王子さま』、2017年『ヘレン・ケラー〜ひびき合うものたち』に続いて3回目の上演でした。

公演当日。
午前午後の2回公演。
両公演とも担当の先生の司会から始まり校長先生のお話の後、拍手をいただき開演。

午前公演のカーテンコールでは代表の生徒さんが「皆さんの熱意がわかりました。これからの就職活動に活かしたいと思います。」と感想を述べてくれました。

終演後、4人の1年生の男子生徒さんたちが舞台見学に来てくれました。
いたる所に興味関心を持っていろいろ質問してくれました。
うち2人の生徒さんがもう1回観たい!と午後の公演も鑑賞。
そして、何と開演の音楽や雷の音や照明の操作でしっかり参加もしてくれました!


午後公演のカーテンコールでは2年生でしょうか?代表の生徒さんから「体育館に入って来た時セットの凄さにびっくりしました。愛情の大切さが伝わってきました。」とメッセージをもらいました。

2回ともこの時間をとても楽しみにしてくれていた事がひしひしと伝わってくる公演でした。

終演後は午前公演で見学に来て一度戻った生徒さん2人も合流して、10数名の生徒さんたちがこぞって撤去に力を貸してくれました。
体育館のステージ上ではアニー・サリバン役の高階と3人の女子生徒さんたちが座談会。



開演前のお話しからも伺えた、人と人との触れ合いや人間関係を大事にされている校長先生のご英断で搬出のお手伝いや座談会など生徒さんたちの思いが実現しました。

コロナ禍という状況の中での急なご判断は不安もおありだったと思います。
しかし、楽しそうな生徒さんたちの笑顔とその様子を嬉しそうに見守る先生方の柔らかな表情が素晴らしいご判断だった事を物語っていました。
校長先生もずっと体育館にいて下さったので安心して交流する事が出来ました。
本当にありがとうございました。



手伝ってくれた生徒さんたち、そして『ヘレン・ケラー』の公演中だけに限らず、私たちが相生産業高校に滞在していた間を素晴らしい時間にしてくれた全ての皆さんに感謝です!



相生産業高校を後にし〈忠臣蔵〉の主人公、四十七士や浅野内匠頭がその昔暮らしを営んでいた赤穂市で中継。
風バスのワックスがけや車内清掃など衣装や小道具のメンテナンスも。
せっかくなので私は義士たちの住居跡を当時に思いを馳せながら巡ってみました。
それぞれ暫しのリラックスタイムを過ごし、21日いざ、河内長野へ!

初芝橋本中学校・高校
初芝橋本中学校・高校こちらは風は初めての上演です。
和歌山県橋本市内の学校ですが、ラブリーホールでの実施です。
どんな出会いになるのか楽しみにしながら仕込み。


やはり座席には新型コロナ感染症対策のためのテープが貼られ、客席数の約半分が使用を控えられていました。
オーケストラピット分と最前列を全て空けた状態で生徒さんたちは着席する事になり、2階席まで広がりを持った客席に。

22日公演当日、午前公演でした。
生徒さんたちは時間差で来場。
通常より少し長い開場時間を設定し、徐々に皆さんが集まって来ました。

生徒さんたちの元気な声がだんだん増えていくに連れて、私たちのワクワクも大きくなっていきました。

担当の先生の進行で校長先生のお話と思いきや「しゃべりたい事はいっぱいありますが言いません。」
え?と思った次の瞬間「楽しみましょう!」と一言。
「この空間を楽しいものにしましょう。」
最後にもう一度「楽しみましょう!」
生徒さんたちも拍手喝采!
それを受けた担当の先生から「では、もっと大きな拍手で劇団の皆さんをお迎えしましょう!」
大拍手をいただき、開演。

生徒さんたちは始まりと同時にすーっと集中し、最後までこちらが吸い込まれそうなくらいの視線を向けてくれました。

カーテンコールでは生徒会長さんから「とても感動しました。皆さんこれからも身体に気を付けて頑張って下さい。」と応援メッセージをもらいました。


終演後は校長先生、教頭先生、担当の先生が楽屋を訪ねて下さりこの状況下で行事を実現出来た事、生徒さんたちが本当によく観てくれた喜びを分かち合いました。

撤去作業を終え、私たちは一度帰京。
翌日の朝、早々に校長先生からお心のこもったとてもご丁寧なメールをいただきました。
そこには演劇をあまり観た事がない中高生の集中力に驚かれた事。
これからの芸術を支えていく若者たちは本物に触れる事が大事だという事。
それは人生を豊かにし、生きる勇気を与えられる。
文学や芸術にはそういう力があるという事などなど、素晴らしいメッセージがたくさんたくさん書かれていました。

開演前のたくさんあるしゃべりたい事とはこの事だったのですね。
きっと何かの機会にお話しになると思いますが、ぜひ生徒さんたちにも見せてあげたいメッセージでした。

校長先生の生徒さんたちへの想いに感動しました。
本当にありがとうございました。


カーテンコールでは綺麗な花束を、お別れ際には名産品(ゆず味噌ポン)や銘菓をたくさんいただきました。
どれも本当に美味しかったです!
ごちそうさまでした!

コロナ禍という今まで経験した事のない状況の中、私たちを受け入れ、行事実現のために尽力下さった先生方、保護者の皆さまのご理解に心より感謝申し上げます。
本当にありがとうございました。

そして何よりこの『ヘレン・ケラー〜ひびき合うものたち』を身体いっぱい一緒に創ってくれた生徒さんたち本当に本当にありがとうございました。

これから冬に向かってますます厳しい状況になるかも知れません、気を張る事も多々あると思いますが、皆さまくれぐれもお身体には十分お気をつけてお過ごし下さい。

またどこかでお会い出来る日を願いつつ、日曜日のバリアフリー公演に繋げていきたいと思います。

本当にありがとうございました。

(公益)びわ湖芸術文化財団地域創造部主催 バリアフリー一般公演


25日の日曜日は滋賀県・甲賀市水口町の碧水ホールにての公演です。
主催は(文化芸術✖️共生社会プロジェクト)実行委員会のみなさんです。
今年2月に上演した滋賀県・アメニティーフォーラムでのバリアフリー演劇『ヘレン・ケラー 〜ひびき合うものたち』をご覧いただき、実現することができました。その間、コロナ禍のこともありこの日を迎えるまでには実行委員会の大変なご苦労と地域のみなさんの理解がなければ延期となっていたことでしょう。
客席数は138席に制限されていましたが、予約の皆さますべて来場いただき、満席で開演することができ、子供たちからお年寄りの方々まで幅広く、本当に嬉しい気持ちです。

 


今はたくさんの制約のもとで暮らしいていく時代になっています。人との距離・会話・消毒や手袋の対策をはじめ、社会のあり方まで見直されざるを得ないでしょう。そのなかで様々な人たちが集い、発見して元気になれる劇場を私たちはこれからも大切にしていこうと思います。


私たちの『ヘレン・ケラー』と滋賀県はとてもつながりが深い場所。一か月ほど前に上演した信楽学園を創立したひとりであり、学園長・寮長でもあった池田太郎氏の言葉は、テキストの中でサリバン先生を励ましていく声として彼女の恩師アナグノス校長から語られます。以下。

(問題児を教育しようという教師は自己の真の幸福感を築くべきであります。それでは我々の幸福感はどうして築かれるのでありましょう。教師が真理を愛し、真理を学びとろうという情熱に燃えていることを挙げたいと思います。教育において幸福感をもった生徒をつくろうと思ったならば、生徒が、こころから教師を信頼しうるものとしなければなりません。生徒をしてこの苦しみを自由に語り得る、温かい関係を築くようにしてやらなければなりません。これには教師が多かれ少なかれ真理を愛し、真理を学びとって自己のものとしていく姿がなければならないと思います。そこから教師の幸福感が生まれ、清らかな微笑みが生まれてくると思います。
清らかな微笑みをもった教師はよく生徒にタッチする。
触れる ということです。)

幸せとはなにか、教育者に限らず人間の姿を見つめていく時代かもしれません。そんな場の共有が碧水ホールに芽生えた時間だったと感じています。

これからインフルエンザの流行る季節にもなってきました。
劇団員一同、健康管理をしっかりとしながら、公演を楽しみに待っていてくださる方々との出会いを大切に公演の場を継続していくつもりです。

文:ケート・ケラー役 仲村三千代/ アナグノス役 緒方一則