風のBLOG

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『Touch〜孤独から愛へ』2020年秋・九州・大阪地域巡回公演 第6周目

2020-12-02 11:28:07 | 全国巡回公演

 

11月30日(月) 【熊本県】甲佐高校 同校体育館

12月 1日(火) 【福岡県】小倉商業高校 同校体育館

12月 3日(木) 【長崎県】島原農業高校 同校体育館

 

 

甲佐高校

 

この学校は3年に一回の芸術鑑賞行事なのですが、風の甲佐高校での公演は今回で7回目となります。

近年だと、2015年には「ヘレン・ケラー〜ひびき合うものたち」、2017年には「ジャンヌ・ダルクージャンヌと炎」を上演しています。

そして、甲佐高校での「Touch〜孤独から愛へ」の上演は今回で3回目となりました。

当日は、事前に予定していた音楽と美術の授業の時間に生徒さんたちが舞台仕込みの見学会が行われました。

ハロルド役の柳瀬の案内で組み上がっていく舞台を前に、舞台の裏側や小道具の工夫に感心しながら、見学会をとても楽しんでくれている様子でした。

開場時、早々と体育館に来ている生徒さんも何人かいました。全校生徒80人一人一人のために組まれた自分たちのための劇場空間に、驚きの声をあげながら、本当に楽しそうにいる生徒さんたちの姿に、先生方がとても嬉しそうで、始まりからとてもいい空間を甲佐高校の皆さんが作ってくれました。

そして、開演。

舞台が始まるとぐっと集中し、目の前の出来事に真剣に向き合っている様子で、クライマックスでは役者と一緒になって、舞台を盛り上げてくれました。

終演後には舞台見学が行われ、生徒さんたちは役者が出入りしていた場所や、使われていた小道具に触れ、一番最初の場面を再現するように、舞台にいる生徒さんもいました。

「一番最初の場面のフィリップみたいだね」と声をかけると、「へへっ」と照れ笑いをしながら、その場面を少しだけやってみせてくれました。

 

舞台撤去作業には全校生徒の半分以上の生徒さんたちがお手伝いに参加してくれ、先生たちも「ここは大人が!」「ここは生徒に!」と声を掛け合いながら、劇団員さながらの手つきで作業に手を貸してくれました。

お手伝いに来てくれた生徒さんのほとんどは有志で来てくれた子たちでした。

 

最後に「お荷物を増やしてもいいですか?」と今回の公演を決めて下さった、ご担当の先生から学校で作っている”おかき”を頂きました。

九州地域では初めて、自前のストーブを焚くほど寒い日だったのですが、甲佐高校の皆さんが本当にあたたかく、皆さんが作る空間はとても優しいものでした。

本当にありがとうございました。

 

 

小倉商業高校

この学校では三年に一回演劇鑑賞を行うのですが、前回の演劇鑑賞の年にも「ジャンヌ・ダルクージャンヌと炎」でお世話になりました。

このコロナ禍で、一切の行事ができでいない中で風を見せてあげたいという校長先生の思いから、学校の方から連絡があり、急遽決まった公演でした。

私たちとしてもこのような状況下で決断しご連絡をして下さったことが本当に嬉しく、校長先生をはじめとする先生方の生徒さんたちへの思いをしっかり繋げたい思いで公演の前日、小倉商業高校にやってきました。

感染対策で密を避けるため、2・3年生のみの2回公演だったので、2階体育館に前日舞台仕込みとなりました。

長時間移動により遅い時間の学校への到着、2階体育館ということで舞台仕込みを終える時間が遅くなることが予想されたのですが、ご担当の先生は快くお付き合い頂き、飲物の差し入れまでしてくださいました。

本当にありがとうございました。

当日、午前中の公演は2年生の鑑賞会です。

ものすごく元気な子たちで、体育館は一気に賑やかな空間になりました。

生徒さんが全員集まり、ご担当の先生が開演前の挨拶を始めると、生徒さんたちは先生の言葉に耳を傾けていました。

ご担当の先生は劇団紹介からみんなの先輩たちも風の舞台を見ていること、昨日の様子、10人でこの舞台を組んだことなど、生徒さんたちに話していました。そして最後には「リラックスして、楽しんでみて下さい。」と生徒さんたちに言葉をかけ、拍手で迎えられました。

開演直後前の方に移動してくる生徒さんもいました。

生徒さんたちは自由に笑ったり、一つ一つのことに反応しながら舞台に向かっていました。

最後の場面ではすすり泣く声が聞こえ、それに伴って友達同士でぐっと体を寄せあいながら最後まで向き合ってくれていました。

カーテンコールでは通常であれば、挨拶をしてくれた生徒さんと役者が握手をする時があるのですが、今回はコロナのこともあり、先生のご提案で握手の代わりの”ヒジタッチ”を役者全員と交わしてくれました。

会場では笑いが起こり、代表の生徒さんたちはとてもいい締めくくりを作ってくれました。

 

二回目、午後の公演は3年生の鑑賞会。

同じ学校なのにここまで違うのかと思うほど、一回目に2年生が作ってくれた空間とはまた違った空間を作ってくれました。

3年生は本当にこれまでこんなに人が集まるような行事がなかったことを思わせるほど、今日の公演を楽しみにしてくれていることが伝わってきました。

体育館に生徒さんたちが集まると、すごい盛り上がりようでこちらもワクワクしました。

3年生にとっては唯一の学校行事だったのだと思います。

ご担当の先生の「いろんなことを考えたり、思ったりしながら、楽しんでください。」という言葉を受け取るように拍手の中には歓声が混じり、本番中にはいろんな声が響いていました。

ほとんど参加型のような公演となりました。

自分たちも舞台の登場人物かのように役者のセリフに言葉を返すように見ていました。

最後は声を上げて泣いている子、その子を茶化しながらも泣いている子、笑いながら泣いている子、恥じらいながら泣いている子、感情が爆発したように、客席が沸いていました。

 

公演後は急遽希望者が集まり、舞台見学が行われました。

舞台撤去作業には70人ほどのお手伝いの生徒さんたちが集まり、今回観劇をできなかった1年生の演劇部の生徒さんたちも「舞台だけでも見せてあげたい」という演劇部の顧問の先生が連れてきてくれました。

生徒さんたちはとても一生懸命に手を貸してくれ、2階の体育館の作業とは思えないほどの速さで作業を終えることができました。

中には、一番大変なトラックの積み込み作業に女の子一人で劇団員と見分けがつかないくらいの動きで、最後まで作業に参加してくれた生徒さんもいました。

 

最後の最後まで今日の公演を盛り上げてくれた小倉商業高校の皆さん、本当にありがとうございました。

 

 

 

島原農業高校

この学校は1996年以来、久しぶりの風の公演でした。

学校にはトラックを体育館の入り口に着けさせていただくために前日、伺いました。

たくさんの先生が迎え入れてくれ、今回の公演を決めて下さった先生、そしていろんな学校で何度もお世話になった先生、前任校で風の「ジャンヌ・ダルクージャンヌと炎」を観た先生など、再会もあり先生たちが本当に楽しみにしていて下さっていることが伺えました。

事前にご担当の先生から言われていたのは今年なんの行事もできていなくて、3年生の卒業アルバムに載せる写真がないので、公演中の写真をたくさん撮らせてもらってもいいかということでした。

それを受け、私たち劇団員も改めて島原商業高校の皆さんのために思いを込めて公演に向かいました。

当日は朝から舞台道具の運び入れに多くの生徒さんたちが参加してくれ、ワイワイと賑やかに、友達や仲間、先生たちと声を掛け合いながら作業に手を貸してくれました。

その姿に本当に皆さん、仲良しだなーと思いました。

昼休みの時間に体育館を覗きにくる生徒さんたちもいて、「すっげー!!」「何これ!?!?」という声が体育館に響いてきました。

会場中には校長先生、教頭先生が「楽しみにしています。」「すごいですね。よろしくお願いします。」とご丁寧に劇団員に声をかけてくださいました。

開演前、ご担当の先生が挨拶をしてくださいました。

「2年越しに決めた公演です。皆さんぜひ、楽しんでください。今前が空いていますが公演が始まったら自由に移動していいです。不安な人は、フェイスガードの用意もあります。ぜひ前で見てください。拍手」といった今までにない始まりで開演を迎え、拍手をしながらそれぞれ移動する生徒さんたちに、校長先生が「前いきな!行っていいんだよ!」と声をかけて下さっていました。その声掛けで前の方にはかぶりつくようにして生徒さんたちが舞台に向かって座っていました。

客席の盛り上がりで迎えられた公演は、公演が始まるとさらに盛り上がりました。

面白いところでは声を上げて大いに笑い、真剣に考えながら見たり、最後には声を上げて大いに泣いていました。

舞台を見るよりも客席を見る方がこの舞台がわかるような気さえしました。

それくらいの一体感を感じる客席であり先生たちも生徒さんたちと一緒に舞台を楽しみ、生徒さんのその姿をよく見ていました。

 

カーテンコール時の生徒代表挨拶では、代表の生徒さんが「まず、朝から作業をお手伝いして下さった生徒さん、先生方に感謝を述べたいと思います。そして私たちのために公演して下さった劇団員の皆さんありがとうございました。」

と話してくれました。

 

終演後、急遽舞台見学が行われ、生徒さんたちは「え?舞台あがっていいんですか?」「上がりたい上がりたい!」「これ、本物使ってるんですか?」といろんなことに興味津々で見学していました。

舞台撤去作業には50人ほどの生徒さんたちが手を貸してくれ、劇団員が間に合わないほど積極的に手を貸してくれました。

 

皆さんのおかげで作業はあっという間に終わってしまいました。

劇団員がバスに乗り込むと生徒さん、先生方も外に出てきて、皆さんでお見送りをしてくださいました。

今回の公演を後押しして下さった今までいろんな学校でお世話になっている先生からは、日本酒の差し入れを頂きました。

出会いあり、再会ありの島原農業高校の皆さん、本当にありがとうございました。

 

 

本当に一つ一つを大事にしながら舞台に向かう生徒さん、先生方の姿に心を揺さぶられる一回一回の公演です。

私たち劇団員だけでは絶対に作れない時間であるし、だからこそこの状況下でそれでも生徒さんたちのために、今回の公演を決断して下さった先生方の思いが彼らに繋がっていることを強く感じます。

残すところ3校5ステージ、彼らのために公演を決断してくれた先生方、そして待っていてくれる彼らに劇団員の一人一人が向き合える身体を持ち続けて、一つ一つの公演に最後まで向かいたいと思います。

 

 

舞台スタッフ:高階ひかり