風のBLOG

東京演劇集団風の時事通信!
公演情報や稽古場速報、全国巡回公演の情報など
日々の出来事を速報!!

『ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち』西日本・東日本地域巡回公演ツアー最終週

2016-11-19 15:28:44 | トピックス
9/23日からスタートした2016年秋の『ヘレン・ケラー ひびき合うものたち』巡回公演。いよいよ最終週となった今週は、神戸から千葉、新潟を旅しました。

11月14日 兵庫県 神戸国際中学・高校 同校体育館
11月15日 千葉県 千葉英和高校1・3年生 同校講堂
11月16日 新潟県 柏崎高校 柏崎市文化会館アフォーレ



神戸国際中学・高校





風の公演は初めての学校です。
舞台に起こる出来事、登場する人びと、その関係の変化の刻々を、それぞれに受け止めていることが、舞台上からじわじわと感じる公演でした。
客席とともに歩いている、という感覚。
カーテンコールでは生徒会長さんが、「人とつながっていくことの大切さを感じました」また「体育館にこんな大きな舞台ができて、演劇を観るのは初めてだったので、貴重な体験でした」とお礼の言葉をいただきました。
観てくれる生徒たちを思いながら、5時間かけての設営。劇場となった体育館に驚きの声を聞くと、ほんとに嬉しいです。
終演後、準備を進めてくれた鑑賞行事ご担当の先生が「生徒たち一人ひとりがそれぞれに感じ、考えていることが、一緒に観ていて伝わってきた。それが本当に良かった」と言ってくださった感想も大きな喜びでした。

終演後はお昼休みに演劇部の生徒たちとバックステージ。そのまま座談会となりました。

撤去の途中、授業の休み時間に「楽しかった!」と伝えにきてくれたり、トラックを見下ろす教室から「ジミー、がんばって‼︎」「お母さーん!お父さーん!」と、たくさんの生徒が大きな声で一人ひとりを呼びながら手を振ってくれたり、元気な姿に笑顔をいっぱいいただきました。
設営から本番、撤去して帰るまで、様々な交流の可能性が生まれるのが、体育館での公演の楽しさのひとつです。













千葉英和高校1・3年生





千葉英和高校では2011年に『ヘレン・ケラー』を上演しており、5年ぶり、2度目の公演です。
今回は演劇部員の皆さんが、朝の搬入から退出まで丸1日一緒で仕込みと見学をし、座談会も行いました。顧問の先生がせっかくの機会だからと準備してくださり、稽古やのことや、それぞれが演劇をはじめたきっかけなど、たくさんの話もし、特別な時間となりました。

学校のチャペルでの公演。
開演前から生徒たちの元気な声が聞こえてきます。上演中も大きな笑いが起こったり、 集中した沈黙となったり、活気のある応答が、舞台に届きました。
終演後には、楽屋となった家庭科室にいる出演者たちを見つけ、多くの生徒たちが駆け寄ってくれ握手。様々な質問や感想を口にしてくれました。
明るい笑顔とそれぞれの言葉に、2時間を共有したよろこびを感じると共に、若い観客のみんなの弾力ある想像力に、あらためて感心します。

前担当でもある教頭先生は、前回公演とレパートリーシアターKAZE、そして今回と3度の観劇をしてくださいました。「観るたびに新しい発見があって」と帰り際にいただいた言葉は、大切にレパートリー上演をする劇団として嬉しく、誇らしい思いでした。









11月16日 柏崎高校

秋の『ヘレン・ケラー』旅公演、千秋楽の今日は、演劇部の1年生2名と顧問の先生が朝から仕込みの手伝いと見学に来てくれました。
旅公演の舞台は、トラックでの持ち運びと機能的な設営の為の工夫がいっぱい。その仕組みに興味津々な様子で、舞台づくりに参加です。







本番は新しい生徒会メンバーの任命式の後に始まりました。
開演からすっと視線が集まり、無言で多弁なその視線の中に、舞台が刻々と運ばれていきます。536人の生徒たち。劇場に充満していくような、一人ひとりの放つ静かなエネルギーが印象に残ります。
カーテンコールでは花束をいただき、生徒会長さんが「見入ってしまいました」「限界を決めつけないで人と接したい」と話してくれました。

終演後にはバックステージに多くの生徒たちが残りました。
一緒に片付けたい! と申し出てくれた生徒たちは撤去に参加。話したい、という生徒たちとは撤去を見ながら座談会を設けました。
「演劇をはじめたきっかけを教えてください」
今日はいくつかの場面で、この質問を受けました。この人は何を思ってはじめ、いまに至るのだろう、様々な未来を思う彼らにとって興味深い問いなのですね。
座談会終了後も撤去が終わって戻ってきた生徒たちが加わり、退館ぎりぎりまで話が続きました。







『ヘレン・ケラー ひびき合うものたち』2016秋ツアー、2ヶ月の旅が終わりました。
10月中旬にアニー・サリバン役を交代した渋谷愛は、九州で来週から始まる『星の王子さま』ツアーの打ち合わせと生徒たちとのワークショップの為に、一足先に芸術監督と九州入りしています。
千秋楽を終えた『ヘレン・ケラー』のメンバーは、この後それぞれ『ジャンヌ・ダルク』と『星の王子さま』ツアーに合流するなど、年末まで駆け足です。

観客の持つ力ー見、聞き、感じ、記憶を呼び戻し、時を旅し、出会い、考える、その力を信じて、日々の舞台に立ってきました。
若い観客の目は厳しく、優しく舞台に注がれました。
彼らの何を触発し、その目に、耳に、記憶に何を残し得たか、全てを知ることは出来ませんが、観客と舞台の一人が、互いに存在し得た旅であったと実感します。
公演の為に尽力くださった先生方、観てくれた生徒の皆さん、ありがとうございました!

アニー・サリバン役 柴崎美納