風のBLOG

東京演劇集団風の時事通信!
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『ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち』第8週目

2014-06-28 17:33:56 | 全国巡回公演
『ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち』東日本地域巡演ツアーも後半戦。第8週目を迎えました。
今週は

6月23日 新潟大学教育学部附属新潟中学校(新潟県)
  24日 高志中等教育学校(新潟県)
  25日 糸魚川市内中学3年生合同芸術鑑賞会(新潟県)
  26日 田島高校・田島中学校・檜沢中学校・荒海中学校(福島県)

での公演でした。

新潟大学教育学部附属新潟中学校

こちらの学校は2009年に『Touch』、2011年に『肝っ玉おっ母とその子供たち』に続いて3度目の上演となります。
附属新潟中学校では1、2年生は学年で一作品、3年生は各クラスで一作品、演劇を上演しているそうです。
題材決定から俳優、スタッフなど各セクションすべてを生徒主導のもと創り上げ、『自分の個性を生かして、仲間とかかわること』を学ぶ、大切な活動だと思います。
開演前にも『自分達の演劇活動に活かせるように、様々な所を観ましょう』との呼びかけ。上演中はそれに答えるよう客席の皆さんは舞台に集中していました。



終演後にはバックステージツアーも行われ、たった今まで俳優が演技していた舞台装置に上がったり、小道具を直に触ったり、それぞれ関心のあるところに集まっていました。



客席後方に設置された音響、照明席にも沢山の生徒さんが。機材に実際に触れてライトがどう点灯するか、音量を上げ下げすることで感情を表現することなど、オペレーターから説明を受けていました。



またバックステージツアー後、交流会も開かれ、俳優3名、スタッフ2名が参加。演劇を上演する上で大事な事や、普段から気をつけている事など、数多くの質問が寄せられました。中にはヘレンの目線についての質問も!とても細かい所まで観ていてくれて、逆にこちらがビックリしました。



交流会と並行して、体育館では撤去作業を生徒の皆さんと共に行っていました。とても多くの皆さんの力で、2階の体育館からどんどん道具が運ばれていきます。



最後に手伝ってもらった皆さんに、公演記念の色紙をプレゼント。本当にありがとうございました!


高志中等教育学校



楽屋に入った途端、歓迎のメッセージが!ささやかな心遣いに、私達も嬉しくなります!


高志中等教育学校は今年で創立6年目。つまり、今年度から1年生から6年生が全員揃う事になるそうです。
体育館には700名以上の生徒の皆さんで一杯に。会場内暑くなるかとの不安もありましたが、上演中は客席全体が舞台上の出来事、俳優一人一人の動きに敏感に反応していた様に思います。





生徒の皆さんが入場すると、この位に。先生方がより観易くなるように誘導して下さいました。
カーテンコールでは割れんばかりの力のこもった拍手をいただきました。
また、お礼の言葉の際、生徒全員が起立して私達にお礼を言ってくれました。生徒全員から発せられる『ありがとうございました!』の響きは体育館じゅうに響き渡りました。

撤去作業では、4年生。5年生の運動部男子の皆さんが手伝ってくれました。私達がお願いした事に素直に、真面目に取り組んでいた姿や友達同士沢山の言葉を掛け合いながら取り組んでいた姿がとても印象に残っています。




本当に多くの生徒さんが力を貸してくれたおかげで、撤去作業もとてもスムーズに終わりました。2時間程前まで舞台空間であった体育館が、普段皆さんが使用している体育館に戻りました。あっという間の空間の変化、皆さんどう思われたでしょうか?

糸魚川市内中学3年生合同芸術鑑賞会


新潟県での公演が続き、3公演目は糸魚川市の中学3年生を対象とした合同の演劇鑑賞会でした。
市内の糸魚川中学校、糸魚川東中学校、能生中学校、青海中学校の4校の生徒の皆さん約400名が市内の青海総合文化会館の客席に一斉に集まり、『ヘレン・ケラー』を鑑賞します。バスに乗って1校ごとに客席に入ってくる生徒の皆さん。4校の3年生全員が集まる、滅多にない機会に会場は興奮していたように思います。





終演後には当日司会を務めてくださった教育委員会の方から『風の皆さんにもう一度盛大な拍手を!』との呼び掛けが。観客も俳優もお互いに敬意を込めて相手を拍手!
また、会場の玄関では俳優、スタッフ含めてお見送りをさせてもらいました。
なんといつの間にか挨拶だけでなく全員との握手でのお見送りへ!
あとで聞いたことですが、風の巡回公演でも珍しい事なのだそうです。
俳優全員と握手した後、玄関を後にする生徒一人一人の笑顔がとても輝いてみえました。公演を通して、実際に触れて、何かを感じてもらえましたか?







生徒の皆さんがいなくなった後、今回尽力してくださった教育委員会の方と公演の成功をこっそりとお祝い。本当にありがとうございました!


田島高校・田島中学校・檜沢中学校・荒海中学校


2012年に『肝っ玉おっ母とその子供たち』の上演から2年、また南会津の皆さんに会うことが出来ました。
公演準備の為に2年前も使用したホール、御蔵入交流館に到着すると、珍しいお客様が。
南会津町立舘岩中学校からホールに職場体験に来ていた生徒さんだそうです。
絶好の機会なので私達の公演の準備を手伝ってもらうことになりました。
俳優と一緒に一つの舞台が出来上がるまでを体験してもらいました。
残念ながら公演全部を観てもらえなかったのですが、またいつか、どこかで私達『ヘレン・ケラー』に出会える事を願っています!





開演前には校長先生から『人は様々な人と出会っていく中で成長するものです。今回の演劇を通して、そこに出会って欲しい』との話をいただきました。
そして、開演。先生の言葉もあり、客席からは、静かながらも何かを得ようとする視線、そのようなものを感じたように思います。
座談会では有志の生徒の皆さんが参加してくれました。当日飛び入りで参加してくれた生徒もいたそうです!
彼らからは演劇への動機や、具体的な演劇法について、様々な質問や相談が寄せられました。





座談会後、ホールから撤去作業を見学。
トラックへの積込が終わった後、旅班全員と皆さんが話せる時間が持てました。
なんと、2年前の『肝っ玉おっ母とその子供たち』を中学2年生で鑑賞し、風にまた出会えるのを楽しみにしていた生徒さんがいました!

2年前のブログはこちら

お互いに再会を喜びながら、記念に全員と記念写真!



巡回公演では長い期間、様々な地域へと伺います。その間にとても多くの方々と出会います。
そして、その繰り返しの中で、突然の出会いや、再会もまた訪れます。
今日の一日が、またいつかどこかの再会に繋がる、そんな事を楽しみにしながら、旅を続けていきたいと思います。

文:渡辺雄亮(音響)

『ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち』第7週目

2014-06-28 12:40:29 | 全国巡回公演
『ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち』のツアーも第7週目を迎えました。
6月16日(月)福島県(公財)南相馬市文化振興事業団主催公演 
  17日(火)青森県 青森南高校
  18日(水)秋田県 大曲農業高校
  19日(木)群馬県 明和県央高校
  20日(金)石川県 田鶴浜高校


(公財)南相馬市文化振興事業団主催公演 市内小学校15校合同演劇鑑賞教室 
   後援 南相馬市 協力 南相馬市教育委員会




南相馬市内の小学校4年生から6年生が各学校からバスやタクシー、徒歩で会場の【南相馬市民文化会館 ゆめはっと】へ集まり、
午前と午後の二回に分けてヘレン・ケラーを鑑賞しました。

午前の回は、原町第三小学校・大甕小学校・太田小学校・石神第二小学校・鹿島小学校・八沢小学校・小高小学校・福浦小学校・金房小学校・鳩原小学校
の10校が鑑賞しました。
午前の開演時間にも関わらず、子どもたちの舞台を見つめる熱い視線は、時にヘレンと共に笑い、怒りを感じ、アニーと一緒になって驚き、発見を共有していました。



午後の回は、原町第一小学校、原町第二小学校、高平小学校、石神第一小学校、上真野小学校の5校が鑑賞しました。
本番の中、客席に回り最後尾から彼らの背中を見るときに、ヘレンの見えない、聞こえない、伝えられない状況を自分に置き換えながら真剣に舞台を見つめる小さな身体は、物語を読み解こうとする理解の道のりに留まらず、舞台上の人間の生きる姿に対して必死に向き合おうとする立派な背中を客席の一番後ろから出会うことが出来ました。



終演後に俳優とゆめはっとの事業担当の方々とで子どもたちを送り出しながら、元気いっぱいの笑顔に私たちも彼らが見えなくなるまで手を振り続けていました。

青森南高校




今回のツアー最北の青森県 青森南高校の公演は、校長先生の開演前の挨拶で、副題の“ひびき合うものたち-Hearts in communion”を自身で改めて英訳し、人間と人間のひびき合いについての意味を深めてからの開演でした。
校長先生の言葉が生徒の皆さんに届き、とても集中した観劇となりました。
ヘレンとアニーのように、観劇を通して生徒の皆さんに感じてほしいことや、考えてほしいことを願い、伝える先生方の意志は言葉の意味だけが伝わるのではなく、彼らにとっての再確認の場や目を向けていなかった景色への扉を開いていくと感じました。



大曲農業高校



大曲農業高校での公演は学校のいくつもある体育館の中、新体育館で行われました。
朝、劇団のトラックが到着すると、インターハイ出場の女子ハンドボール部の生徒さんが大道具の搬入を手伝ってくれました。
幕間の休憩中に「あのトランク、私が運んだやつだよ!」と話している声が聞こえ、普段は劇団員のみで行う舞台設営が、学校と一緒に作っている実感を与えてくれました。



6月中旬の晴天で、すでに夏の到来を感じさせる一日でしたが、暑さに負けることなくむしろそれ以上の熱い視線を送ってくれました。

そして終演後は女子ハンドボール部に加え、柔道部、剣道部が搬出作業を手伝ってくれました。
笑顔の絶えない彼らの姿に、私たち劇団員も終始笑いながらの作業でしたが、記録的スピードで作業を終えることが出来ました。



最初から最後まで大活躍の自称力持ちの柔道部のみんなです!

担当の先生も大農の生徒のみんなががんばる姿を、終始、驚きと喜びの混じり合った表情で見守っていました。

明和県央高校




明和県央高校は学校始まって以来の演劇鑑賞で、学校の体育館に約1000人の観劇人数でした。
窓から通り抜ける涼やかな風が生徒の皆さんに心地よさを与えてくれていました。
昨年までは講演会を行っていたそうですが、観劇を通して生徒の皆さんの感じる力を養い、芸術に触れることから一人ひとりに考える場をつくる試みの第一歩の様でした。




終演後は演劇部の生徒さんがバックステージツアー・座談会・搬出のお手伝いと俳優・スタッフと共に触れ合う時間をたくさん頂きました。
そして搬出のお手伝いには演劇部以外に美術部・生徒会・映画研究会のみんなも参加し、舞台の感想や演劇という仕事について熱く質問していました。

田鶴浜高校




石川県 田鶴浜高校は衛生看護科・健康福祉科のある学校です。
今回の観劇していた生徒さんの先輩方は『Touch~孤独から愛へ』を観劇していました。
看護や福祉に関わる仕事を目指して勉強する中で、ヘレン・ケラーは日々学んでいることを舞台に重ね合わせながら真剣な表情で視線を送っていました。



全国各地で大雨が降りしきる一週間でしたが、風のヘレン・ケラーのツアーは行く先々で晴天の中、一回一回の公演を迎えることが出来ました。
天気さえも味方につけて笑顔の絶えない一週間。
東日本のヘレン・ケラー・西日本のジャンヌダルク、全国各地のいまその学校に通う生徒の皆さん、先生方とともに、演劇の場を大切につくっていきたいと思います。
ツアー後半もさらなる勢いをもって全国に風を吹かせていきます。


白石圭司:医者役