たんなるエスノグラファーの日記
エスノグラフィーをつうじて、ふたたび、人間探究の森へと分け入るために
 



2年半ぶりの中国・内蒙古の地は乾いていた乾き切っていた

万里の長城を超えて草原へ草原から砂漠へ
ゲルに泊まり羊の屠畜を観察し羊肉を口腔から取り込み肛門から野に放ち


人が草を求めて移動し冬に向けて草を蓄えそれらを餌として家畜に与え肥育した家畜を人が食べそれを資源として利用するという循環的な暮らしに目を瞠り


母子の牛を騙して搾乳する手法に人の知恵を感じつつ乳を搾りチーズやバターという語彙だけには収まりきらない乳加工品の広がりに驚きつつ賞味し
馬の気持ちになって馬の群れを追い


他者としての荒ぶる馬を飼い馴らすさまの一端を目の当たりにし


遊牧にとっての道とはいったい何であったのかそもそも道とは何なのかというような事柄を妄想し
丘の上に登りオボーを3回まわって牛の乳を捧げつつ祈りを捧げ



モンゴル政治とチベット仏教の共栄の図式の残像を歩き
夜の熱烈歓迎の宴のなか巧みなスピーチに酔いしれつつ献杯合戦に人の顔が二重にも三重にも見えるほど酔いつぶれ
蒙医(モンゴル医者)を尋ね脈診を受け臓器の熱性を伝えられ



東西にわたって「交雑」してきた結果であろうかモンゴルには美しい女性が多いと感嘆しつつ
蒙古と漢を隔ててきた秦と明代のグレート・ウォールに「登頂」し
堂々たる体躯を持ち誇り高きことを自求し諺を口にする蒙古人の魂に触れながら
バス中では「文化人類学しりとり」に興じながら

やがてじとじとと雨降るもう一つの世界・北京に戻ってきた



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