片貝孝夫の IT最前線 (Biz/Browserの普及をめざして)

Biz/Browserの黎明期からかかわって来ました。Bizを通じて日常を語ります。

トヨタの海外進出を支えた作業マニュアルを作った勝畑良氏に宛てた丸山有彦氏のメール

2012年02月29日 | Weblog
勝畑先生        丸山有彦です。

 大変お世話になっております。

 先日ご教示いただきました先生の論文を
 本日,都立中央図書館にてコピーしてまいりました。

 これは大変にすばらしいもので,
 当然最優秀賞をとるべきものだと思いました。

 同時に驚いています。
 テイラーに触れて,その問題点まで指摘しながら,
 その功績を評価なさっていらっしゃいますね。
 まさにその通りだと思います。

 私はピーター・ドラッカーがテイラーの評価をするをみて
 遅まきながらその意義が分かりました。
 それまでは西堀栄三郎しか読んでいませんでしたので,
 テイラーには批判的でした。今でも西堀は大切な人ですが。

 ただ,マニュアルを作ることになって気づきました。
 テイラーは否定しきれないですね。
 それをドラッカーが裏付けてくれました。
 今回,先生も裏付けてくださいました。

 最後のプレインオムレツの例は秀逸ですね。
 これも驚きです。
 私は,講義でレシピ型とメニュ型というわけ方で,
 業務マニュアルのまとめ方の話をします。

 レシピはまさにマニュアルですと。
 同類をまとめてチェックリストにするのがメニュ型です。

 レシピ型が本来の業務マニュアルになりますね。
 ただ残念ながら,初期の講座で料理のレシピで説明したら,
 業務と関係ないとアンケートでクレームがついて,
 以来,実際の業務のもので説明しています。
 残念ながら,応用が利かないのですね。
 マニュアルを作ったこと自体が余りない方々が
 お聞きになる講座ですから仕方ないのかもしれません。

 それから先生が推薦文をお書きになった『これからの技術文書』が
 図書館から借りられましたので,読了いたしました。
 後半の英語の部分は,よく分かりませんでしたが,
 前半は非常に示唆に富むお話が多々ございました。
 パラグラフの主語というところなど,かつてのマニュアル修正の仕事で
 実際にその線に沿って修正したことがございます。

 技術中心ですので,一般にいう業務マニュアル操作マニュアルと
 若干違いますが,これも大切な本になります。

 後半の英語の動詞文型について,
 私は日本語に関して,文型を作っております。
 「動詞」と言わずに「述部」という言い方ですが,
 文法学者と一線を画す文法体系がもう少しで出来そうです。

 同じ下村耕平著『製造物責任に対応できる取扱説明書の作り方』は
 古本で入手できました。
 これも若干の違いを感じながら,非常にいい本でした。

 1992年の本ですので,その後のPCについてのマニュアルで
 大きく変わったトレンドは反映されておりませんが,
 それは仕方ないと思います。
 また,技術者向けと一般向けの違いかと存じます。

 マニュアルは厚くてはいけないという傾向がまた出てきました。
 「薄くないと読まれないと言うのは間違い」という主張が
 下村本にはございますが,PC操作マニュアルで画期的だった
 NECのものは,薄くして,文章をプロに書いてもらって
 画期的な大成功を収めました。

 これがきっかけで,マニュアル大賞が出来たのではないかと思います。
 4割の方が,PCを立ち上げることさえできなかったのが,
 海老沢泰久のPCマニュアルのおかげで使えるようになったと
 大勢から感謝される事件がございました。
 1996年のPCマニュアルが図書館で現役で貸出しされております。

 先生のご本を読みながら思ったことは,
 トヨタ自動車も,マニュアル作成という経験があったがゆえに
 グローバル企業になれたのではないかなということでした。

 トヨタ自動車のグローバル化には,先生の多大な貢献があると
 先生の文章を読みながら思いました。

 すみません,ついつい長くなってしまいました。

 本日,どうも我慢できなくなって,予定をほっぽり出して,
 先生の論文を探しに中央図書館に行ってしまいました。

 先生の文書をもっとじっくり時間をかけて読み返さないといけません。
 大切な,おそらく今後も一番重要な文献であるかと存じます。

 どうぞ,今後ともご指導賜りますようお願い申し上げます。

月々10万円から使えるビルメンテナンス業界向けERPサービスに驚嘆

2012年02月29日 | Weblog
ウイシェアの賀来さんの講演を聞いた。
BPIAの THE業務改革セミナー

二つ目の大学院時代に、知り合いのビルメンテナンス会社の社長から、毎年契約金額を下げられて、このままでは行き詰ってしまう。コンピュータを入れて事務処理コストを下げられないものだろうかと相談された。
賀来さんは大学院を出てHPなどで働き、さらにMBAを取得すべく慶応の大学院に再入学。
その時卒業後のことを考えて、ビルメンテナンスのシステム作りを引き受けた。
一度社会経験があるから、どんなシステムを作ったら効果的かよく理解できたのだろう。出来上がったシステムを使ったその会社は、18ヶ月間で間接費用の70%削減と50%の売上増、業界平均の4倍の利益を生み出した。

間接費の削減の方法はこうだ。
まず採用時に契約書をしっかり結び、システムに入力しておく。
作業指示は個人持ちの携帯電話に飛ばし、作業の着手/終了を携帯から入力させる。
それを管理者が毎日承認することで賃金が確定する。つまり、月末で作業報告を出して賃金計算をするのではないのだ、残業も勝手にはできない。残業申請をして認められて初めてできる。
毎日やるべきことをきちんとやることで、給与は自動的に支払われる。人ではほとんどかからない。また、チームごとの採算が見られ、チームリーダーは余禄があれば、近隣で他の仕事もできるのではと考える。そして営業を動かす。
個々人が経営者のような感覚で仕事をし自分の収入を増やそうとする。結果として会社も儲かる。月70万円もの収入を得ているチームリーダーもいるとのこと。

仕事は最初に作業計画ありきで、計画通りやったことを確認するという形で日々の仕事は進行する。システムがなければ仕事はできない仕組みになっている。実に見事だ。

世の中には、仕事をした結果をコンピュータに入力するようなシステムが多い中、このように完全に仕事の仕方を解析し切ってシステム化し、システムから作業指示が出るようにすることで、会社にとっても社員にとっても、顧客にとってもよい、三方よしが実現できる。