片貝孝夫の IT最前線 (Biz/Browserの普及をめざして)

Biz/Browserの黎明期からかかわって来ました。Bizを通じて日常を語ります。

今日寺垣武さんから携帯に電話があった

2014年07月24日 | 寺垣武語録
4年ぶりくらいのような気がする。
91歳になられるという。
もうそろそろおしまいにしようと思うので、一度みなさんに集まってもらおうと思うとのことだった。
このことはさておいて、お元気な声が聞こえて、とてもうれしかった。

寺垣さんの言葉で一番印象に残ることば。

「1円という情報を南極まで送るのは造作もない、しかし1円玉を南極まで送るには船で何日もかかる。質量の無い情報としての1円と質量のある1円玉ではまったく違う。情報を簡単に信じてはいけない」

情報産業に身を置くものとして、これほどずしんとくる言葉はない。
現実世界を情報に置き換えて判断するのが情報産業だ。
質量のない情報は、いくらでも改ざんできる。
その恐ろしさを知れということだ。

寺垣さんの書庫には戦争の本ばかり並んでいる。特に太平洋戦争に関するものだ。
寺垣さんが言いたいのは、戦争の愚かさだ。

3.11のときスピーカーが倒れて、それをチューニングしたらものすごくいい音になったから、またおいでという。


寺垣武さんはこちら。


物と情報

2010年09月17日 | 寺垣武語録
寺垣さんは物作りの人。
物には質量がある。
1円玉を南極に運ぶには船が要る、しかし1円という情報を南極に運ぶのは一瞬だ。
質量が伴うと何ごとも簡単ではない、だから信頼できる。

インターネット時代の大量に浴びせかけられる情報と、モノを考えなくなった人間。
これの組み合わせを寺垣さんは恐れる。

86歳になられた寺垣武氏手作りの物質波スピーカー

2010年09月17日 | 寺垣武語録
日本橋三越劇場で、「寺垣武の発想」と題された、寺垣さんの製作した歴代プレーヤーの展示とトークショーが開催された。
午後と夜の部の二部構成で開かれ、私は夜の部に行った。
2,300人ほどの来場者の8割ほどが寺垣研究所を訪問したことがあると挙手していた。

世の中がデジタルに向かおうとした時代にアナログプレーヤーを作り始めた寺垣さん。
その動機は、レコードのカッティングマシンは針先に数百ワットのエネルギーを注ぎ込んで溝を掘っている、というたった一行の記事だった。
それほどのエネルギーを注ぎ込んで彫った100ミクロンほどの溝をトレースして音を再生するのに、どのレコードプレーヤーを見ても、とても再生できる構造はしていないと直感したのだ。
だったら作ってみようと。
レコードプレーヤーを作るのではない、レコードに刻まれた溝の微妙な凹凸を、正確に測定しようという表面粗さ計を作ろうとしたのだ。
とてつもない精密機械を作る挑戦が始まった。
しかしスピーカーによって音が違ってくることに気付き、原音を忠実に再生するスピーカを作る羽目になった。
その過程で物質波に思いが至った。
ヴァイオリンやチェロの音の出方、鈴虫やセミの音の出方は、今のスピーカーの音の出し方とは原理が違うことに気付き、物質波スピーカーも作った。

会場にいる人たちはみんな話は知っている。
寺垣節を心地よく聞いた。

写真は86歳の寺垣さんが注文生産を開始した帆型スピーカー。
50台ほど作る予定だそうだ。

寺垣武さんの歴代プレーヤーと新作スピーカーの発表会

2010年08月25日 | 寺垣武語録
9月16日日本橋三越本店本館6階の三越劇場にて開催されます。

昼の部:13:30開演
夜の部:17:30開演

チケット予約はinfo@teragaki.comへ
予約3000円
当日3500円

寺垣さんのお話が聞けます。
先日高校生が先生のお話を聞きましたが、興奮して岐阜の自宅に帰ったそうです。
これからの自分の生き方のヒントを得たようです。
ホンモノに触れるチャンスです。

寺垣さんはおっしゃいます。
「人に向かうから、技術は生まれる」
人の役に立ちたい、人の「困った」を解決したい、だから技術は生まれるのです。
儲けのためではありません。

オーディオ業界の人はたくさん来ているが、、、

2010年08月18日 | 寺垣武語録
レゴで何でも作ってしまうという天才高校生と23歳の若者を連れて、久しぶりに寺垣詣でをした。
こういう若者に寺垣さんを会わせておくことは、とても大事だ。
頼まれてお連れしたわけだが、こういう役割が果たせてうれしい。

ところでいつものことだが、寺垣さん名刺ホルダーを見せてくれた。
ほとんどのオーディオ業界の重鎮が寺垣詣でをしている。
にもかかわらず、にもかかわらずだ、決して寺垣スピーカーを作ろうとはしない。
音響工学を根底から否定してしまっている物質波スピーカでは、社内のコンセンサスが得られないのだろうと寺垣さんは言う。

ともあれ、寺垣さんは帆型スピーカを50セット作るという。
量産とはいかないが注文が入ったので、と言っていた。
帆型スピーカはいい音がする。
箱に入っていないので開放感が心地いい。
安定している。

2010年9月16日に三越で寺垣ワールドの展示がある。
お見逃し無く。

久々の寺垣詣で

2010年06月30日 | 寺垣武語録
11名で来ました。
三菱商事OB5人ほか。
子供のように歓声をあげて喜んでます。
寺垣さんも86歳になりました。
しかし創作意欲は衰えることを知らず。
新しい帆かけスピーカーがありました。

レコードプレーヤーを作るのではない、レコードの溝の凹凸を正確に測る「表面粗さ計」を作るのだと考えれば、油やゴムなどを使ってはいけないことは自然に分かる。
どう認識して仕事にとりかかるかが大事なのだ、という。
認識からの出発。

大企業が壊れかかっている

2010年02月06日 | 寺垣武語録
物作りの神様寺垣武さんとお話しする機会が時々ある。
彼は日本の大企業製造業が危機的状況にあるといつも憂いていた。
製造技術の低下だ。
寺垣さんは生産技術コンサルタントとして多くの大企業製造業の
指導をしてきた。
日本の大企業製造業は、自らの腕を磨かず価格の安い下請けから
調達することばかり考えてきた。
これは破滅に到る道だ。

トヨタだけではない。

日本人は戦争などしてはいけないのです

2009年12月08日 | 寺垣武語録
寺垣武さんのお宅にある本は戦争の本ばかり。
何千冊あるのだろう。
寺垣さんは特攻を見送った。
ゼロ戦の整備兵だった。

昨日のNHKのテレビで、元海軍の士官たちの反省のことばがあった。
「海軍あって国家なし」
日本のこと、国民のことではなく、海軍のことが優先していたという。
陸軍もそうだったという。
勝算もなく、勇ましい発言がまかり通って、冷静な判断ができないまま、真珠湾攻撃がなされた。
そして310万人の命が奪われた。
アジアではもっと多くの人の命が奪われた。
ただ、自分の所属している軍隊の発展のみ考えた結果だ。

寺垣さんは、頭だけで物を考える人間のやることはしょせんこんな程度だと言う。
そして日本人は罠を仕掛けて敵を仕留める国民ではない、
そんなことはできない国民だ、戦争の記録を読めばわかると言う。
日本人は畑を耕し、海で漁をしてつつましく生きればいいのだと言う。

そんな日本人だからこそ世界の役に立てる時代が来たのではないかと思っている。

デジタルも大事

2009年10月04日 | 寺垣武語録
寺垣さんの専門は機械の生産技術者だからアナログの世界の人。
それがデジタルも大事だと講演の中でおっしゃる。

写真は、4日までやっていた東京インターナショナルオーディオショウで講演している寺垣さん。
手にしている絵は、ボスコーヒーのイラスト。

寺垣さんが言うには、「50男の色気が見事にでているが、目を近づけて部分を見ると、何の絵かちっともわかりません。しかし遠くから見ると味わい深い絵に見えます」。
講演の冒頭でこのイラストを見せた。
アナログを蘇らせた男ではあるがデジタルが悪いと言っているわけではない。
必要に応じて使い分ければいいし、それぞれ目的があると言いたいのだ。

寺垣さんがスピーカーを10セット製作します。ご注文を承ります。

2009年09月01日 | 寺垣武語録
寺垣さんの自宅に行かれた方はご存知でしょうが、写真に写っているスピーカーをモデルに、不必要な部分を省いたスピーカーを作ることになりました。
1セット(2本)100万円を想定しています。
10セット分の注文を受けてから製作に入ります。
購入をご希望される方がいらっしゃいましたら私宛メールください。
メールアドレスは以下です。*を@に変えてお送りください。
katakait*jcom.home.ne.jp

以下の条件があります。
1.日にちを決めて寺垣さんのご自宅にうかがっていだだき、製作するスピーカーについての
  説明を聞いていただき、納得していただく。
  いくつかのスピーカーの音も聴いていただきます。
2.納得していただいた上で、手付金として30万円お預かりする。
3.納期は4ヶ月から6ヶ月とお考えいただく。
4.取引は寺垣さんと直接していただく(私は契約当事者にはなりません)

寺垣スピーカーを1台でも多く世に残したいと思って活動しております。
10セット分の注文が集まりましたらその時点で締め切らせていただきます。
どうぞよろしくお願いいたします。

寺垣スピーカーを聴いた高校一年生の感性

2009年08月02日 | 寺垣武語録
60年前のロック音楽や45年前のヴァイオリン協奏曲のレコードを、寺垣さんのプレーヤーとスピーカーで聴いた高校生の感想。
「どれも演奏者の緊張感や息遣い、また、ちょっとしたミスまでも、すべてが「正確」に伝わってきた」とのこと。
レコードの録音エンジニアがカッティングの針先に300から400ワットのエネルギーを注入しているという一文から始まった、寺垣さんの「レコードに刻まれた音の正確な再生人生」に、16歳の高校生は深い感銘を受けたようだ。

私も一つの大事な仕事を成し遂げた気分になった。

女性のオーディオマニアはいない

2009年07月22日 | 寺垣武語録
オーディオマニアというのは男だけではないかと、寺垣さんは言う。
そういえば女性のオーディオマニアというのは寡聞にして知らない。
女性は、代用品はしょせん代用品。オーディオ装置は、普通に音楽が聴ければよしと考えているのだろうか。
本物の音楽を聴くには、正装して音楽会に行くから、普段は代用品で構わないと考えているのだろうか。
オーディオマニアという人たちは、生の演奏会より、自分がベストと思う演奏を自分のオーディオ装置で聴くほうがいいと思っているのだろうか。

現実の生活と密着した発想をする女性と、道具の力を借りて夢を見る男性といった構図があるのだろうか。

寺垣さんの書棚は、戦争の本ばかり。
頭だけで考えて行動した愚かな男の物語だという。