東京電力の情報システム子会社であるテプコシステムズのパッケージソフトで、技術継承支援ソフト、その名も
K-SHOWというのがある。お話を伺っただけだが、東京電力で技術継承が必要な熟練工の作業を映像で撮って継承しようというものだ。あとでポイントとなるところに注釈を付けたりして編集できる。2007年問題が始まったばかりのところなので、旬のソフトだと思った。すでに150セット売れているという。
ところで、熟練工の動作を映像に撮るとき、一方からではなく、せめて3つくらいのポイントから同時に撮る必要があるのではないかと思った。たとえば、旋盤なら、バイトが材料を削っている接点の拡大と、手元、そして全体映像など。今のハードディスク内臓ビデオカメラなら技術的にはできるはずだ。カメラは3箇所に設置し、スタート/ストップは1個のスイッチで行う。すると再生するときは3つの映像を同時に再生できる。これによって、専門家の手を借りなくても、難しい技術を多面的に記録することができるのではないだろうか。3つのカメラで撮ったら、人手も編集も大変で、大金がかかってしまう。
実はチェロの名演奏家の演奏を分析するのにも使えると思った。弓を持つ手、弦を押さえる指、そして全体の画像だ。音は別々に取らなくても普通のステレオ録音でいいと思う。
この発想は、昔TVでパソコン番組のコメンテーターをしていたとき、取材先にカメラマンと行くのだが、カメラは一台だ。インタビューするときは終始相手の顔を映している。それでは変化がないので、時々インタビューアーである私の顔を映さねばならない。本来カメラが2台あればいいのだが予算上そんなことはできない。そこで、インタビューが終わってから、私がにこやかにうなずく映像をいくつか撮る。俳優じゃないのだから、相手もいないのに、にこにこうなずくなんて顔がこわばる。いずれにしてもそれを編集で途中に差し込み、映像にメリハリをつける。このときのことを思い出したのだ。インタビュー番組で、不自然な相槌があったら、カメラは1台で、低予算で作られたなと思ったらいい。ともあれ、こういう場合にも、一台のカメラで同時に二人撮れば、自然な映像が撮れる。用途は結構多いと思う。