片貝孝夫の IT最前線 (Biz/Browserの普及をめざして)

Biz/Browserの黎明期からかかわって来ました。Bizを通じて日常を語ります。

企業情報システム50年 情報システム部門の盛衰

2015年09月24日 | 企業情報システムの50年
1960年代から80年くらいまでの日本企業の情報システム部門はほんとうに元気だった。
もともと事業の現場にいた若手を抜擢してシステム部門を作ったから、出身事業部とも常に密に連携しながら全社のことも考えつつ仕事をする人たちばかりだった。
確かに当時はコンピューターメーカーごとに囲い込まれてはいたが、それによって専門的なことはコンピューターメーカーのエンジニアに任せておけばよく、自分たちは業務をどうシステムに乗せるかに専念できた。
ほとんどの企業が自社の情報システムに自信を持っていた時代だった。

それが1980年代に入ってパソコンが出てきてからおかしくなった。
ホストコンピューターではなかなか部門独自のシステムや個人がやっている仕事を救うまでには至らなかったため、現場はパソコンに飛びついた。
いわゆるEUCだ。それがどんどん発展して部門サーバーとつながるようになり、情報システム部の知らないところで結構なシステムが構築されるまでになった。
そうなると、情報システム部門は何をやっているのかという声も聞こえるようになってきた。
そしてショックだったのは米国でコダックが情報システム部門をIBMに売却したことだった。
これを機に日本のコンピューターメーカーや大手SIerが企業の情報システム部門の買収にかかってきた。
私に言わせればこんな愚は無い。情報システム部門は単に事務処理を機械化する時代は終わって、これから戦略部門になるのに、売却してどうすると天を仰ぐ気持ちだった。

今また情報システム部門が戦略部門として注目され始めているが、売却してしまった会社はあとの祭りだ。

情報システム部門を手放してはいけないし情報システム部門には最も優秀な社員を配置すべきだ。クラウドを利用することで技術的なことは業者に任せて、昔のように経営と一体となった情報システム部門になっていかねばならないと私は思っている。


企業情報システム50年 データは必ずしも正確でなくてよい?

2015年09月17日 | 企業情報システムの50年
勘定系業務では考えられないことだが、グループウェアでは許される。

たとえばスケジュール。
面会の相手の名前まで書きたくない場合、社名と時刻、簡単な用件のみ書いて入力してしまう。
詳細が必要なら自分の手帳に書いておく。

たとえば名刺管理
いただいた名刺を登録したが、それから何年も経って昇進しているか部署が変わっているかもしれない。3年もすれば何かが変わっている可能性は高い。
でも親しければ親しいほど、その後名刺交換しないからわからない。
ところが、登録した名刺を全社や部門で共有すると、だれかがその名刺が古いことに気付くチャンスに恵まれる。
つまり、更新しにくい情報は人目にさらすことで正確になってくるという性質を持っている。

あれば便利系のシステムでは、適当に使い始めることが大事だが、やるなら徹底してやらないと効果が出ない。
スケジュール管理に参加していない人がいると、空き時間管理ができない。空いている時間を自動的に見つけて複数人の予定を一緒に自動的に取るということはシステム的には可能だが、前提として各人が予定をもれなく入れているということが前提になるからだ。

かくして、企業情報システムには、絶対に正しくなければならない勘定系データと、オフィスワークを支援するような多少あいまいさを含んだデータの療法が混在することとなった。こんなことも長年企業情報システムにかかわっていると感じることだ。



企業情報システム50年 データ入力今昔

2015年09月14日 | 企業情報システムの50年
今は、入力中のデータでも過去に入力したデータでも、見ようと思えばいつでも端末から見える。
多くの人の目で見ていると間違いに気付く人がいて訂正の機会に恵まれる。
コンピューターの黎明期はそうではなかった。一度取り込まれたデータをそのままの形で人が見ることはまずなかった。もし間違いデータが取り込まれてしまったら発見することはほとんど不可能だった。そのために最初にデータを投入するときの慎重さには異常なまでの注意を払った。

社員番号などには末尾に必ずチェックディジットを付けた。コードを読み違えて書いてもチェックディジットとの照合ではじくためだ。伝票をキーパンチに回してカードにパンチしたときキーパンチャーがパンチミスを犯すこともある。だから必ずベリファイと言って別な人がもう一度伝票を打って照合した。水際作戦だ。

入力データを入力しながら人事マスターから氏名を持ってきて画面で目視できるようになって、これまでの苦労は不要になった。逆にいつでも見えるから、入力時の慎重なチェックシステムをあまり考えなくなった。

企業情報システムはデータが命。100%正確でなければならない。これをどう担保するかは今も昔も同じはずだが、国家プロジェクトなどではメルトダウンも見られる。ゆゆしき問題。

企業情報システム50年 製造業と金融業の違い

2015年09月14日 | 企業情報システムの50年
それまで勤務していた製造業からソフトウェア開発会社に転職したころの話。

最初に与えられた仕事が銀行の夜間バッチシステムの再構築。
日中に起こったすべての取引データを元にマスターを更新する仕事だ。
結局ありとあらゆる取引について知ることとなった。

とにかく驚いたのは製造業とは全く発想が異なっていること。
製造業は、すべて理詰めで、縦に一本筋が通っている。とにかくこれが本筋で、例外をどうするを突き詰める必要があった。
しかし金融業では、いわば何でもありで、さまざまな取引が考えられる、新しい取引形態も発明される。複雑怪奇魑魅魍魎だと最初思った。

理系文系という言葉が日本にはあるが、製造業は理系頭で考えた仕組み。金融業は文系頭で考えた仕組みだと思った。モノを扱う仕事と情報を扱う仕事の違いということもある。もったいないなと思ったのは、どちらにも素晴らしい発想がある。垂直思考で考える人と水平思考で考える人の組み合わせで企業を考えたら面白い会社ができるだろうなと思った。

昔は仕事があって、そのデータをコンピューターで処理した。昨今のベンチャー企業には、コンピューターやネットワークがあって初めて存在しうる種類の会社が増えてきた。理系的発想と文系的発想の融合が、こういう会社では生きてくるだろうなと思う今日この頃。

鉄道の各駅すべてに保育所を併設したらどうか

2015年09月13日 | 22世紀を目指して
昨日NHKで小林一三の物語を見ていて思ったこと。
小林一三はある日、一日中梅田駅の改札に立って乗降客の声に耳を傾けていた。
その中に「駅で買い物ができたら便利なのに」という女性の声がたくさんあるのを聞いて梅田駅直結の阪急デパートを建設したという。

私は、10年前のブログで、企業内保育所を作るべきだと主張したところ、若いお母さんからすぐに反論があった。会社に保育所があっても、どうやって満員電車の中で子供を連れて行くのですか、みんな白い目で見ていて席を譲ってくれる人もいませんよ。そんな電車で毎日子供を連れて都心まで行けると思っているのですか、というものだった。男の浅知恵だった。

番組を見ていて、小林一三だったら、きっと「駅に保育所を作ったらみんな助かる、ビジネスにもなる」と思うのではないだろうかと夢想した。
また落とし穴があるかな。





企業情報システム50年 VisiCalcを見たときの衝撃

2015年09月10日 | 企業情報システムの50年
企業情報システムというものは、システムを作る人と使う人が違うものだという認識しかなかった。
私作る人、あなた使う人だ。

ところが、1979年にアメリカでVisiCalcが出た!

私は、これを見たときに、自分はこれまで何をしてきたのだろうと思うほど衝撃を受けた。
自分の仕事のために自分で仕組みを組み込み(プログラムを作る)自分でコンピュータを自由に使うということができた。

VisiCalcはAppleⅡ用に作られたが別にこれはホストコンピュータでも作れる仕組みだ。
世界中に企業情報システムにかかわる人間が何百万人いたか知らないが、ホストコンピュータでVisiCalcのようなものを作ったという話を聞いたことはなかったし自分でも考えもしなかった。これはショックだった。

VisiCalc以来パソコンが爆発的に売れるようになり、エンドユーザコンピューティングの時代が津波のように押し寄せることになる。
そもそもエンドユーザという言い方がおかしい。ユーザコンピューティングだ。

ちなみにCalcの歴史を簡単に紹介すると、次がSuperCalc

次がMultiplan

そしてLOTUS1-2-3

最後にEXCELが登場した。

この間わずか6年。表計算ソフトの戦国時代だった。

私が最初にEXCELを使ったのは1985年、初代マッキントッシュだった。バグだらけでとても使い物にならなかったが、その美しさには目を見張らされた。

ともあれ、表計算ソフトはEXCELで世界が平定され、シートをメールでやりとりもできる時代になった。企業情報システムとも有機的連携もできるようになり、今日に至っている。













CIO賢人クラブセミナーで、元小松製作所社長の安崎さんのお話を伺った

2015年09月10日 | Weblog
安崎さんは、大学で第二外国語として中国語を学ばれた。
そんな関係もあって、コマツに入社後若いときに中国に渡り中国にコマツの建機を販売していた。
安崎さんの中国文化への造詣はとても深いものがある。
今回は「コマツの人材育成」についての講演だったので、そういった話は聞けなかったが。

安崎さんは、日中草の根交流を目指して創刊された「和華」の会の会長でもある。

写真は「和華」仲間ということで安崎さん、高さんと。




「Biz/Browser今でもガンガン使ってますよ」ヤマト運輸の小佐野さんに久々にお会いした

2015年09月10日 | Biz/Browser
昨日のCIO賢人クラブ主催の会合で、実に久しぶりにヤマト運輸の小佐野さんにお会いした。

小佐野さんは2003年にBiz/Browserをヤマト運輸に導入してくださった恩人。
ヤマト運輸では、Biz/Browserを使い始めてから12年が経つ。

今では数えきれないほどの業務がBiz/Browserによって支えられている。
支えると言ってもBiz/Browserの役割は、パソコン側のUIだけだ。
毎日の作業を画面に向かってする場合、そのインターフェイスの部分にBiz/Browserが使われる。
サーバ側がいろいろ変化しても、日々の仕事が変わらなければ画面は変える必要はない。
そんなことでヤマト運輸の社員は12年間慣れた画面で日々の業務をされている。

Biz/Browserは今やパソコンのみならず、iPhoneやAndroid、ハンディ端末でも共通に動作する。
業務用画面の共通プラットフォームにすると会社全体のシステム開発運用の生産性と保守性が上がり、変化にも難なく追従できるようになる。
ヤマト運輸はほとんどの業務のフロントがBiz/Browserなのでそれが可能になっている。



企業情報システム50年 見果てぬ夢ーソフトウェアの自動生成

2015年09月09日 | 企業情報システムの50年
要件定義ができたら、それを読んでソフトウェアは自動生成してくれる。
このことは情報処理業界の昔からの夢だった。
しかしいまだに完全には実現していない。
このことを長年考えていたが、今のところ結論はこうだ。

こういう場合にはこうする、ああいう場合にはああすると一義的に決められるものは何かと言うと、WHATの部分だ。HOWになると蜂の巣をつついたようになる。従来のシステム開発はWHATとHOWをごちゃまぜに開発してきた。特にWebシステムでは。

HOWとはUIの部分だ。どのような手順で処理するかという操作性の部分だ。この部分を完全に切り離して作ることができれば、WHATとHOWを切り離して開発することができる。そしてWHATは業務マニュアルとして定義できるから、自動生成もできる。HOWの部分は相手や端末の特性に合わせてそれぞれ作ればいい。

このような発想で開発されたのがBiz/Browserという製品だ。Biz/Browserはサーバとは粗結合なので、いかようにも画面はいじくれる。サーバとのデータのやりとりの構造さえ変わらなければ、クライアント側のプルグラムをを変更してもサーバ側のテストは必要ない。

考えてみると、IBM3270エミュレータの時代に、端末側の画面を別に作ってIホストコンピュータとやりとりするという方式があった。その考え方をWeb環境に取り入れたようなものだ。
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3270時代をご存じの方はこちらをご覧ください。

話は変わるが、業務システムのユーザにとって一番UIがすぐれていたのはいつかというと、1990年から95年あたりに作られたVBを使ったシステムではないかと思う。この時代、それまでの文字だけの世界からマウスが使えGUIが使えるようになり、とにかく操作性を良くしようと、作る側も採算度外視で熱に浮かされたように工夫に工夫を重ねたものだ。

それが結果としてソフトウェアの管理の困難さにつながりTCOの削減が叫ばれ、Webシステムがいいのではないかということになり、基幹業務のWeb化が始まったが、そもそもHTMLで基幹業務が書けるわけもなく、レスポンスや操作性が犠牲にされた。情報システム部門のTCO削減がメインテーマになってしまった。

いろんなことがあって、また基幹業務のWeb化は落ち着いていない気がする。



消費税還付にマイナンバーカードを利用するのはいいかもしれない

2015年09月08日 | Weblog
食料品を買った場合、所得に応じて後日消費税が還付されるとか。

そのためにはマイナンバーカードが必要とのこと。
そのリーダーも多分レジに必要になるのだろう。

マイナンバーは徹底的に普及させる必要がある。
そのためにはこれはいい制度かも知れない。



久しぶりにソフトウェアに感動した

2015年09月07日 | おもしろソフト
ビジネスルールを定義すると、業務ロジックが自動的に生成されるという、いわゆるBRMSだ。
友人が素晴らしいというので、私も会社に伺って説明とデモを見せてもらった。

はじめの30分くらいは、製品名を置き換えれば競合他社の製品説明としても成り立つような一般的なお話。
さてどうしたものかと思っていたところ、具体的な説明に入ってびっくりした。
BRMSだけで業務のテストができるのだ。つまりアプリケーションとして完成していない段階で、さまざまな業務のケースのテストができ、業務上の漏れや不具合がテストでき、修正できるのだ。
さらに実際に組み込んで行くときは、EXCELの関数が使えたり、必要があればSQLを書き加えることもできる。当然業務フローも自動生成。
これは相当優秀なユーザの意見が入って、さらに相当の年月が経って枯れたソフトだと思った。
なぜ枯れたソフトだと分かったかと言うと、自分でもBiz/Browserにかかわって15年。ユーザのさまざまな要求を見事に実現してきたのを知っているからだ。このBRMSを見たとき、本物だと思った。

聞いたらなんと13年の歴史があると言う。
しかし画面系は捨てているという。
では画面はBiz/Browserで行きましょうということで意気投合。

そのソフトはこれ。