友人の杉浦和史さんからいただいたメールです。
ぜひお読みください。
ここから--------
使えない電子カルテが多いのは知る人ぞ知るところですが、それを払拭する電子カルテのグランドデザインを考えていた際に、使い勝手の他に何か問題はないのかを調べていたところ、引っ掛かった事例がありました。
解熱鎮痛剤の「サクシゾン」という薬剤を投与すべきところ、誤って筋弛緩剤のサクシン」を投与し、患者さんを死亡させた医療事故です。
原因は、医師が電子カルテを操作した際、投与する薬を『サクシ』と入力して検索したところ、『サクシン』だけが表示され、これを「サクシゾン」と思い込んでしまった医師がそのまま投与した結果、起きたものです。
□検索機能の機能不足
薬品名のどこかに「サクシ」を含むものを全て表示できなかった。この場合 「サクシゾン」、 「サクシン」の両方が表示されるべき。
且つ、危険な「サクシン」は赤字で表示するなどのきめ細かさが必要。
(どのメーカのものか分かりませんが、この検索機能のお粗末さはバグの範疇だと思います)
□警告メッセージの不備
筋弛緩剤など危険な薬が選択した場合には
“選択されたサクシンは、筋弛緩剤です。確認願います”
~~~↑~~ ~~~~~↑~~
薬品 用途、機能
など、警告メッセージを表示する。
気の利いたメッセージは使い勝手を左右しますが、この場合は、生死を分けるメッセージです。
これがないシステムを作った設計者のセンス(というより常識)が問題だし、仕様を検討したはずの実務を知っているはずの病院関係者も問題です。
なお、電子カルテなら患者の症状がデジタル化されているはずなので、それらを総合的に判定し、この薬を処方しては危険ということで、選択できない(検索にヒットさせない)ようにすべきではなかったか?
どうしても必要という場合が想定されるなら(何でもありが病院のシステム)、明示的に薬品名をフルネームで入力させるなどの方法も危険防止には有効ではないかと思われます。
□それでもすり抜けた場合
人間系で対応。
危険な薬を処方(指示)された場合には、看護師、薬剤師が再チェックするパスを設けておく。
今回の事件では、看護師が気が付き、サクシンで良いのかを確認したそうですが、サクシゾンと思い込んでいる医師は「20分で入れてくれ」と指示しただけだったとのことです。
看護師は単に「サクシンで良いですか」ではなく、「筋弛緩剤のサクシンですけど、いいですか」と言ったら結果は違っていたかもしれません。
もっとも、この医師は休みがほとんど取れずに働きづめだったそうで、気の毒ではあります。
人間の注意力の限界をシステムでカバーできることがあれば、そうすべきでしょうが、どれがそれに該当するかは、現場に入り込んで十分な調査をしなければ分からないことです。それが十分ではなかったということでしょう。
また、システムとは無関係ですが、問題だと思ったら、気後れせずに医師に質問できる雰囲気の醸成が必要になります。
-----------ここまで
以上です。
寺垣さんはいつも言っています。「人に向いた技術でなければ意味がない!」と。IT業界のエンジニアも肝に銘じておきたいことばです
ぜひお読みください。
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使えない電子カルテが多いのは知る人ぞ知るところですが、それを払拭する電子カルテのグランドデザインを考えていた際に、使い勝手の他に何か問題はないのかを調べていたところ、引っ掛かった事例がありました。
解熱鎮痛剤の「サクシゾン」という薬剤を投与すべきところ、誤って筋弛緩剤のサクシン」を投与し、患者さんを死亡させた医療事故です。
原因は、医師が電子カルテを操作した際、投与する薬を『サクシ』と入力して検索したところ、『サクシン』だけが表示され、これを「サクシゾン」と思い込んでしまった医師がそのまま投与した結果、起きたものです。
□検索機能の機能不足
薬品名のどこかに「サクシ」を含むものを全て表示できなかった。この場合 「サクシゾン」、 「サクシン」の両方が表示されるべき。
且つ、危険な「サクシン」は赤字で表示するなどのきめ細かさが必要。
(どのメーカのものか分かりませんが、この検索機能のお粗末さはバグの範疇だと思います)
□警告メッセージの不備
筋弛緩剤など危険な薬が選択した場合には
“選択されたサクシンは、筋弛緩剤です。確認願います”
~~~↑~~ ~~~~~↑~~
薬品 用途、機能
など、警告メッセージを表示する。
気の利いたメッセージは使い勝手を左右しますが、この場合は、生死を分けるメッセージです。
これがないシステムを作った設計者のセンス(というより常識)が問題だし、仕様を検討したはずの実務を知っているはずの病院関係者も問題です。
なお、電子カルテなら患者の症状がデジタル化されているはずなので、それらを総合的に判定し、この薬を処方しては危険ということで、選択できない(検索にヒットさせない)ようにすべきではなかったか?
どうしても必要という場合が想定されるなら(何でもありが病院のシステム)、明示的に薬品名をフルネームで入力させるなどの方法も危険防止には有効ではないかと思われます。
□それでもすり抜けた場合
人間系で対応。
危険な薬を処方(指示)された場合には、看護師、薬剤師が再チェックするパスを設けておく。
今回の事件では、看護師が気が付き、サクシンで良いのかを確認したそうですが、サクシゾンと思い込んでいる医師は「20分で入れてくれ」と指示しただけだったとのことです。
看護師は単に「サクシンで良いですか」ではなく、「筋弛緩剤のサクシンですけど、いいですか」と言ったら結果は違っていたかもしれません。
もっとも、この医師は休みがほとんど取れずに働きづめだったそうで、気の毒ではあります。
人間の注意力の限界をシステムでカバーできることがあれば、そうすべきでしょうが、どれがそれに該当するかは、現場に入り込んで十分な調査をしなければ分からないことです。それが十分ではなかったということでしょう。
また、システムとは無関係ですが、問題だと思ったら、気後れせずに医師に質問できる雰囲気の醸成が必要になります。
-----------ここまで
以上です。
寺垣さんはいつも言っています。「人に向いた技術でなければ意味がない!」と。IT業界のエンジニアも肝に銘じておきたいことばです