ゆるゆるらいふ

とりあえず、今日も一日機嫌よく・・・

南の島に雪が降る

2015年08月18日 | 演劇
上演期間がお盆にかかっていることもあり、行こうかどうしようかギリギリまで迷ったけれど、行ってよかった。

2年前に通っていた戯曲セミナーでご一緒した女性と先日お茶をしたときに、是非に、と勧められた前進座の舞台。

最近ご自分の劇団を旗揚げしたという彼女が師と仰ぐ西川信廣さんとおっしゃる方が演出されてるとのこと。

原作はご自身も前進座に籍を置いていたという俳優故加東大介さんがご自身の体験描いた同名の小説。
ご本人は加藤徳之助という役名で登場する。

南方の島ニューギニアの奥地で、徐々にジャングルの奥に追い込まれた兵隊たちは、
闘いではなく、飢えや病気で次々と命を落としていく。

そんな中、士気を上げようと、演劇などの経験者を集めて、「マノクワリ演芸分隊」が立ち上げられ、
歌や芝居を上演すべく、準備が進められていく。

ジャングルの中、何もないところから、工夫を凝らし、衣装やかつら、舞台装置、果ては劇場まで作り上げていく過程は、
とてもリアルで、驚かされる。

きれいごとではなく、大小のもめごとを一つ一つクリアしながらみんなで一つの目標に向かっていく様は、心が震える。
演じる彼らも、観客の兵隊たちも、双方が命がけなのだから。

やがて、彼らの歌や芝居は、ジャングルに置き去りにされた兵士たちの心のよりどころとなり、生きる希望となる。
歌や芝居を通して、祖国の愛する人を思いだし、心に一筋の光がともる。

それを受け止めて、演芸分隊の人たちは、労働や訓練のあと、どんなに疲れていても、食料を演劇の道具に替えても、
帰国のチャンスを棒に振っても、舞台をやり続ける。

東北出身の瀕死の一兵隊のために、紙で作った雪を降らせるシーンは圧巻だ。


皆が命がけで造り上げた「マノクワリ歌舞伎座」のこけら落しの日。
加藤分隊長の口上を聞きながら、このお芝居の幕は下りる。

兵隊たちは、お坊さんだったり、カツラを作ってた人だったり、歌手だったり、農家だったり・・・。
こんな普通の人たちが、ある日突然兵隊にさせられて、ちょっとくらいの訓練で戦えと言われても、できるわけがない。

本当に、いかに浅はかな戦いだったかが苦しいくらいよくわかる。

前進座の舞台を観るのは初めてで、失礼ながら俳優さんたちも一人も存じ上げないが、ぐいぐい引き込まれた。

本当に行ってよかった。

教えてくださった方に、感謝感謝。

9月にはその方ご本人が出演される舞台がある。

こちらのチケットはお会いしたときに直接買わせていただいた。

楽しみに伺います











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