ゆるゆるらいふ

とりあえず、今日も一日機嫌よく・・・

【観劇メモ】戯作者銘々伝

2015年06月08日 | 演劇

北村有起哉さんがちょっと好き

最初におっっと思ったのは、ずいぶん前のテレビドラマ「SP」で
頭のキレる冷徹なテロリストを演じていた時。

テレビももちろん素敵だけれど、やっぱり舞台

今回はこまつ座の公演ではあるけれど、井上ひさしさんの戯曲ではなく、東憲司さんって方の作・演出。

舞台の上には一槽の小舟。
みなさん、白装束で頭には三角のピラピラ。
そう、みんな幽霊だ。

山東京伝という戯作者(通俗作家)が北村有起哉さん。
黄表紙と言われる新しいジャンルの作品の人気作家だ。
絵とかな文字で構成され、風刺や諧謔性をきかせた物語であることが特徴らしい。

京伝の作品をはじめ、黄表紙を次々と世に出す江戸の版元蔦屋重三郎に西岡徳馬さん。

京伝の二人の妻のそれぞれを新妻聖子さんが演じ分ける。
悲運の花火師は玉置玲央さん。

式亭三馬に相島一之さん。

阿南健治さんや山路和弘さんも加わり、こまつ座っぽい歌あり微妙な踊りありの楽しい舞台になった。

北村さんと西岡さん以外は一人で二、三人を演じているので、一瞬 この人今はだれなの?とちょっとわからなくなったりする。
そもそも不勉強で歴史がめっぽう弱い。
大河ドラマの人間関係でもアウトなのだから、あまり聞き覚えの無い江戸時代の戯作者たちの名前なんて、誰が誰だかさっぱり

前半は、それぞれの人となりを紹介するような場面が多く、淡々と進んでいくので、ちょっと眠くなっちゃったりした。

後半になって、見せしめのために、「手鎖の刑」という手を縛られて、何日も筆を持てないようにする刑に処せられた京伝の葛藤や、
血のにじむような努力の末に造り上げた花火の打ち上げを禁じられた上に犯罪者にされてしまう花火師の悲運など
じわじわと心に響いてくるシーンが続き、目が離せなくなる。

新妻さんの歌声は透き通るようにきれい
かすれていて、通らない声にコンプレックスを持ち続ける私には、心の底からうらやましい。

江戸時代にも、蔦屋重三郎という今でいうプロデューサーがいたのも驚きだ。
彼は、バラバラに存在していた江戸文化を統合し、質を向上させ、新しい創造の可能性を次の世代に渡した、とのこと。
改革や弾圧をくぐりけて、文化を持続させた功績は大きい。
そんな蔦屋を西岡さんは飄々と演じている。

前半の、幽霊姿で、コミカルな北村さんも、絶望感に打ちひしがれる後半の北村さんも、やっぱりステキ

今、さまざまな芸術が、そこそこ自由に発表できる場があることを、私たちは当たり前に感じているが、
これはとても幸せなことなんだなあ、と思ったりもする。

国によっては、今でも自由な表現ができないところもあるけれど、
それでも人の心の奥底の自由をねじ伏せることはできないはず。

全ての人々が 自由に自分の想いを表現する場を持てる世の中がいつの日か訪れることを、心から願う、
な~んてことをちょっぴり考えてしまう舞台でした

さて、この日、お付き合いしてくれたのは、最近めっきり会うことが増えた大学時代の友人。
観劇後、彼女はお嬢さんと待ち合わせて、お食事するという。
「一緒にどう?」と誘ってくれたのだが、この日の私は珍しくおなかの調子が良くない。
この前日まで飲んでいたピロリ菌の2次除菌の薬が強すぎたのかもしれない。
こういうお誘いをお断りすることは、私の中では皆無に近いのだけれど、残念ながら今回は・・・、とお断りすることに。
「歳をとるっていやね」と悔し紛れに見当違いのことを思ったりする。

お嬢さんにお会いできず、残念でした。
今度はぜひ、ご一緒させてくださいね


コメント
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