FORZA世界史inBLOG

世界史の復習をサポートするブログです

2018一橋大学第2問解説(1)  19世紀前半のドイツ

2019年02月12日 | 論述問題
2018一橋第2問
文章中の下線部について、歴史学派経済学と近代歴史学の相違とはいかなるものであり、また、それはどのようにして生じたのか、両者の成立した歴史的コンテクストを対比させつつ考察しなさい。(400字以内)

まず何を求められているか?を考えます。
19世紀ドイツの経済学と歴史学との相違
それが生じた理由
両者が成立した背景
これらを対比させながら書くことになります。
この問題は読み取りな問題かのように感じます。そこを踏みとどまって、世界史の問題なのだと思って取り組めたか?が分かれ目だったのでは。
つまり、19世紀ドイツの経済学と歴史学との比較。リストとランケを考えていけばいいのです。

ただ、一橋大学の場合東大とは違って問題文が丁寧ではありません。例えば、それはどのように生じたのか?とありますが、それは何を指すのか?です。経済学と歴史学との相違がどのように生じたのか?となると世界史の問題ではなくなります。しかし、次に両者が生じた背景とあるので、相違が生じた理由ではなく経済学、歴史学それぞれが生じたと考えて良さそうです。
リストの保護主義
ランケのドイツ歴史学
両者の相違と
相違が生じた理由を書くことになります。

相違について
結論としてはリストは相対的、ランケは絶対的とでも表現できます。


また経済学の内容を求めていませんし、歴史学の内容も同様です。あくまでドイツを取り巻く状況を2点書けばいいのです
ここまでくればあとは世界史の知識が必要になります。

そうはいっても、入試の現場でリストはまだしもランケを思いつくことができない受験生は多かったと思います。そのため、時数配分はリスト300字、ランケ100字とするのが無難でしょう。
一橋大学の問題はあくまで国立大学が出す「世界史B」の問題だ、ということを念頭に置くべきです。
つまり、19世紀中頃までのドイツは「どんな感じ」だったか?しか問われないということです。


リストの経済学が生じた背景は産業革命によって普遍化した資本主義経済の広がり、ランケの歴史学はフランス革命の啓蒙主義思想の失敗となります。

ドイツが資本主義経済に組み込まれていく状況の中でリストは政府が経済に積極的に介入する政策を提示したわけです。自由競争を是とするイギリスの経済学では困るわけです。またリストはイギリスとの対抗上、保護貿易主義を主張しました。その意味で相対的です。

一方、ランケはフランス革命の啓蒙主義思想がもたらした理性万能主義に対抗しました。理性万能主義は理性が普遍的原理だとしましたが、これに対しランケはドイツ独自の歴史が存在することを強調しました。ロマン主義です。フランス革命からナポレオンに至るまで普遍的な理性が行き過ぎてヨーロッパに災難をもたらしたと考える思想です。普遍的原理など存在せず各民族には個別の原理があると考えたわけです。ランケが扱った歴史学でも同様です。民族の枠を超えた歴史など存在しない。

以下の用語を使ってリストについて200字で解答します。
産業革命
資本主義経済が波及
イギリスは世界の工場
自由競争または自由主義経済
プロイセン改革で工業化の素地ができていたプロイセンを中心に
ドイツ関税同盟
リスト
保護貿易主義

同様にランケを200字で解答します
フランス革命
啓蒙主義思想
普遍性を持つ理性万能主義の失敗
ドイツ独自の歴史
国民主義









最新の画像もっと見る