この絵は「アンシャン・レジーム」というフランス革命前の身分制度を説明するときのよく使われています。第3身分の人々が税負担を負っていて、第1・第2身分は特権に甘んじているという説明でしょう。しかし、この絵を良く見ると、下敷きにされている第3身分も「キュロット・パンツ」を穿いていることが分かります。当時、キュロット・パンツを穿くのは特権階級の人々だけでした。下の絵がその姿です。
一方まさに第3身分の平民たちは、「キュロット・パンツをはかない」という意味で「サン・キュロット」と呼ばれていました下の絵がサン・キュロットたちです。この絵は志願兵として登録を待っているサン・キュロットの様子を描いたもので、フランス革命はこのサン・キュロットたちの力で進められました。
つまり、最初の絵は、絶対王政の時代、特権階級の中で第3身分の特権階級であるいわゆる大商人が重商主義の担い手として特許料を負担し、第1身分の聖職者や第2身分の貴族階級は大土地所有者として免税特権をもって税負担を免れていたことを意味しているわけです。
すなわち、フランス革命の開始は重商主義が行き詰ったとき、ブルボン王朝はこれまで免税特権をもって税負担を免れていた第1・第2身分にも税負担を負わせるべきか?否か?の論争から始まったわけです。
大土地所有者である第1・第2身分にも税負担を負わせるべきであるという考え方を「重農主義」といいます。
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