Reflections

時のかけらたち

ハンナ・アーレント ・・・ Hannah Arendt

2023-04-03 23:55:11 | movie

重たい映画でしたが、見ごたえありました。
昨年11月19日ころ見たらしいのですが、いつかまとめなければいけないと思いながら、タブにずっと明星大学の
服部裕教授の記事を置いたままにしておいたのですが、瞬間で消えてしまって再度読み込むともうその記事は
削除されていました。

民族と人間~映画『ハンナ・アーレント』鑑賞雑感

【Vol.81】 2014.5 服部 裕 ... この映画は、ユダヤ人哲学者ハンナアーレント(1906年~1975年)がイスラエルで
行われたアイヒマン裁判(1961年4 ...
 
というものでしたが、もう一度読んでからまとめておきたいと思っていたものでした。
それで今のうちにまとめないともうできないような気がして、改めて検索して言葉を集めたりしました。
PCを自分の記憶装置のように使うのはよくないと思いました。自分の頭の中にしまわなければ、頭の中は
空っぽになってしまうでしょう。
 
ハンナ・アーレント アメリカに亡命したユダヤ系ドイツ人哲学者がイスラエルでのアイヒマン裁判の
レポートをニュー・ヨーカー誌に発表。今のロシアの侵攻も戦争裁判になったら個人が裁かれるのだろうかと
思ってしまうのだけど、戦争を起こした国の指導者でもなければ、それを黙視した普通の人々にこそ悪が
あるということなのだろうか・・ 戦争犯罪で裁かれるのはだれかとかアイヒマンがユダヤ人に確保され
イスラエルで裁判を行ったことにも問題はあるかと思うけどそこには集中させず、一人一人がこれから
どう立ち向かうべきかの考察になっていて、よくまとめられた映画でした。
 
自ら強制収容所での経験もあるハンナの冷静な判断に驚くばかりです。
自分で考えることの大切さを伝える映画でした。人類を破滅から救うのは考える力です。
 
誰からも敬愛される高名な哲学者から一転、世界中から激しいバッシングを浴びた女性がいる。彼女の名は
ハンナ・アーレント、第2次世界大戦中にナチスの強制収容所から脱出し、アメリカへ亡命したドイツ系ユダヤ人。

1960年代初頭、何百万ものユダヤ人を収容所へ移送したナチス戦犯アドルフ・アイヒマンが、逃亡先で逮捕された。
アーレントは、イスラエルで行われた歴史的裁判に立ち会い、ザ・ニューヨーカー誌にレポートを発表、その衝撃的な
内容に世論は揺れる…。

「考えることで、人間は強くなる」という信念のもと、世間から激しい非難を浴びて思い悩みながらも、アイヒマンの
<悪の凡庸さ>を主張し続けたアーレント。歴史にその名を刻み、波乱に満ちた人生を実話に基づいて映画化、半世紀を
超えてアーレントが本当に伝えたかった<真実>が、今明かされる─。
 
 
 

映画『ハンナ・アーレント』予告編

 

「(アイヒマンを)罰するという選択肢も、許す選択肢もない。彼は検察に反論しました。『自発的に行ったことは何もない。
善悪を問わず、自分の意志は介在しない。命令に従っただけなのだ』と。世界最大の悪は、平凡な人間が行う悪なのです。
そんな人には動機もなく、信念も邪推も悪魔的な意図もない。(彼のような犯罪者は)人間であることを拒絶した者なのです」

「アイヒマンは、人間の大切な質を放棄しました。思考する能力です。その結果、モラルまで判断不能となった。思考が
できなくなると、平凡な人間が残虐行為に走るのです。〝思考の嵐〟がもたらすのは、善悪を区別する能力であり、美醜を
見分ける力です。私が望むのは、考えることで人間が強くなることです。危機的状況にあっても、考え抜くことで破滅に
至らぬように」

 
 
 

~状況に流されず自ら考えることの大切さ~

 1960年,元ナチス親衛隊のアイヒマンがイスラエルの諜報機関に捕まる。彼は,多数のユダヤ人を強制収容所に移送
する責任者だった。翌年,米国在住のドイツ系ユダヤ人で哲学者のハンナ・アーレント(1906~1975)がイスラエルに
渡航する。人道に対する罪に問われたアイヒマンの裁判を傍聴するために。彼女は,ホロコーストの原因を哲学的に追究し
1963年にレポートをニューヨーカー誌に発表するが,その反響は凄まじいものだった。

 ハンナは,人間はなぜこのような残虐なことができるのかを考える。裁判シーンでは実際のアイヒマンの言動が記録され
た映像が使われている。彼は,根源的な悪ではなく,上官の命令を忠実に遂行しただけで,自ら考える意思を持たなかった。
ハンナは,実験により証明されて今では周知の“悪の凡庸さ”を指摘したが,その時期が早すぎた。更にユダヤ人指導者がナチス
に協力したと指摘し,ユダヤ人を裏切ったナチス擁護者と非難される。

 彼女は,自らも収容所から逃げ延びた厳しい経験をしたが,感情に流されず論理的に考察した結果を発表した。それが家族
を殺され何とか生き残ったユダヤ人の心情を逆撫でしてバッシングを受ける。民族(ユダヤ人)や団体(ナチス)ではなく
友人を愛したハンナが,その友人にも背を向けられる。それでも屈しなかった彼女は,傲慢でも冷酷でもなく,自ら思考する
という強固な信念に貫かれていた。思考を映像化した希有な作品である。

 ハンナが人生最大の苦境に置かれた時期を切り取っており,その着眼点はいい。ただ,ハンナの回想シーンで,後にナチスに
入党したハイデガーとの恋愛も描かれる。彼女の別の側面を示したものといえるが,この過去が彼女の思考に何らかの影響を
及ぼしたかも知れないとの疑問が浮かんでくる。この点を除けば,論理的に構築された見応え十分の作品だ。ハンナが自らの
立場を集約する最後のスピーチが,クライマックスに用意されている。
                                                  (河田 充規)

2012年製作/114分/G/ドイツ・ルクセンブルク・フランス合作
原題:Hannah Arendt
配給:セテラ・インターナショナル

スタッフ・キャスト

ハンナ・アーレント     バルバラ・スコバ
ハインリヒ・ブリュッヒャー   アクセル・ミルベルク
メアリー・マッカーシー     ジャネット・マクティア
ロッテ・ケーラー    ユリア・イェンチ

 


映画「ハンナ・アーレント」オフィシャルサイト「作品紹介」

映画レビュー ハンナ・アーレント

 
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