“氷姿雪魄”に背のびする……しろねこの日記

仕事の傍ら漢検1級に臨むうち、言葉の向こう側に見える様々な世界に思いを馳せるようになった日々を、徒然なるままに綴る日記。

漢検協会の漢字資料館を訪ねた日のこと

2014-07-01 09:13:33 | 日記
おはようございます。
早くも7月が始まりました。平成26年の半分が終わってしまったわけです。
これから後半がどうなるかと思うと、
色々漠然と不安になります。

ところで、漢検協会のお話の前に、
最近、意味の思い込みに気付かされた諺をひとつご紹介します。


○夕立は馬の背を分ける
(ゆうだちはうまのせをわける)

【意味】
夕立が、限られたごく狭い範囲に降ることのたとえ。
夕立はウマの片側には降っても、もう一方の側には降らない意から。


……私はこの諺はなんとなく、
“ゲリラ豪雨並に強い夕立が馬の背に打ち付け、毛並みが背を分岐点にして流され分かれるのだ”、
などと勝手にイメージしていました。
でもそうではなくて、
大地にいる一頭の馬の背の片側にだけ降らないくらい、
非常に局所的な雨のことを言っていたんですね!
というか、
この諺が出来た当時、そんな光景に遭う確率はどのくらいあったのだろう!!
と気象観測的な興味が湧きました。
でもきっと実際現実にあった光景だからこそ、こうして諺にもなっているわけですよね……
多くの人々が、この言い回しを耳にしては「まさにその通り!」と頷いていたんでしょうか。
だとしたら本当に面白いことです。


さて当時から1ヶ月ほど経ってしまいましたが、
6月上旬に一度お話しした、職場の関西研修旅行(3泊4日)での引率で、
特に心に残り、猶且つ本ブログにupしたい話題としては、

① 引率3日目の漢検協会への訪問
② 奈良国立博物館の中国古代青銅器とそれに関わる漢字

の2点がありました。

本日は、①の漢検協会訪問について、しろねこの見聞の一部をお話したいと思います。


旅行3日目は生徒の班別研修で、
14:00~15:00にグループのチェックポイントに立つ
(※引用教員のうち3人は同時間帯に、それぞれ決まったチェックポイントに立つことになっていました)
以外はフリーでしたので、
しろねこは午前中は漢検協会、
午後はそのまま徒歩で(バスを無理矢理乗り継ごうとしていたのですが、漢字資料館の方から徒歩を勧められました)、
しろねこのチェックポイント担当箇所であり、自らも兼ねてからお詣りしたかった六波羅蜜寺を訪ね、
更にその後集合時間まで、四条大橋から新京極、御池通りにかけて、商店街を散策して回りました(とうとう昼抜き、喫茶店「ソワレ」のみ)。
従って、宿泊先から漢検協会以外は、実はすべて徒歩でした。
大型バスで乗り継ぐ断片的な神社仏閣巡り(←※批判的な意味ではないです)だけでなく、
日常の町並をちょっとでも連続的に体感できて、楽しかったです。


※因みに4日間の見学地※
1日目:東大寺・奈良国立博物館・興福寺
2日目:法隆寺・薬師寺・唐招提寺・宇治平等院・清水寺
3日目:班別研修
4日目:北野天満宮・金閣寺
でした。


……宿泊地からバスで烏丸五条まで行き、
近くのセブンイレブンの親切なおばちゃん2人に、
不要レシートの裏に関西弁で(←当たり前だけど)道を教わりながら、
漢検協会に到着したのが11時30分過ぎ。
(因みに通りの名前で尋ねたところ、
「どこ行くの」と聞かれたので「漢検協会です」と答えると、
「漢検協会……」と一瞬ぽかんとした顔をされ、
なんだか笑えました(笑)
一般的な神社仏閣ではないので、けったい(卦体)な、と思ったんじゃないでしょうか。)

…で、下京区烏丸通松原下る五条烏丸町398にある漢検協会の漢字資料館では、
瓦当拓本が予約制でできます。
鈴木様という資料館担当の方に教わりながら、
しろねこは2種類の瓦当の拓本を取らせていただきました。

瓦当とは、『大辞林 第三版』の説明によると、
「軒丸瓦の先端の半円または円形の部分。半円形から円形へと発展した。文様が施される。」
とあります。
一旦そのように調べてみると、
旅行初日・2日目に団体全員で回った博物館・国宝館等の展示物の中に、
瓦があるとつい注目してしまい、
或る対象への意識の有無が、如何にものの見方を大きく左右するか、改めて実感しました。

こちらで使用している瓦当は、中国秦・漢時代のもののレプリカで、
西安の碑林博物館から提供されたものだそうです。
10種類以上長机に並べてある瓦当のうち、
確かに半円のものも二つほど並べられていました。主に鹿の模様だったと記憶しています。


しろねこが鈴木様に教わった瓦当拓本の手順は、以下のようなものです。
拓本の専門用語に明るくないので、拙い言い回しの説明もあるかも……。

① 好きな瓦当を一つ選び、新聞紙の上に置く。
② 紙を上に載せ、霧吹きで紙を十分に湿らせる。
③ かたく絞ったタオルを畳んだもので、瓦当の中心部分から次第に外に向かって、
瓦当の凹凸に紙がフィットするように押さえていく。
④ ③のとき、紙と瓦との間の空気を、中心から外に抜くようにして瓦面にほぼ垂直方向(若干外向き?)に押さえてゆく。
⑤ 拓本用の墨が付いたタンポで、凸面に墨を載せていく。
全体的に薄く載せながら、次第に重ねて濃くしてゆく。
⑥ ミニドライヤーで和紙を乾かす。
この時、③・④の過程で用紙が破れていても、ほぼ目立たないほどに戻る。
⑦ 筆ペンで、拓本内容(瓦の模様の内容)と、誰による手拓かを記す。
配置は見本に従うが、自由でよい。
⑧ 落款印は、何も考えず持参していなかったが、
「漢検協会」の四角いデザインのもの、または丸いデザインものを貸してくださった。


…しろねこはどれも捨てがたい中、はじめに蒼龍、次に白虎の瓦当を選びました。
(2つも体験できるとは感動しました。)
冒頭の画像は、その白虎のほうです。

実は嘗て高校生の時、書道部員として、硯に用いる石の産地にを訪ね、
そこの近くの或るお寺の大きい石碑の拓本を、皆で取ったことがあるのですが、
その時は高1でまだ先輩のすることを見ていた時期で、
あまり積極的に体験できたわけではありませんでした。
今回、最初はこわごわと瓦の凹凸に紙を馴染ませていたしろねこも、
鈴木様のお手本の仕草からコツが分かってくると、
次第に力強く楽しんで取ることができました。
またプロの方の作品がファイルに入ったものも見せていただきました。
やはり切れがいいというか、作品に気迫がありました。

取りながら、少しずつ協会移転のお話や、漢検ネットワークのお話や、
漢字資料館のお話を伺い、かれこれ2時間ほどお世話になりました。
しろねこが定刻までに六波羅蜜寺に行かねばならないと告げると、
資料館の中を解説を加えながら案内してくださり、
(漢字に因むイラストや拓本など興味深い展示が沢山ありました。)
仕上げた手拓2枚と、自由に頂いて行ってよい資料やファイルを持ちやすく持たせてくださった上、
通りに出て六波羅蜜寺の徒歩での行き方まで示してくださいました。
鈴木様、定時までに六波羅蜜寺に無事到着できましたよ~~!!
本当に本当に、お世話になり有難うございました。
急いで出てきてしまったので、漢検協会のスタンプを押し忘れてしましましたが、
移転後になったとしても、再び訪問し、改めてスタンプを押すことのできる日が来ることを願います。

生まれて初めての漢検協会でしたが、
この体験も含めて、人間願えば叶うものなのだということを、
今回の奈良・京都では様々な場面でひしひしと感じました。
今回試験に失敗しても、まだ気持ちが疲れ切っていないのも、
この研修旅行での体験のお蔭が大きいのかもしれません。

では、いずれその②をupします。

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4 コメント

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引率ごくろうさまでした。 (octave)
2014-07-01 14:13:09
引率本当にごくろうさまでした。というのは、私もしろねこ様と同じ体験を幾度もしたので、大変さが身にしみてわかるからです。ここまで書くと私の昔の職業がわかりますね。記事を読んでいて、懐かしさが蘇ってきます。漢検の資料館のも退職してからですが行きました。また、奈良県に住んでいますので、皆様が行かれた見学地もすべて行っています。これからもしろねこ様を応援いたしますので、いろいろな記事を掲載してくださいね。
返信する
Unknown (ボクちゃん)
2014-07-02 00:11:41
まことに興味深い話ですねえ。
私も②を楽しみにお待ちいたします。
漢検スタンプはちょっと気になります。
返信する
心の拠り所 (しろねこ)
2014-07-03 22:00:21
octave様

今晩は。
コメント有難うございました。お返事遅くなり申し訳ありません。

octave様は、人生の先輩であるのに加えて、
職業上の先輩でもあったのですね。

>記事を読んでいて、懐かしさが蘇ってきます。

このような記事ですが、少しでもoctave様の記憶と繋がっているところがございましたら、とても嬉しいです。

奈良にお住まいのことは、
貴ブログの記事を拝見していて、そうなのかな、と思っておりました。
奈良は私の母方の曾祖母の家系の地です。
先日も訪れてみて思いましたが、
京都とはまた趣を異にした雅やかさ、懐かしさでした。
(ほんの一部の地域しか見られていませんが。)

>これからもしろねこ様を応援いたしますので、いろいろな記事を掲載してくださいね。

有難うございます。
今は思い通りの結果をなかなか出せなくても、
こちらの漢字による結びつきの世界が私の心の大きな拠り所となっていますので、
安定できるように何とか頑張っていきたいと思います。
今後とも何卒宜しくお願い申し上げます。
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押せなかったのも“縁”なのでしょうか? (しろねこ)
2014-07-03 22:16:42
ボクちゃん様

今晩は。
いつも有難うございます。お返事遅くなり申し訳ありません。

漢検スタンプ、気になりますよね。
受付から資料館のある2階のフロアに上がって、
担当の方がお見えになるまでの間にスタンプを見かけて、
押そうと思ったのですが、
そのままになってしまったのです。
しかし、ものは考えようで、
し残したことがあるということは、また次回にご縁があるのかな、
と思い直すことにしました。

頑張って、②を仕上げたいと思います。
少しでもこのわくわくが伝われば、という感じで。

それにしてもボクちゃん様、
お加減は如何ですか。
一日も早いご回復を、お祈りいたします。
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