“氷姿雪魄”に背のびする……しろねこの日記

仕事の傍ら漢検1級に臨むうち、言葉の向こう側に見える様々な世界に思いを馳せるようになった日々を、徒然なるままに綴る日記。

新星出版社の新しい問題集~読み誤答問題~

2011-04-30 06:27:52 | 日記
早くもGWがやってきました。

職場は受験生の学年担当以外は、飛び石ですが普通に休暇を過ごせるので、この機会に被災した実家に、帰省して手伝いに行く先生もいるようです。
しろねこはいよいよ通勤時間が半分に戻り、その分仕事時間が長くなります(要は元通りになります)。

GWが過ぎたら、間もなく検定まであと1ヶ月という段階に入るかと思うと、毎日帰宅後ほぼ無抵抗な状態で眠りの世界に引きずり込まれていくのが少々恨めしいです。上手く切り替えて復習していきたいです。


さて、昨年12月に初版が発行された、

『平成23年度 頻出度順漢字検定 合格!問題集1級』(新星出版社)

を、先日漸く購入しました。
頻度順なので、同じ分野毎に問題が纏めてあって、大量の問題を流して解きたいとき便利です。活字も見やすいです。分野別のほかに、模擬形式でも5回分付いています。

巻末に資料として、常用漢字の表外読み一覧や、1級配当漢字一覧、出題率の高い四字熟語と諺一覧があるのもよいです。

とりわけ過去問の蓄積が少ないビギナーの方には、成美堂の模擬問題集と併せて手頃かもしれません。


読み問題は①~⑬までありました。
見開き48問×13節、各音読み34問・訓読み14問です。とりあえずここ数日でバスの中で解いてみました。

以下、しろねこの誤答問題です。
苦手な問題・早合点する問題はいつまでも苦手な儘のような気がします…(泣)


読み①

●音読み
1.若水で【盥漱】し新年を迎えた。
《解答》
1.かんそう

●訓読み
誤答なし


読み②

●音読み
1.構造や機能の【弊竇】を指摘される。
《解答》
1.へいとう

●訓読み
誤答なし


読み③

●音読み
1.【杙】を以て楹となす。
2.礼物として【棗栗】を携えて行く。
《解答》
1.よく
2.そうりつ

●訓読み
1.年金政策の【轄】となる官庁。
《解答》
1.くさび


読み④

●音読み
1.都会の【諠鬧】を逃れて旅に出る。
《解答》
1.けんとう

●訓読み
1.周囲の期待に【忤】う。
《解答》
1.さから


読み⑤

●音読み
1.【酥油】は牛酪から精製する。
2.【糧餉】が尽き、兵が餓死した。
《解答》
1.そゆ
2.りょうしょう

●訓読み
1.古代史の【邃】い知識を持った人だ。
《解答》
1.おくぶか


読み⑥

●音読み
1.砂利道の【雨潦】を避けて歩く。
2.収穫を喜ぶ【碓[「春」の「日」の部分が「臼」になっている字]】の音が響く。
3.秋色深く【蔚藍】の天となる。
4.【奄忽】として効果が現れる。
5.新茶の【馨香】を味わう。
《解答》
1.うろう
2.たいしょう
3.うつらん
4.えんこつ
5.けいこう、けいきょう

●訓読み
1.残業続きで【瘁】れてしまった。
《解答》
1.つか


読み⑦

●音読み
1.自由と平等の【大旆】を掲げる。
2.英国【駐箚】の大使として赴任した。
《解答》
1.たいはい
2.ちゅうさつ

●訓読み
1.【[「荀」の「日」が「口」になっている字]】も人間ならば守るべき法がある。
《解答》
1.いやしく


読み⑧

●音読み
1.今日の【午餉】は蕎麦にした。
2.雉子の羽を飾った【大纛】を掲げる。
3.【杜鵑花】はサツキの別称である。
4.汚れた【溷厠】を掃除しておく。
5.大きな古墳に近接する【陪冢】。
6.小さなヨットで【瀛海】を渡る。
《解答》
1.ごじょう
2.たいとう
3.とけんか
4.こんし
5.ばいちょう
6.えいかい

●訓読み
1.人を【貶】むようなことはしない。
《解答》
1.さげす


読み⑨
●音読み
1.【[上が「辟」・下が「言」の字]類】を多用した文章を書く。
《解答》
1.ひるい

●訓読み
1.住民が協力し町の【[「瞞」の「目」を「虫」にした字]】を一掃した。
2.木製の【鷽】を替える神事。
《解答》
1.だに
2.うそ


読み⑩

●音読み
1.【阨狭】な渓谷に沿って走る森林鉄道。
2.大金持ちの【驕奢】な趣味だ。
3.【蒼朮】は解熱剤として使われる。
4.雨上がりの空に弧を描く【虹霓】。
《解答》
1.あいきょう
2.きょうしゃ
3.そうじゅつ
4.こうげい

●訓読み
1.【[草冠に「其」]】を竈に焼べる。
《解答》
2.まめがら


読み⑪

●音読み
1.【[(異体字ですが)「慈」の「心」が「子」になっている字]×2】として研究に勤しんでいる。
2.美麗にして【姚冶】な女優だ。
3.相手が倒れるまで【搏闘】した。
4.鳥の腹部は【毳毛】で覆われている。
5.下町に【肆廛】を構えた。
《解答》
1.しし・じじ
2.ようや
3.はくとう
4.ぜいもう
5.してん

●訓読み
1.役人を【揶揄】う戯画を描く。
《解答》
1.からか


読み⑫

●音読み
1.【廟謨】転倒して四海揺らぐ。
2.独酌を重ね【一甕】を尽くす。
《解答》
1.びょうぼ
2.いちおう

●訓読み
誤答なし


読み⑬

●音読み
1.峡谷鉄道で【岑壑】の景を楽しむ。
2.【旱天】を彩る納涼花火大会。
3.【冤家】の為に射らる。
4.ブナの原生林は自然の【宝匣】である。
《解答》
1.しんがく
2.こうてん
3.えんか
4.ほうこう

●訓読み
1.己をもって人を【揣】る。
《解答》
1.はか


以上です。分野によっては、過去問と異なる語の割合が少し多い場合もあるようです。
また解いたら挙げていこうと思います。

「ありえない事」と「めったにない事」

2011-04-24 22:10:54 | 日記
先日『枕草子』の一節で、未だ嘗て目にしたことが無いほど素晴らしい様子の扇の骨のことを、清少納言が

「くらげの骨」

にたとえたことが書かれている文章を、改めて読みました(これは高校古文の問題集などでよく出題される文章です)。
海月には本当は骨が無いので、清少納言は「くらげの骨に匹敵するくらいレアな扇の骨」という意味でそのように表現したのでしょう。

読んでいるうちにしろねこは、ある事柄に対して、それが珍しかったり有り得なかったりすることを比喩的に言う言い回しが気になりだしたので、大雑把に探してみました。

まず四字熟語ですが、ありえないことのたとえとして真先に浮かぶものに
「亀毛兎角」
「烏白馬角」
があります。(勿論これらには和文体での言い回しもあります。)
「亀毛兎角」でいつも思うことは、うちで大事にしているぬいぐるみの亀には毛がびっしり生えているなということです(笑)

冗談はさておき、これらの動物は「亀」も「兎」も「烏」も「馬」も、みな実在するものばかりです。
ところが、「ありえない事」ではなく「めったにない事」をたとえた
「麟角鳳嘴」
の動物は、「麒麟」も「鳳凰」も実在しない想像上の生き物です。
一見「ありえない事」を意味する言葉に当てはまりそうな動物なのに、こうしてみると「めったにない事」を意味する言葉のほうに使われているのが面白いですね。

「ありえない事」「めったにない事」を意味する諺は、よい文脈でもよくない文脈でも出てくるようです。

~ありえない事~
●海の底の白鳥
…ありえないことのたとえ。
●西から日が出る
…絶対にありえないことのたとえ。
●山の芋鰻になる
…起きるはずのないことが起こることのたとえ。思いもよらないほど変化することのたとえ。また、普通の者が急に出世することのたとえ。
≒蕪は鶉となり、山芋は鰻となる
≒雀海中に入って蛤となる
●山の芋で足を衝く
…油断して思わぬ失敗・失策をすること。また大袈裟なこと、ありえないことのたとえ。

~めったにない事~
●千載一遇
…滅多にないよい機会。
●「盲亀(の)浮木」
…仏の教えに出会うことが困難であることのたとえ。また、滅多にないことのたとえ。目の見えない亀が、百年に一度海面に浮かび、たまたまそこに漂う流木の穴に入ろうとするという話から。
●夢に牡丹餅
…都合がよいことばかり続き、夢ではないかと思うくらい幸運であること。また、昔は貴重だった牡丹餅を食べるくらい嬉しい幸運に出くわすという、滅多にないことのたとえ。
●枯れ木に花咲く
…衰えたものが再び勢いを取り戻すこと。また、望んでも実現できないことや、起こるはずのないことが起こるという、滅多にないことのたとえ。
●雨夜の月
…あっても見えないこと。また、想像だけで現実には滅多にないことのたとえ。
●茶柱が立つ
…茶柱が立つのは滅多になく、縁起がよいこと。人に話さず黙っていると、よいことがあるという。


……ほかにも色々あると思いますが、ざっと探すとこんな感じです。
自然現象をもとにしたものから、突拍子もない組み合わせのたとえまで様々でした。

また、よく読んでいくと、「滅多にないことのたとえ」そのものではなく、「滅多にないことから、○○のたとえ」というパターンの説明がある諺もあります。
例えば
●猫の歯に蚤
…ネコが自分の歯で蚤を噛むのは滅多にないことから、稀なことや不確かなことのたとえ。
●姑の涙汁
…姑はとかく嫁を嫌い、嫁に同情して涙を流すことは滅多にないことから、量が少なくわずかなことのたとえ。

など。
このように関連内容で追いかけていくと、もっと沢山ありそうです。


『枕草子』の別の章段では、普通の人なら聞き分けられないような小さい音のことを、

「蚊のまつげの落つる」

という表現で書いています。
蚊には本当は睫毛なんてないのでしょうが、すごく小さい存在である蚊の、そのまた更に小さい睫毛の落ちる音なら、ありえないくらい小さい音なわけで、「くらげの骨」といい、数々の諺といい、当時の人々の斬新な表現力には目を瞠る思いです。

【追記】 ~続・気分転換④に訂正箇所があります~

2011-04-24 22:07:27 | 日記
4/17~21の記事
「続・気分転換④~準1級の誤答練習問題~」
(1)~(3)にそれぞれ1箇所ずつ誤りがあり、読者の方にご指摘いただきました(4/21記事のコメントをご参照ください)ので、纏めて訂正いたします。

誤った解説で真面目に信じて勉強していた方、大変申し訳ございません!



◆訂正1箇所目◆

4/17(1)の記事
●故事成語・諺
⑨前車の【フクテツ】を踏まず。
《解答》
⑨復轍

◆訂正解説◆
これは解答が間違っていて、
「前車の覆るは後車の戒め」
ですから、

×「復」→○「覆」

です。変換ミスです。



◆訂正2箇所目◆
4/20(2)の記事
●四字熟語
③通暁【やかく】
《解答》
③暢達

◆訂正解説◆
これは問題が間違っていて、

×【やかく】→○【ちょうたつ】

です。
因みに【やかく】とは「閑雲野鶴」の一部で、隣にあった問題でしたが、これは正解していたので、挙げない予定でした。入力しているうちに、隣と混ざってしまったようです。



◆訂正3箇所目◆
4/21(3)の記事
●訓読み
①【碗】な酢の物を盛る。《解答》
①こばち(「碗」は許容字体。正字体は「怨」の「心」の部分が「皿」になっている字だが、携帯電話では出ません。)

◆訂正解説◆
これは( )内の説明が間違っていて、正しくは、

「碗」のほうが正字体で、携帯電話で出ない文字のほうが許容字体

です。


今回の訂正は以上です。
これまでの記事でも、至らないところが多々あったことと思いますが、今後ともどうぞ宜しくお願い申し上げます。

続・気分転換④~準1級の誤答練習問題(3)

2011-04-21 07:27:10 | 日記
気分転換④についてはこれで最終になりますが、前回に引き続き、

早稲田教育出版 2007年度版『出た順漢検ランキング 出題頻度順・完全トレーニング準1級』(2005年12月1日 改訂初版発行)

での、しろねこの誤答問題を列挙します。
今回は、第1回に引き続き、第2回模試問題から。


●音読み
①湧き水を【掬】する。
②【戦捷】の報に歓喜する。

《解答》
①きく
②せんしょう


●訓読み
①【碗】な酢の物を盛る。

《解答》
①こばち(「碗」は許容字体。正字体は「怨」の「心」の部分が「皿」になっている字だが、携帯電話では出ません。)


●表外訓読み
①悟りの彼岸に【度】る。
②見苦しい【態】を晒す。

《解答》
①わた
②さま


●書取
①【ツバ】の広い帽子を被る。
②【ホウハツ】をかきむしる。
③ざるで【コ】す。

《解答》
①鍔
②蓬髪
③漉


●国字読み
失点無し


●常用漢字の書換
失点無し


●二字熟語・一字訓
①【廓しい】・廓然
②【撞球】・撞く
③【窄まる】・狭窄

《解答》
①むな(しい)
②どうきゅう
③せば


●対義語・類義語
①派遣 ⇔ しょうかん
②愛惜 ≒ あいれん

《解答》
①召還(「召還」=派遣した人を呼び返すこと/「召喚」=官庁が人を呼び出すこと。特に、裁判所が被告人・証人などに対し、一定の日時に指定の場所に呼び出すこと)
②愛憐


●四字熟語
①【こうだい】無辺
②気息【えんえん】

《解答》
①宏大
②奄奄


●同音・同訓異字
失点無し


●故事成語・諺
①【ムゲン】地獄に落ちる。
②【ソウカイ】変じて桑田となる。

《解答》
①無間
②蒼海


●文章題書取
失点無し


●文章題読み
①磨滅した烙印で吐月峰と【捺】してあるのが、…

《解答》
①お


以上です。

準1級に取り掛かった当時は、漢検漢字辞典を持たずに(その存在も知らずに)、普通の漢和辞典で必死に四字熟語や音読みの熟語を引いた記憶があります。
普通の辞典では熟語が一気に載っていないことも多く、部分的に引いて繋げてもトータルの表記での意味が分からなかったりと、当時はすごく苦心しました。でも今考えてみると、最初から漢検漢字辞典で楽をしなくてよかったことも多いなと思います。
それぞれの辞典の構成にはこだわりがあり、単に調べものが載っているか否かや、項目の説明内容が分かりやすいか否かだけでなく、編集の仕方を意識して辞典を見ることができるようになったのは、当時の苦心した経験もあってのことだと感じています。

続・気分転換④~準1級の誤答練習問題(2)

2011-04-20 19:59:20 | 日記
今年度は年間日程が地震の影響でずれ込み、漸くしろねこの職場も始業式・入学式を迎えようとしています。
交通手段もかなり復旧してきたので、殆どの生徒が来れるようになりました。
しろねこの通勤手段が元通りになるまで、あと少しらしいですが、本当のところはあまり実感が湧きません。

さて、また前回に引き続き、

早稲田教育出版 2007年度版『出た順漢検ランキング 出題頻度順・完全トレーニング準1級』(2005年12月1日 改訂初版発行)

での、しろねこの誤答問題を列挙します。
今回は、第1回模試問題から。


●音読み
①【舵手】が巧みに船を操る。

《解答》
①だしゅ


●訓読み
①誤解を【惹】く行動。
②お湯を【杓】う。

《解答》
①まね
②しゃく


●表外訓読み
失点無し


●書取
①染めた布を水に【サラ】す。
②話の【ホコサキ】を転じる。

《解答》
①晒
②矛先・鋒先


●国字読み
失点無し


●常用漢字の書換
失点無し


●二字熟語・一字訓
①【斯の】・斯界
②【暢る】・流暢
③【碍える】・碍子

《解答》
①こ(の)
②とお(る)
③ささ(える)


●対義語・類義語
①懇切 ≒【ていねい】
②輿望 ≒【しゅうぼう】

《解答》
①丁重・鄭重(「丁」を迂闊にも「寧」と書いた)
②衆望(「輿」も「衆」も多いの意。「輿望」=世間の人から寄せられている期待の意)


●四字熟語
①【はふ】沈船
②【ひよう】走狗
③通暁【やかく】
④冷土【こうたい】

《解答》
①破釜
②飛鷹
③暢達
④荒堆


●同音・同訓異字
①雑誌が【テイカン】となる。
②二人は【アツ】い仲だ。

《解答》
①停刊(後回しにして解き忘れ)
②熱


●故事成語・諺
①舟に懲りて【コシ】を忌む。
②【リョウジョウ】の君子。

《解答》
①輿
②梁上


●文章題書取
①空には風あれども地は【シュクゼン】として声なく、…
②小高き広場に出たかと思うと、突然耳に入ったものは【ゲンカ】の騒である。

《解答》
①粛然(度忘れ。なぜか「淑」にしてしまった)
②絃歌(練習問題でも間違う、勘の働きにくい言葉)


●文章題読み
失点無し


…以上です。
こうして見ると、やはり自分の集中力や判断力の限界は、1級レベルでも準1級レベルでもあまり差が無いなと思います。
洗練していないところを整理して、兎に角復習を繰り返すのがベストでしょう。

次回は第2回模試問題から載せます。